上 下
78 / 100
5章 合法ロリBBAエルフ

第78話 精霊魔法とはじめての子守り

しおりを挟む
「ティナはギルドでのモンスター討伐経験はある?」

「ない」

「そっか。じゃあまずは登録からだね」

 ガルガントナのギルドに着いたオレたちは、まずティナの冒険者登録からはじめることにした。
 ティナに登録用紙を書いてもらい、受付に持っていく。ランクはいつも通り、初級Cからのスタートだ。

「ティナって戦闘能力としては、どれくらい強いのかな?風魔法は使えるみたいだけど」

 トトたちを助けたときに、詠唱をしていたのを思い出して質問する。

「得意なのは風じゃが、精霊の力を借りれば他の属性も使える」

「ふーむ?精霊の力っていうのは、普通の魔法とは違うのかな?」

「精霊は、自身が認めて契約したものにしか力を貸さぬ」

 なるほど?ざっくりな回答であったが、それだけしか教えてくれない様子だ。

「そっか、まぁ、オレとステラがいれば上級でも大丈夫だと思うけど、ティナははじめてのモンスター討伐だし、中級Aくらいから行ってみようか」

 こうして、お留守番のリリィの代わりに、ティナが入った4人でモンスター討伐に向かうこととなった。

♢♦♢

「ステラ!右側は任せた!」

「はい!」

 オレたちは群れになっている狼型モンスターを倒していく、中級Aレベルだから大したことはない。あと、3匹だ。

「ティナ!風魔法を!」

 オレとステラが左右に引いて射線を開ける。

「風の精霊よ、力を貸したまえ、ウィンドブレード!」

 無数の風の刃が狼たちを切り刻む。そして、その刃は勢いを止めず後ろの木々を何本もなぎ倒した。
 オーバーキルである。

「すっげぇ威力……」

 優劣を付けたいわけじゃないが、ソフィアのウィンドブレードよりもだいぶ高威力だった。

「なによそれ……ウィンドブレードの威力じゃないわ……」
 とソフィア本人も言っている。

「精霊の力を借りておるからじゃ」

「ふ、ふーん……おもしろいじゃない……」

 なんかソフィアが対抗心を燃やしてるようだ。暴走しないか心配だ。

 オレたちはそのまま別の群れを見つけては、討伐を繰り返した。

 ソフィアは張り切ってはいたが、連携を乱すようなことはせず、冷静に対応してくれる、心配は杞憂であった。

 ある程度倒してから、モンスターの牙を剥ぎ取ってギルドに戻ることにした。

「あれだけ戦えるなら上級以上でも良さそうだね?」

「はい、私もそう思います」

「んー、じゃあオレがいるときは上級Bまで。いないときは上級Cまでにしてもらえるかな?」

「私がいれば大丈夫だと思いますけど?」
 とステラ

「心配なんだよ。わかってくれるかな?」

「はい♪わかりました♪」

 なんだか、「その言葉が聞きたかったんです♪」という反応だ。

 まぁいい、とにかく、これからの方針は決まったので宿に戻ろうと思う。

♢♦♢

-翌日-

 今日はオレが子どもたちの面倒をみる当番だ。

「みんなは上級Cまでを上限として依頼を受けてきてくれ。町から離れすぎない依頼を選んで、なにかあったらすぐに意識共有で連絡を。あ、あとエリクサー渡しておくから分散して持っておいて。皆の判断で使ってくれていいから」

 みんなが頷いて出かけていく。心配だ。
 でも、オレの嫁たちは強い、上級Cまでなら大丈夫だろう。そう確信があったから送り出したんじゃないか。

 自分に言い聞かせて、子どもたちに意識を集中する。

「よし!」

 そして、5人の子どもたちと向き合った。

 子どもたちは、みんな綺麗な服を着ている。昨日、リリィにお願いして、みんなの服を新調してもらったおかげである。
 奴隷にされてたときはボロボロの服だったから、だいぶ印象が変わっていた。ボロい服はティナのときと同じ理由でポイしておいた。

 うん!これが健全な姿!本来あるべき格好だよな!

