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第一章
オーリオの実
しおりを挟む森の入り口であたりを見渡してみると、ところどころに三日月草が生えているのが目に付く。
「この辺には三日月草が生えているな。」
森の入り口付近の日が当たりやすいところは、三日月草が生い茂っていた。オーリオの実は図鑑に書いてある記述通りだと奥のほうにあるらしいから、ここからもっと先に進まないといけないな。
「よし、行くか。」
オーリオの実を採取するため、森の奥のほうへと足を踏み入れた。獣道を進み、どんどん緑が深くなってきた途中、俺はふと歩みを止めた。
「ん?」
何やら前方の茂みでガサガサと音がしている。何かいることは間違いない。
足元にあった石ころを拾いあげ、大きく振りかぶって茂みに投げ込んだ。すると…グギャア!!という短い悲鳴が森に響く。
恐る恐る声のした茂みを覗くと、頭に風穴が空いているゴブリンがいた。投げた石が頭を貫通したらしい‥
「ゴブリンか……ん?これは。」
倒れているゴブリンのすぐ横に、くすんだ緑色の小さな水晶玉を見つけた。
「もしかしてこれってゴブリンの宝玉じゃないか?」
おそらくこれは俺のスキルお残し厳禁によってドロップした宝玉という奴だろう。後で宿屋に帰ったら調べてみるか。
一先ずバッグにそれをしまい、さらに先へと進んだ。
「この辺が森の最奥だと思うんだが、オーリオの木はどこだ?」
少し辺りを散策していると俺は一本の奇妙な木を見つけた。何が奇妙かというと、その木の周りだけ綺麗にほかの木が生えていないのだ。
その木に近づいてよく観察してみると、その木には緑色と黒色の二種類の小さな実が実っているのを発見する。
「実の色といい、葉っぱの形といいこれがオーリオの木で間違いなさそうだな。」
図鑑で見たオーリオの木の特徴と照らし合わせ、この木がオーリオの木であることを確信する。
「えっと、黒いのが完熟してるやつなんだよな。若い緑色のやつは取らないように気を付けながら採取しよう。」
未成熟の緑色の実をとらないように気を付けながら、せっせとオーリオの実をバッグの中へと摘み取っていく。
「よっし、こんなもんだろ。」
大量の完熟したオーリオの実を収穫し、帰路につこうとしたその時、ガサガサッ!!と後方の茂みで何かが動く音がした。
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