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2章 ダンジョンと刀
第76話 全てを見通す
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やつの右手に槍の神器がおさまった。
『嬢ちゃん!咲守!』
「はい!」
「はい!」
オレたち2人は同時に走り出した。
やつが槍の尻をドン!と地面に叩きつける。すると、地面から槍と同じくらいの細い岩が無数に飛び出してきた。
オレたちはそれらを叩き折りながら前進する。スピードは緩めない。ガキン!双剣と薙刀がヤツの槍に届く。両手で持って防がれたが、ここまで接近すれば岩の槍は出せないだろう。
「らぁぁ!!」
「やぁぁ!!」
連撃。ひたすらに、槍目掛けて攻撃を叩き込んだ。いや、胴体を、首を、狙っているつもりだった。しかし、吸い寄せられるように槍に防がれる。2人では手数が足りない。だけど、オレたちは2人じゃない。
「背中がガラ空きなのよ!」
鈴が天井越しに後ろに回り込んで二丁拳銃を連射する。全弾、鎧武者の背中に命中した。
ヤツは苦しそうに悶え、オレたちから距離を取るために大きく横に跳躍、槍を投げつけてくる。槍が地面に突き刺さり、岩の槍衾が地面から飛び出してきたことで、オレたちは前進する足を止められた。
岩の槍を叩き折ったときには、ヤツの腕には、鎖鎌が握られていた。三本目の神器だ。
左手で鎖を持ち、右手で鎌を持つ。右手を鎌のすぐ下の鎖に持ち替えて、頭の上で振り回し始めた。ヘリのプロペラのように高速回転する。
鋭い風切り音。そして、鎌の周りには、緑色の光る刃がいくつも顕現しはじめた。
『風の刃だ!飛ばされる前に撃ち落とせ!』
「ラジャー!」
オレは双剣を3セット惜しみなく投げつける。
ゆあちゃんは矢を、鈴は光弾を撃ち込んだ。
ヤツの風の刃はオレたちの攻撃を受け、霧散する。
そこでヤツに動揺が見られる。自分の鎌の方を見て、なぜ対応されたのか不思議がっているようにも見えた。
鎌が右手から飛んでくる。オレはそれを余裕で弾いた。鎖で引き寄せようとするが、そこに――
「させません!」
ガキン!栞先輩の薙刀が鎖を打って地面に叩きつける。そして、そのまま抑え込んだ。
鎌はヤツの手の中には戻らなかった。
鎧武者が両手から鎖を離す。すかさず、両手をガラスケースにかざした。すると、両手の指の中に4本ずつ、計8本のクナイが収まった。
忍者のように低く構え、オレたちとの距離を測る。
そして、高速で腕を振って4本のクナイを投げつけてきた。クナイは、曲線を描くように左右からオレたちを狙う。
「ゆあちゃん!」
「わかってる!グランシールド!」
グランシールドがオレたちを包み込むように展開。ヤツのクナイは、あっけなくグランシードに弾かれて壁や地面に突き刺さった。突き刺さった場所から、シューっと煙が上がる。溶けているのだ。
「毒でしょ。わかってるんだから。あんた、武士みたいな見た目のくせに姑息よね」
ピク……
鎧武者が鈴の言葉に反応する。
「……」
「なによ?プライドでも傷つけられたわけ?なら、正々堂々やりなさいよ!卑怯者!」
「……」
鎧武者が残ったクナイを真横に投げつける。残りの4本が同時に壁に突き刺さり、壁を溶かしていた。
「なんだ?」
「鈴ちゃんの言葉で心を入れ替えた的な?」
『油断すんな。的場』
「は、はい」
「あとは、双剣だけですね」
「そのはずですが……なにか……」
『いや……違うな……おまえら、最後だ。次で終わる』
ヤツは、ゆっくりと歩いて、最初に正座していた位置に移動した。ガラスケースの中にはまだ一本、神器が残っているのに、それを引き寄せようとはしない。
ヤツが壁を叩くと、壁が反転し、一本の刀が現れた。
「師匠……」
『ああ、7本目だ』
師匠が見たことがない、7つ目の神器が姿を現したのだ。
「……」
オレたちは息を呑む。想定してない神器の登場に?いや、違う。
「本当に刀なんですけど、キモっ」
「いや、そこは、〈すごっ〉だろ?オレ、鳥肌立ってるもん」
「わ、ホントだ。りっくん、荻堂先生のこと好きすぎでしょ」
ゆあちゃんがオレの腕を見て、変なことを言い出す。
「好きってか、もう普通に憧れるよ。だって、見てない武器の種類まで当てちゃうんだぜ?あの人」
「そうですね。〈あいつの身のこなし、あれは剣士のそれだ〉でしたっけ?内心、なにこの人カッコいいって思ってました」
栞先輩がクスリと笑う。
「笑ってて草。ま、あいつの予想が当たったのは癪だけど、あれなら、いけそうね」
「ああ!」
『おまえら、最後は必殺の一撃がくる。咲守、前に出ろ』
「はい!」
オレは言われた通り、みんなの前に出て構える。
ヤツもゆっくりと近づいてきた。7メートル、6メートル、ぴたりと止まる。そして腰を低く落としてゆく。
『咲守』
「はい」
『集中しろ。俺はもう黙る』
「わかりました」
全身に力を込め、精神を集中させる。修行中の師匠の言葉を思い出していた。
〔あのクソは、剣士だ。それも一流。油断したら一撃で胴を斬り飛ばされる〕
油断してません。ジッとヤツをみる。ヤツは腰を落としきり、刀を左手に持ち替えた。
〔ヤツが最後に放つ一撃、それは、居合いだ〕
なんでわかるのか。本当に居合いがくるのだろうか。
ヤツは、左手の刀を腰あたりで固定し、やや後方に腰をひねる。右足をジリジリと前に出し、右手を刀に添えるように置いた。
居合いそのものの構えだった。
知っている。それは、何度も、何度も師匠とシミュレーションして、何度も受けてきた技だ。
〔咲守、居合いがきたら、ヤツが動く数コンマ一秒前に飛び出せ、数コンマだ。早すぎてもいけねー。警戒されてチャンスが無くなる。必ず、ギリギリで動け。そして、止めろ〕
「ふぅぅぅ……」
深呼吸して、息を止める。
ピリピリと空気が凍りつき、なんの音も聞こえなくなった。
ピク……ヤツの指が動く。違う。まだだ。必殺の一撃を放つ瞬間、そこには全身から発せられる特有の匂いがある。師匠にさんざん叩き込まれただろ。見誤るな。
ここだ!!
ヤツの殺意の匂いを感じ取り、それを合図に、思い切り飛び出した。
ヤツとの距離が縮まる。刀はまだ抜ききれていない。
〔なぁ、咲守、あいつの神器、それぞれ属性が違うよな?〕
〔はい〕
〔最後の属性、なんだと思う?〕
〔んー?〕
〔炎だ〕
ヤツが抜き切った鞘からは、炎が吹き出していた。オレの胴体を焼き切るつもりで一閃を放ったのだろう。
オレたちは、お互いに前進した真ん中あたりでぶつかり、オレはヤツの刀を受け止めていた。
よこなぎの一閃を、双剣で挟むように受け止め、そして左手を剣から離し、ヤツの手首を掴んだ。
炎が両手を焼こうと燃え上がり、右頬が熱い。でも、全部、師匠の想定通りだった。
「捕まえた」
『やれ!嬢ちゃん!』
「はい!」
栞先輩が後ろから飛び込んでくる。ヤツが離れようと足に力を入れるが離さない。
「諦めろ!おまえの負けだ!」
オレは右手に残った剣をやつの腹に突き刺す。そして――
「やぁぁ!!」
ズバッ!栞先輩の薙刀がやつの首をとらえた。
ガコン!鈍い音がする。兜が胴体から剥がれ落ちたのだ。ヤツの兜は二本の角があるため転がらない。胴体も動かない。
『消えるまで油断すんなよ。おまえら』
「はい……」
そのまま、しばらく待つ。刀から発せられていた炎が徐々に弱くなり、消えていく。
『武士なら、必殺の一撃を止められて、首を落とされたら終わりだろ』
師匠がぼそりと呟く。すると、ヤツの体が、サラサラと光の粒になり始めた。
「……やった!やったよ!鈴ちゃん!」
