25 / 1,008
第一章
人間の犯した過ち
しおりを挟む
人間と他の種族が対立している原因を、イリスが語り始める。
「かつて人間は他の種族の奴隷化を計画しました。その結果、今までともに暮らしていた三種族が対立してしまったのです。」
イリスから放たれた衝撃の言葉に、本気で耳を疑いたくなった。そんなことをしたら対立関係になるのも当たり前だ。
「なぜ、そんなことが?」
「王が変われば国も人も変わってしまいます。それが一番の原因でしょう。」
「なるほどな。」
イリス曰くどうやら国王が変わったことによって、今までの体制がすべて崩れ去ったらしい。
まったく、これに関しては完全に人選ミスだろ。なんでそんな危ない思想を持った輩を王に仕立てたんだか……。
「そういうことをされると、人間は皆そういうことをするやつらって思われるからな。正直かなり迷惑な話だ。」
「ええ、事実獣人族やエルフはそう思ってるようですね。」
エルフ達や獣人族の食文化とか気になるところではあるが、この話を聞くとコンタクトをとるのは難しそうだ。
「なんとか関係の修復ができればいいんだが……。」
「私も応援しますよ。」
にっこりと微笑みながらイリスは言う。それが簡単ではないことは彼女も重々承知のはずだ。
さてひとまず聞きたいことも聞けたし、そろそろ現世に戻るとするか。
「それじゃ、そろそろ戻るよ。貴重な話をありがとう。」
「またわからないことがあれば気軽に訪ねてきてくださいね?」
最後にイリスは慈愛に満ちた笑みを浮かべてそう言った。
直後一瞬視界が暗転したかと思うと、俺は祈りをささげていた教会に戻ってきていた。
「さてと、それじゃギルドに行こうか。」
イリスに聞きたいことを聞き終えたので、教会を出てギルドへと向かう。ギルドに着くとミースが俺の対応をしてくれた。
「おはようございます!!ヒイラギさん、今日はどんなご用ですか?」
「あぁ、また依頼書を見せてほしいんだが。」
「依頼書ですね?かしこまりました~。」
ミースは昨日と同じく俺が受けられる依頼を持ってきてくれた。その中に、今日の目的だった依頼を見つける。
「このオーリオの実の依頼を受けたいんだが、森って入っても大丈夫か?」
「はい!!ドーナさんが自ら現地調査に赴いて、問題無しと判断したので大丈夫ですよ~。」
ふむ、裏でドーナが動いてくれたらしい。後でお礼をしに行かないといけないな。
「そうか、じゃあその依頼を受けよう。」
「はい!!ではここにサインをお願いしますっ。」
ミースに言われた通り依頼書にサインを書き、依頼の受注が完了する。
「こちらの依頼の期限は明後日までです。お気をつけて行ってらっしゃいませっ!!」
まぶしい笑顔のミースに見送られ俺はギルドを後にした。
「さてさて、オーリオの実はどこに生えているんだ?」
森へ向かう途中で昨日買った植物の図鑑を開いた。そしてパラパラとページをめくり、オーリオの実を探す。
「えっと?見た目はなんかオリーブに似てるな。生息地は森の奥深くか、なら少し森の中を探索しながら取りに行けそうだな。」
図鑑をバッグにしまった俺は、オーリオの実を採取するために一人森の奥へと向かうのだった。
「かつて人間は他の種族の奴隷化を計画しました。その結果、今までともに暮らしていた三種族が対立してしまったのです。」
イリスから放たれた衝撃の言葉に、本気で耳を疑いたくなった。そんなことをしたら対立関係になるのも当たり前だ。
「なぜ、そんなことが?」
「王が変われば国も人も変わってしまいます。それが一番の原因でしょう。」
「なるほどな。」
イリス曰くどうやら国王が変わったことによって、今までの体制がすべて崩れ去ったらしい。
まったく、これに関しては完全に人選ミスだろ。なんでそんな危ない思想を持った輩を王に仕立てたんだか……。
「そういうことをされると、人間は皆そういうことをするやつらって思われるからな。正直かなり迷惑な話だ。」
「ええ、事実獣人族やエルフはそう思ってるようですね。」
エルフ達や獣人族の食文化とか気になるところではあるが、この話を聞くとコンタクトをとるのは難しそうだ。
「なんとか関係の修復ができればいいんだが……。」
「私も応援しますよ。」
にっこりと微笑みながらイリスは言う。それが簡単ではないことは彼女も重々承知のはずだ。
さてひとまず聞きたいことも聞けたし、そろそろ現世に戻るとするか。
「それじゃ、そろそろ戻るよ。貴重な話をありがとう。」
「またわからないことがあれば気軽に訪ねてきてくださいね?」
最後にイリスは慈愛に満ちた笑みを浮かべてそう言った。
直後一瞬視界が暗転したかと思うと、俺は祈りをささげていた教会に戻ってきていた。
「さてと、それじゃギルドに行こうか。」
イリスに聞きたいことを聞き終えたので、教会を出てギルドへと向かう。ギルドに着くとミースが俺の対応をしてくれた。
「おはようございます!!ヒイラギさん、今日はどんなご用ですか?」
「あぁ、また依頼書を見せてほしいんだが。」
「依頼書ですね?かしこまりました~。」
ミースは昨日と同じく俺が受けられる依頼を持ってきてくれた。その中に、今日の目的だった依頼を見つける。
「このオーリオの実の依頼を受けたいんだが、森って入っても大丈夫か?」
「はい!!ドーナさんが自ら現地調査に赴いて、問題無しと判断したので大丈夫ですよ~。」
ふむ、裏でドーナが動いてくれたらしい。後でお礼をしに行かないといけないな。
「そうか、じゃあその依頼を受けよう。」
「はい!!ではここにサインをお願いしますっ。」
ミースに言われた通り依頼書にサインを書き、依頼の受注が完了する。
「こちらの依頼の期限は明後日までです。お気をつけて行ってらっしゃいませっ!!」
まぶしい笑顔のミースに見送られ俺はギルドを後にした。
「さてさて、オーリオの実はどこに生えているんだ?」
森へ向かう途中で昨日買った植物の図鑑を開いた。そしてパラパラとページをめくり、オーリオの実を探す。
「えっと?見た目はなんかオリーブに似てるな。生息地は森の奥深くか、なら少し森の中を探索しながら取りに行けそうだな。」
図鑑をバッグにしまった俺は、オーリオの実を採取するために一人森の奥へと向かうのだった。
212
お気に入りに追加
634
あなたにおすすめの小説
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる