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第一章

人間の犯した過ち

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 人間と他の種族が対立している原因を、イリスが語り始める。

「かつて人間は他の種族の奴隷化を計画しました。その結果、今までともに暮らしていた三種族が対立してしまったのです。」

 イリスから放たれた衝撃の言葉に、本気で耳を疑いたくなった。そんなことをしたら対立関係になるのも当たり前だ。

「なぜ、そんなことが?」

「王が変われば国も人も変わってしまいます。それが一番の原因でしょう。」

「なるほどな。」 

 イリス曰くどうやら国王が変わったことによって、今までの体制がすべて崩れ去ったらしい。

 まったく、これに関しては完全に人選ミスだろ。なんでそんな危ない思想を持った輩を王に仕立てたんだか……。

「そういうことをされると、人間は皆そういうことをするやつらって思われるからな。正直かなり迷惑な話だ。」

「ええ、事実獣人族やエルフはそう思ってるようですね。」

 エルフ達や獣人族の食文化とか気になるところではあるが、この話を聞くとコンタクトをとるのは難しそうだ。

「なんとか関係の修復ができればいいんだが……。」

「私も応援しますよ。」

 にっこりと微笑みながらイリスは言う。それが簡単ではないことは彼女も重々承知のはずだ。

 さてひとまず聞きたいことも聞けたし、そろそろ現世に戻るとするか。

「それじゃ、そろそろ戻るよ。貴重な話をありがとう。」

「またわからないことがあれば気軽に訪ねてきてくださいね?」

 最後にイリスは慈愛に満ちた笑みを浮かべてそう言った。

 直後一瞬視界が暗転したかと思うと、俺は祈りをささげていた教会に戻ってきていた。

「さてと、それじゃギルドに行こうか。」

 イリスに聞きたいことを聞き終えたので、教会を出てギルドへと向かう。ギルドに着くとミースが俺の対応をしてくれた。

「おはようございます!!ヒイラギさん、今日はどんなご用ですか?」

「あぁ、また依頼書を見せてほしいんだが。」

「依頼書ですね?かしこまりました~。」
 
 ミースは昨日と同じく俺が受けられる依頼を持ってきてくれた。その中に、今日の目的だった依頼を見つける。

「このオーリオの実の依頼を受けたいんだが、森って入っても大丈夫か?」

「はい!!ドーナさんが自ら現地調査に赴いて、問題無しと判断したので大丈夫ですよ~。」

 ふむ、裏でドーナが動いてくれたらしい。後でお礼をしに行かないといけないな。

「そうか、じゃあその依頼を受けよう。」

「はい!!ではここにサインをお願いしますっ。」

 ミースに言われた通り依頼書にサインを書き、依頼の受注が完了する。

「こちらの依頼の期限は明後日までです。お気をつけて行ってらっしゃいませっ!!」

 まぶしい笑顔のミースに見送られ俺はギルドを後にした。

「さてさて、オーリオの実はどこに生えているんだ?」

 森へ向かう途中で昨日買った植物の図鑑を開いた。そしてパラパラとページをめくり、オーリオの実を探す。

「えっと?見た目はなんかオリーブに似てるな。生息地は森の奥深くか、なら少し森の中を探索しながら取りに行けそうだな。」

 図鑑をバッグにしまった俺は、オーリオの実を採取するために一人森の奥へと向かうのだった。
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