上 下
94 / 100
5章 合法ロリBBAエルフ

第94話 エルフは一生涯愛してくれる種族です

しおりを挟む
「うん、イイ感じだね。みんな頑張って働いてるし、うまいこと運営できてる」

 子どもたちが働く姿を遠目から眺めながら、ティナに話しかける。

「そうじゃな。これならわしらがいなくても大丈夫そうじゃ」

「おぉ、それって、オレたちと一緒に来てくれるってことでいいのかな?」

「ふふ、それはどうじゃろうな?」

「なんだよー。ここまでティナのためにやったんだぞー?」

「ライよ、自分からいうとカッコわるいぞ」

「む、たしかに」

「冗談じゃ、おぬしはいい男じゃ。明日、宿に泊まったときに話をしよう」

「わかった」

 明日は、オレたちみんなで宿を貸し切ってお泊まり会をする予定だった。

 子どもたちのお店は、週休2日制にしたので、休みに合わせたお泊り会なのだが、ティナはそこでどんな話をしてくれるのだろう?

 セリフから察するに、ポジティブな内容だと思いたいのだが、ティナの好感度からして期待すぎると痛い目をみそうである。

 そうだとわかっていても期待してしまうのが男心。
 オレは明日を待ち遠しく思いながら、一日を過ごしたのであった。

♢♦♢

-翌日-

 みんなで温泉宿に泊まりにいくと、宿の運営を任せている教会の子どもたちが丁寧に接客してくれて、何組かに分かれて部屋に案内された。

 どういう配慮があったのか不明だが、オレはティナと二人っきりの相部屋だった。

 え?そういうことなんですか?
 もしかして、ティナが宿の人に言って、二人っきりにしてもらったとか?
 なんて考えていると、ティナはすぐに部屋から出ていって、子どもたちの部屋に行ってしまった。

「しょぼん……」

 オレは1人になったので、攻略スキルを開く。

------------------
ティナルビア
 好感度
  1/100
------------------

 ……そろそろ見るのもツラくなってきた……

 攻略さんに文句の一つも言おうと思っていると、かなり久々に新しいアドバイスが表示された。

------------------------------------------------------------------------------------------------
エルフは、夫婦となるとお互いに深い愛情を覚え、生涯その相手を愛し続ける種族です。
そのため、夫婦にさえなってしまえば、少し無茶をしても大丈夫です。
------------------------------------------------------------------------------------------------

 ふ、ふむ?そんなトリビアみたいな豆知識を与えられても……

『んで、次の行動はどうすればいいんですか?』

『……』

『そ、そうっすか、なんもなしすか。あと、少し無茶をしてもってなんですか?オレはいつも紳士ですけど?』

『どこがですか?』

『あ!久しぶりに反応した!ちょっと!ティナの攻略もっと詳しく教えてくださいよ!』

『……』

『あー!はいはい!まただんまりですか!せっかく攻略さんを信頼して行動したのに!好感度ずっと1なんですよ!もう心が折れそうですよ!!』

『大丈夫ですよ』

『……ホントですね?』

『大丈夫でっす』

『なんか適当じゃないすか?』

『いいえ?』

『な、ならいいですけど』

『夜が待ち遠しいですね』

『………え?それって……ま、まじすか』



 しばらくの間、攻略さんの思わせぶりな発言にソワソワしていたが、夜まで時間はあるし落ち着かないので、ノアールたちと遊ぶことにした。

 宿の広いロビーでみんなでトランプをしたり、ボードゲームなどをして遊んだ。宿には据え置きの遊び道具をいくつか置いてあるのだ。

 みんなで遊んでいると時間はすぐ過ぎて、用意しておいた夕食を食べてから、みんなで露天風呂に行く。混浴ではないので男女別々だ。

 男組は、オレとカイリとキッカの3人でのんびりと温泉を満喫し、あんまり長湯するとキッカがのぼせそうだったので、ささっと風呂をあがることにした。

 そして、温泉を堪能した後には、ひそかに楽しみにしてたことがある。

 妻たちの浴衣姿だ。
 温泉宿といえば、これだろう。

 各部屋に備え付けられた浴衣を着るのがマナーだよ、とか何とか言って、脱衣所から出てきた妻たちの浴衣姿をじっくりと眺める。
 いやぁ、湯上がり美少女の浴衣姿は最高だぜ。

「ライ様、あまり……その……子どもたちの前でそういう目をするのは……」

「……変態」

「私のことは好きに見てもらっていいですよ♪」

 リリィとソフィアに怒られてちょっとしゅんとした。

 しゅんとした分、ステラのことをガン見してたら、ソフィアにチョップされたのでトボトボと自室に退散することにした。

 そして、一人自室のベッドに座ってソワソワする。

 もう夜である。

 つまり、攻略さん曰く、〈待ち遠しい夜〉、である。

 なんだろななんだろな、ティナが告白してくれたりするのかな?

