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第一章
ティータイム
しおりを挟む自己紹介も終わって一段落ついたから、いったん区切りをつけて、みんなでティータイムにしよう。
「さて、ホントはドーナへのお礼にと作ったものだが今回はみんなで食べることにしよう。」
以前ドーナにごちそうしてもらった、焼き菓子のお礼に…と作っておいたベリリの実をふんだんに使ったケーキを取り出した。
「ふわぁぁ、凄いきれい。」
「何て言うかもう芸術よね?」
「こ、こんな凄いものまで作ってたのかい。」
各々ケーキを見て目を輝かせている。どうやらみんなこのような造形のお菓子を見るのは初めてらしい。
こっちの世界では、こういった類のお菓子はないのかな?後でお菓子とかを専門に扱っているお店とかにも行ってみたいところだな。
まぁ、それはさておき俺はこのケーキがどういうお菓子なのかみんなに説明する。
「これはケーキと言って、よく誕生日とかお祝い事の時に食べるお菓子だ。切り分けるから待っててくれ。」
ホールのケーキを1/8カットに切り分け、皿にのせフォークとともにみんなの前におく。
「シアはオレンジジュースでいいな?ドーナとランは何を飲む?」
「アタイは紅茶がいいねぇ。」
「ワタシもドーナと一緒でいいわ。」
3人分の紅茶を淹れ、シアのオレンジジュース片手にテーブルへ向かった。そしてみんなに飲み物を配り席に着く。
「さて、食べようか。」
再びいただきますと挨拶をしてから、シア達は一斉にケーキを食べ始めた。
さてさて、どんな反応をしてくれるか楽しみだな。手元にある紅茶を飲みながらみんなの反応を観察する。
「ふわふわ~、とっても甘い!!」
「美味しいわ……芸術的な上に美味しいとか反則よ!!」
「アタイの知ってるどのお菓子とも違う。こんなふわっふわで甘酸っぱくて……最高だよ。」
ケーキはやはりとても好評のようだ。
みんなの反応に満足していると、おずおずとシアが俺に話しかけてきた。
「ヒイラギお兄さん。ケーキもう無くなっちゃった。」
耳をぺたんとさせながら物足りなさそうにそう言った。
「もう一個食べるか?」
「うん!!」
「あっ!!ワタシも食べた~い!!」
「あ、アタイももう一個……。」
シアがおかわりするのを皮切りに、ドーナとランも空になったお皿を手渡してくる。まさに大好評だ。
また暇があるときに新しいお菓子を作っておこう。
そしてあっという間にベリリの実を使ったケーキがなくなり、楽しいティータイムが終わりに近づいてきた。
そろそろ今後のことについて話し合うことにしようか。
「さて、これからのことについて話し合いたいんだが。」
そう新たな話題を切り出すと、シアが真っ先に手を挙げて答えてくれた。
「シアはお兄さんにずっと付いてく!!」
「もちろんワタシもそのつもりよ?」
「アタイも……と言いたいところだけど、ギルドの仕事がねぇ。」
ドーナは残念そうに言った。ドーナはこの街のギルドの取締役だし、そう簡単に決められることではないだろう。
「そうだな、まぁまだこの街から動く気はないから。それはゆっくり解決していこう。」
「すまないねぇ。」
「大丈夫だ、気にする必要はない。あと、今後のためにシアとランのステータスカードを作らないとな。」
「あぁ、それはアタイの方で対応しておくよ。流石にシアやランの事が表沙汰になるとやばいからねぇ。」
シアは獣人族だし、ランに関してはドラゴンだからな。二人のことが表沙汰になるのはまずい…それはドーナも重々承知してくれているようだ。
「すまない、助かる。」
「じゃあとりあえず、今からそのドーナのギルドに行けばいいのかしら?」
「ひとまずはそうだな。」
暗くなる前に、俺達はシアとランのステータスカードを作るためにギルドへと向かうのだった。
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