「ちょっと、抱きつかないで」
「いいじゃんいいじゃん!」
オレはまだ緊張を解かない。この距離で何かされたら死ぬからだ。
ジッと警戒していると、刺していた腹から抵抗がなくなり、掴んでいた腕も光になって、胴体が消えた。
兜を見る。鬼の仮面と目があったような気がしたが、そいつも、おとなしく光の粒となって消えていった。
「師匠……」
『ああ、おまえらの勝ちだ』
「ふぅぅ……よっし!!」
オレは我慢してたガッツポーズを取る。
「やりましたね!」
すぐに栞先輩が近づいてきて、ハイタッチを求められた。
「はい!」
パチン!とすぐに答える。
「ゆあもゆあも!ほら鈴ちゃんも!」
「はぁ……はいはい」
パチン!パチン!2人ともハイタッチをキメた。
「よっしゃー!!勝ったー!!」
オレはもう一度雄叫びをあげる。今度は遠慮しない。全力で腹から声を出した。
「うっさ」
「あはは!テンション上がるよね!」
「すごいです!本当に陸人くんは!あれを見切るなんて!」
オレたちは興奮冷めやらぬ中、しばらくワイワイと騒ぎ続ける。
今日この日、また、新たなダンジョンが攻略されたのだった。
=============
【あとがき】
いつも本作を読んでいただきありがとうございます♪
長い準備期間の末、ついに池袋駅ダンジョンのボスを討伐することができた陸人たち。最後の最後まで荻堂の作戦がカチっとハマったところは流石と言わざるを得ませんね。
どうだったでしょうか?楽しんでもらえたでしょうか?
「面白い!」と思っていただけましたら、〈ファンタジー小説大賞〉の投票にご協力いただけないでしょうか!
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「応援してやってもいいぞ」という方は、なにとぞよろしくお願いしますm(__)m
『嬢ちゃん!咲守!』
「はい!」
「はい!」
オレたち2人は同時に走り出した。
やつが槍の尻をドン!と地面に叩きつける。すると、地面から槍と同じくらいの細い岩が無数に飛び出してきた。
オレたちはそれらを叩き折りながら前進する。スピードは緩めない。ガキン!双剣と薙刀がヤツの槍に届く。両手で持って防がれたが、ここまで接近すれば岩の槍は出せないだろう。
「らぁぁ!!」
「やぁぁ!!」
連撃。ひたすらに、槍目掛けて攻撃を叩き込んだ。いや、胴体を、首を、狙っているつもりだった。しかし、吸い寄せられるように槍に防がれる。2人では手数が足りない。だけど、オレたちは2人じゃない。
「背中がガラ空きなのよ!」
鈴が天井越しに後ろに回り込んで二丁拳銃を連射する。全弾、鎧武者の背中に命中した。
ヤツは苦しそうに悶え、オレたちから距離を取るために大きく横に跳躍、槍を投げつけてくる。槍が地面に突き刺さり、岩の槍衾が地面から飛び出してきたことで、オレたちは前進する足を止められた。
岩の槍を叩き折ったときには、ヤツの腕には、鎖鎌が握られていた。三本目の神器だ。
左手で鎖を持ち、右手で鎌を持つ。右手を鎌のすぐ下の鎖に持ち替えて、頭の上で振り回し始めた。ヘリのプロペラのように高速回転する。
鋭い風切り音。そして、鎌の周りには、緑色の光る刃がいくつも顕現しはじめた。
『風の刃だ!飛ばされる前に撃ち落とせ!』
「ラジャー!」
オレは双剣を3セット惜しみなく投げつける。
ゆあちゃんは矢を、鈴は光弾を撃ち込んだ。
ヤツの風の刃はオレたちの攻撃を受け、霧散する。
そこでヤツに動揺が見られる。自分の鎌の方を見て、なぜ対応されたのか不思議がっているようにも見えた。
鎌が右手から飛んでくる。オレはそれを余裕で弾いた。鎖で引き寄せようとするが、そこに――
「させません!」
ガキン!栞先輩の薙刀が鎖を打って地面に叩きつける。そして、そのまま抑え込んだ。