 オレは明るい気持ちで、怖がられないように意識しながら話しかけた。

「あらためて!オレは、ライ・ミカヅチ!よろしく!ライって呼んでくれ!」

「……」
「……」
 5人の子どもたちから、特に反応はない。

「ライは、ティナねぇねの旦那様なの?」

 ノアールが話しかけてくる。黒髪の猫耳幼女だ。

「ティナはまだお嫁さんじゃないけど、いつか、そうなってほしいなって思うよ」

 しゃがんで小さいその子の目線を合わせてから答えた。

「ふ~ん、ねぇねのことが好きなの?」

「そうだね、好きだよ」

「ノアもね!ねぇねのことが大好き!抱っこして!」

 笑顔で手を広げてきたので、リクエストに答えて肩車してやることにした。

「わぁーい!たかぁーい!」
 ノアールはご機嫌だ。

「じゃあ、みんなのことを教えてもらえるかな?好きなことや得意なことなんかを教えてほしいな」

「……オレは漁師の息子だから、料理ができる」

 カイリが答えてくれるようになった。ノアールと仲良くしているのをみて、少し心を許してくれたんだろうか。

「おぉ!それは凄いな!オレは料理あんまり得意じゃないんだ!」

「そ、そうかな?」

「そうだとも!じゃあ、お昼は魚を買ってきて、みんなで料理しようか!」

「う、うん」

「私は、本が好きで、だから文字が書けるのと計算ができます」
 とユーカが続いて答えてくれる。

「ユーカは賢いんだな!」
 頭を撫でてみる。

「……」
 特に嫌そうにはされない。そういえば、ユーカはメガネをかけている。才女の風格があるな。

 トトとキッカは、おどおどしながら、「お掃除とかするとお母さんが喜んでくれたよ」と教えてくれた。2人は姉と弟とのことだ。

「2人とも偉いぞ!」
 両手で頭を撫でる。

「ノアは!お絵描きが好き!」
 頭の上でノアールがそう言う。

「そうかそうか!じゃあ!絵を描く道具を買ってあげよう!」

「えー!いいのー!やったぁー!」

「みんなも欲しいものがあれば、にいちゃんが買ってやるぞー!」

 そういうと、みんなの目が輝きだした。

 物で釣るのは気が引けたが、仲良くなるきっかけは必要だ。これくらいのずるは許してほしい。

 子どもたちは、なにを欲しがるかな。それを楽しみにしながら、オレたちは町に繰り出した。

♢♦♢

 まずは、ノアールに色鉛筆のセットと、お絵描きノートを買ってあげる。肩車したまま手渡すと、喜んでオレの頭の上で絵を描き出した。

 カイリには料理道具として、まな板と包丁。

 ユーカは難しそうな本と小説を欲しがった。

 トトとキッカは控えめな性格なのか、思いつかないようだったので、トトにはぬいぐるみ、キッカには騎士の人形をプレゼントした。

 みんな喜んでいるように見えた。

 それから、オレたちは市場にいき、魚や肉を仕入れて宿に戻る。

 宿の主人にお金を払ってキッチンを貸してもらい、みんなで昼食を作った。カイリは漁師の息子というだけあって、様になった腕前だった。この特技を何かで活かせればいいのだが。

 そのあとは、ユーカ先生のフォローもありながら、みんなで文字と計算の勉強をしてみたりした。
 ノアールだけが勉強するのを拒否して、ずっとお絵描きをしていたが、他の子は熱心に勉強している。しっかりした子たちだ。

「にぃに!できた!」
 ノアールはオレのことをにぃにと呼んでくれるようになった。

「おぉ!見せて見せて!……うめぇ」

 手渡されたお絵かきノートには、幼女が書いたとは思えないほど、うまい風景画が描かれていた。ガルガントナの商店街が描かれている。

「の、ノアールの絵はすっごく上手いな!」
 一瞬あっけにとられたが、しっかりと褒めて頭を撫でてやる。

「でしょー!ノアは絵がじょーずなの!」
 猫耳幼女は尻尾を振って喜んだ。

 こうして、オレの子守り1日目は終わった。

 なかなか順調なのではないだろうか?この調子で、みんなと仲良くなれるといいな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います

八神 凪
ファンタジー
 平凡な商人の息子として生まれたレオスは、無限収納できるカバンを持つという理由で、悪逆非道な大魔王を倒すべく旅をしている勇者パーティに半ば拉致されるように同行させられてしまう。  いよいよ大魔王との決戦。しかし大魔王の力は脅威で、勇者も苦戦しあわや全滅かというその時、レオスは前世が悪神であったことを思い出す――  そしてめでたく大魔王を倒したものの「商人が大魔王を倒したというのはちょっと……」という理由で、功績を与えられず、お金と骨董品をいくつか貰うことで決着する。だが、そのお金は勇者装備を押し付けられ巻き上げられる始末に……  「はあ……とりあえず家に帰ろう……この力がバレたらどうなるか分からないし、なるべく目立たず、ひっそりしないとね……」  悪神の力を取り戻した彼は無事、実家へ帰ることができるのか?  八神 凪、作家人生二周年記念作、始動!  ※表紙絵は「茜328」様からいただいたファンアートを使用させていただきました! 素敵なイラストをありがとうございます!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

国家魔術師をリストラされた俺。かわいい少女と共同生活をする事になった件。寝るとき、毎日抱きついてくるわけだが 

静内燕
ファンタジー
かわいい少女が、寝るとき毎日抱きついてくる。寝……れない かわいい少女が、寝るとき毎日抱きついてくる。 居場所を追い出された二人の、不器用な恋物語── Aランクの国家魔術師であった男、ガルドは国の財政難を理由に国家魔術師を首になった。 その後も一人で冒険者として暮らしていると、とある雨の日にボロボロの奴隷少女を見つける。 一度家に泊めて、奴隷商人に突っ返そうとするも「こいつの居場所なんてない」と言われ、見捨てるわけにもいかず一緒に生活することとなる羽目に──。 17歳という年齢ながらスタイルだけは一人前に良い彼女は「お礼に私の身体、あげます」と尽くそうとするも、ガルドは理性を総動員し彼女の誘惑を断ち切り、共同生活を行う。 そんな二人が共に尽くしあい、理解し合って恋に落ちていく──。 街自体が衰退の兆しを見せる中での、居場所を失った二人の恋愛物語。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

処理中です...