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第一章
初めての依頼
しおりを挟むこちらの世界に来て初めての一日が過ぎた。
ドーナと食事を終えた後、泊まる宿が見つからず苦労したが、彼女の取り計らいでギルドの仮眠室を借りることができたので、何とか野宿を逃れることができた。
仮眠室を出て顔を洗い、受付のミースに声をかけた。さっそく依頼を受けてみるのだ。
「おはよう、早速で悪いんだが今受けれる依頼を見たい。」
「あっ、ヒイラギさんおはようございます!!昨日はお疲れさまでした。依頼ですね?少々お待ちください。」
ミースは後ろの棚から分厚いファイルを取り出し、俺の前に広げた。
「一応ここからここまでがヒイラギさんが現在受注できる依頼になってます。」
分厚いファイルの中身を見せてもらうと……。
・ゴブリン5匹の討伐
・三日月草200gの納品
・オーリオの実500gの納品
・盗賊団の討伐
・ミルタ商会の積み荷の護衛
等々が書かれていた。
「おすすめはどれがいい?なるべく初心者向けので頼みたいんだが。」
最初はできれば簡単な依頼からこなしていきたいからな。
「そうですね、三日月草の依頼か、オーリオの実の依頼なんていかがでしょうか?」
「これは、生えてる場所に行ってとってくればいいのか?」
「そうです、この二つであれば近くの森に自生してますから簡単だと思いますよ?」
なるほど、近くの森に生えてるなら簡単そうだな。初めてにはちょうどいいかもしれない。
「じゃあ、三日月草の依頼を受けさせてくれ。」
「かしこまりました。三日月草の依頼ですね。それでは、こちらにサインをお願いします。」
「わかった。」
渡された依頼書にサインを書きミースに手渡した。これで受注完了のようだ。
「はい、大丈夫です。期限は明後日までとなっておりますので気をつけて下さいね。」
「あぁ、了解した。じゃあ行ってくる。」
足早にギルドを出ようとしたが、1つ聞かなければならないことを忘れていた。
「あぁすまないが、この近くに本屋はないかな?」
「本屋さんですか?それでしたら……。」
ミースに本屋までの道のりを聞いておいた。実は図鑑を買いたかったんだ。
街の中を歩きミースに教えてもらった道を進むと、そこには大きな建物があった。
「ここが本屋か、ずいぶん大きいな。」
まるで図書館のような場所だ。ここなら探している図鑑も置いていることだろう。俺はその建物の扉を開けて中に入り、司書のような服装の人に声をかけた。
「すまない、本を探しているんだ。」
「はい、何の本でしょうか?」
「この付近に生えている植物の本と、魔物の本がほしいんだが。」
「かしこまりました。それでしたらこちらにございますよ。」
案内された所には、ずらっとそれに関しての本がたくさん並んでいた。その中から二つ選び先ほど案内してくれた司書のもとへと向かった。
「これがほしいんだが、いくらだ?」
「はい、二冊で金貨二枚になります。」
金貨二枚……紙の価値が高いのか?めちゃくちゃ高いな。まぁ、幸いまだお金には余裕があるからな。
バッグから金貨二枚を取り出して司書に渡した。
「金貨二枚、これでいいか?」
「はい、確かに金貨二枚丁度頂きました。ありがとうございました。」
そして本屋を後にして街を歩きながら、先ほど買った本を読む。
なるほど三日月草は花が特徴的なんだな。木の根本に生えていることが多く、日光が大好きか……。
三日月なのにな。クスリと笑いながら俺は三日月草を採取するために森へと向かった。
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