鎌はヤツの手の中には戻らなかった。
鎧武者が両手から鎖を離す。すかさず、両手をガラスケースにかざした。すると、両手の指の中に4本ずつ、計8本のクナイが収まった。
忍者のように低く構え、オレたちとの距離を測る。
そして、高速で腕を振って4本のクナイを投げつけてきた。クナイは、曲線を描くように左右からオレたちを狙う。
「ゆあちゃん!」
「わかってる!グランシールド!」
グランシールドがオレたちを包み込むように展開。ヤツのクナイは、あっけなくグランシードに弾かれて壁や地面に突き刺さった。突き刺さった場所から、シューっと煙が上がる。溶けているのだ。
「毒でしょ。わかってるんだから。あんた、武士みたいな見た目のくせに姑息よね」
ピク……
鎧武者が鈴の言葉に反応する。
「……」
「なによ?プライドでも傷つけられたわけ?なら、正々堂々やりなさいよ!卑怯者!」
「……」
鎧武者が残ったクナイを真横に投げつける。残りの4本が同時に壁に突き刺さり、壁を溶かしていた。
「なんだ?」
「鈴ちゃんの言葉で心を入れ替えた的な?」
『油断すんな。的場』
「は、はい」
「あとは、双剣だけですね」
「そのはずですが……なにか……」
『いや……違うな……おまえら、最後だ。次で終わる』
ヤツは、ゆっくりと歩いて、最初に正座していた位置に移動した。ガラスケースの中にはまだ一本、神器が残っているのに、それを引き寄せようとはしない。
ヤツが壁を叩くと、壁が反転し、一本の刀が現れた。
「師匠……」
『ああ、7本目だ』
師匠が見たことがない、7つ目の神器が姿を現したのだ。
「……」
オレたちは息を呑む。想定してない神器の登場に?いや、違う。
「本当に刀なんですけど、キモっ」
「いや、そこは、〈すごっ〉だろ?オレ、鳥肌立ってるもん」
「わ、ホントだ。りっくん、荻堂先生のこと好きすぎでしょ」
ゆあちゃんがオレの腕を見て、変なことを言い出す。
「好きってか、もう普通に憧れるよ。だって、見てない武器の種類まで当てちゃうんだぜ?あの人」
「そうですね。〈あいつの身のこなし、あれは剣士のそれだ〉でしたっけ?内心、なにこの人カッコいいって思ってました」
栞先輩がクスリと笑う。
「笑ってて草。ま、あいつの予想が当たったのは癪だけど、あれなら、いけそうね」
「ああ!」
『おまえら、最後は必殺の一撃がくる。咲守、前に出ろ』
「はい!」
オレは言われた通り、みんなの前に出て構える。
ヤツもゆっくりと近づいてきた。7メートル、6メートル、ぴたりと止まる。そして腰を低く落としてゆく。
『咲守』
「はい」
『集中しろ。俺はもう黙る』
「わかりました」
全身に力を込め、精神を集中させる。修行中の師匠の言葉を思い出していた。
〔あのクソは、剣士だ。それも一流。油断したら一撃で胴を斬り飛ばされる〕
油断してません。ジッとヤツをみる。ヤツは腰を落としきり、刀を左手に持ち替えた。
〔ヤツが最後に放つ一撃、それは、居合いだ〕
なんでわかるのか。本当に居合いがくるのだろうか。
ヤツは、左手の刀を腰あたりで固定し、やや後方に腰をひねる。右足をジリジリと前に出し、右手を刀に添えるように置いた。
居合いそのものの構えだった。
知っている。それは、何度も、何度も師匠とシミュレーションして、何度も受けてきた技だ。
〔咲守、居合いがきたら、ヤツが動く数コンマ一秒前に飛び出せ、数コンマだ。早すぎてもいけねー。警戒されてチャンスが無くなる。必ず、ギリギリで動け。そして、止めろ〕
「ふぅぅぅ……」
深呼吸して、息を止める。
ピリピリと空気が凍りつき、なんの音も聞こえなくなった。
ピク……ヤツの指が動く。違う。まだだ。必殺の一撃を放つ瞬間、そこには全身から発せられる特有の匂いがある。師匠にさんざん叩き込まれただろ。見誤るな。
ここだ!!