 それとも……その……もっとすんごい展開になったりするのかな?

 ティナがいつ帰ってくるのか見当もつかないが、オレの期待は上がっていくばかりだった。

「まだかなまだかな~♪ふんふん♪」
 あげく鼻歌まで歌い出す始末、なかなか痛々しい姿である。

 しかし、オレ本人はそれを自覚できるほど冷静ではいられなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います

八神 凪
ファンタジー
 平凡な商人の息子として生まれたレオスは、無限収納できるカバンを持つという理由で、悪逆非道な大魔王を倒すべく旅をしている勇者パーティに半ば拉致されるように同行させられてしまう。  いよいよ大魔王との決戦。しかし大魔王の力は脅威で、勇者も苦戦しあわや全滅かというその時、レオスは前世が悪神であったことを思い出す――  そしてめでたく大魔王を倒したものの「商人が大魔王を倒したというのはちょっと……」という理由で、功績を与えられず、お金と骨董品をいくつか貰うことで決着する。だが、そのお金は勇者装備を押し付けられ巻き上げられる始末に……  「はあ……とりあえず家に帰ろう……この力がバレたらどうなるか分からないし、なるべく目立たず、ひっそりしないとね……」  悪神の力を取り戻した彼は無事、実家へ帰ることができるのか?  八神 凪、作家人生二周年記念作、始動!  ※表紙絵は「茜328」様からいただいたファンアートを使用させていただきました! 素敵なイラストをありがとうございます!

戦犯勇者の弟妹~追放された弟妹の方が才能あるけど、人類がいらないなら魔王軍がもらいます~

アニッキーブラッザー
ファンタジー
「お前たちの兄の所為で魔王軍に負けた」、「償え」、「王国の恥さらしは追放だ」。人類と魔王軍の争い続く戦乱の世で、人類の希望といわれた勇者の一人が戦死し、人類の連合軍は多大な被害を受けた。勇者の弟である『エルセ』は故郷の民やそれまで共に過ごしてきた友たちから激しい罵詈雑言を浴びせられ、妹と共に故郷を追放された。 財を失い、身寄りもなく、野垂れ死ぬかと思った自分たちを保護したのは、兄の仇である魔王軍の将だった。 「貴様等の兄は強く勇敢な素晴らしき武人であった。貴様らの兄と戦えたことを吾輩は誇りに思う。生きたくば、吾輩たちと共に来い」 そして、人類は知らなかった。偉大な兄にばかり注目が集まっていたが、エルセと妹は、兄以上の才能と力を秘めた天賦の超人であることを。本来であれば、亡き兄以上の人類の希望となるはずの者たちを自分たちの手で追放したどころか、敵にしてしまったことを。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

国家魔術師をリストラされた俺。かわいい少女と共同生活をする事になった件。寝るとき、毎日抱きついてくるわけだが 

静内燕
ファンタジー
かわいい少女が、寝るとき毎日抱きついてくる。寝……れない かわいい少女が、寝るとき毎日抱きついてくる。 居場所を追い出された二人の、不器用な恋物語── Aランクの国家魔術師であった男、ガルドは国の財政難を理由に国家魔術師を首になった。 その後も一人で冒険者として暮らしていると、とある雨の日にボロボロの奴隷少女を見つける。 一度家に泊めて、奴隷商人に突っ返そうとするも「こいつの居場所なんてない」と言われ、見捨てるわけにもいかず一緒に生活することとなる羽目に──。 17歳という年齢ながらスタイルだけは一人前に良い彼女は「お礼に私の身体、あげます」と尽くそうとするも、ガルドは理性を総動員し彼女の誘惑を断ち切り、共同生活を行う。 そんな二人が共に尽くしあい、理解し合って恋に落ちていく──。 街自体が衰退の兆しを見せる中での、居場所を失った二人の恋愛物語。

処理中です...