ヤツの殺意の匂いを感じ取り、それを合図に、思い切り飛び出した。
ヤツとの距離が縮まる。刀はまだ抜ききれていない。
〔なぁ、咲守、あいつの神器、それぞれ属性が違うよな?〕
〔はい〕
〔最後の属性、なんだと思う?〕
〔んー?〕
〔炎だ〕
ヤツが抜き切った鞘からは、炎が吹き出していた。オレの胴体を焼き切るつもりで一閃を放ったのだろう。
オレたちは、お互いに前進した真ん中あたりでぶつかり、オレはヤツの刀を受け止めていた。
よこなぎの一閃を、双剣で挟むように受け止め、そして左手を剣から離し、ヤツの手首を掴んだ。
炎が両手を焼こうと燃え上がり、右頬が熱い。でも、全部、師匠の想定通りだった。
「捕まえた」
『やれ!嬢ちゃん!』
「はい!」
栞先輩が後ろから飛び込んでくる。ヤツが離れようと足に力を入れるが離さない。
「諦めろ!おまえの負けだ!」
オレは右手に残った剣をやつの腹に突き刺す。そして――
「やぁぁ!!」
ズバッ!栞先輩の薙刀がやつの首をとらえた。
ガコン!鈍い音がする。兜が胴体から剥がれ落ちたのだ。ヤツの兜は二本の角があるため転がらない。胴体も動かない。
『消えるまで油断すんなよ。おまえら』
「はい……」
そのまま、しばらく待つ。刀から発せられていた炎が徐々に弱くなり、消えていく。
『武士なら、必殺の一撃を止められて、首を落とされたら終わりだろ』
師匠がぼそりと呟く。すると、ヤツの体が、サラサラと光の粒になり始めた。
「……やった!やったよ!鈴ちゃん!」
「ちょっと、抱きつかないで」
「いいじゃんいいじゃん!」
オレはまだ緊張を解かない。この距離で何かされたら死ぬからだ。
ジッと警戒していると、刺していた腹から抵抗がなくなり、掴んでいた腕も光になって、胴体が消えた。
兜を見る。鬼の仮面と目があったような気がしたが、そいつも、おとなしく光の粒となって消えていった。
「師匠……」
『ああ、おまえらの勝ちだ』
「ふぅぅ……よっし!!」
オレは我慢してたガッツポーズを取る。
「やりましたね!」
すぐに栞先輩が近づいてきて、ハイタッチを求められた。
「はい!」
パチン!とすぐに答える。
「ゆあもゆあも!ほら鈴ちゃんも!」
「はぁ……はいはい」
パチン!パチン!2人ともハイタッチをキメた。
「よっしゃー!!勝ったー!!」
オレはもう一度雄叫びをあげる。今度は遠慮しない。全力で腹から声を出した。
「うっさ」
「あはは!テンション上がるよね!」
「すごいです!本当に陸人くんは!あれを見切るなんて!」
オレたちは興奮冷めやらぬ中、しばらくワイワイと騒ぎ続ける。
今日この日、また、新たなダンジョンが攻略されたのだった。
=============
【あとがき】
いつも本作を読んでいただきありがとうございます♪
長い準備期間の末、ついに池袋駅ダンジョンのボスを討伐することができた陸人たち。最後の最後まで荻堂の作戦がカチっとハマったところは流石と言わざるを得ませんね。
どうだったでしょうか?楽しんでもらえたでしょうか?
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