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2章 ダンジョンと刀

第43話 体力測定と生徒会メンバー

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 オレたち3人は、次の競技に向けて移動していた。グラウンドの反対側に待機列ができているので、そちらに向かう。

「てかさ、仲間探しってどうすればいいんだっけ?」

「成績がいい人に声かければいいのよ」

「ふむ?今のところ、椿先輩と鳴神先輩は凄かったよな?」

「そうだけど、りっくんは生徒会長苦手なんでしょ?」

「苦手とは違うけど、どうかな~」

 次の競技の待機列までやってきて、順番を待っていると、話を聞いていたのか、隣の男子学生が話しかけてきた。同じ高1のようだ。

「なぁなぁ、咲守たちって仲間探ししてるんだよな?」

「へ?あ、ああ、そうだよ。はじめまして?」

「もし良かったら俺たち入れてくれないか?体力測定はA判定取れると思う」
「おい!ずるいぞ!なら俺だって!ダンジョン踏破者ってすごい賞金でるんだよな!俺も仲間に入れてくれよ!」
「いやいや!私はどうかな!?サポートくらいならできると思う!」

 話を聞きつけたのか、多くの人に囲まれてしまう。みんな目を輝かせているが、オレはすごく違和感を覚える。

「ちょ!ちょっと待って!すまんけどいいかな!みんな!」

 大きな声を出して、一旦みんなを落ち着かせた。静かになったので、話し出す。

「あの、前提として、〈命懸け〉なんだけど、それは大丈夫かな?」

 シーン……
 静まり返ってしまう。

「そ、そうだよな……なんかごめん……」
「軽率だったかも……」

 みんなも、ニュースくらい見ているのだろう。毎年、何人もの学生がダンジョンの犠牲になっているのを知っているはずだ。盛り上がっていたところ申し訳ないが、覚悟がない人を仲間にすることはできない。

「なんの人だかりですか?皆さん、列を乱さないように」

 オレたちを見かねてか、生徒会長の椿先輩がやってきて言い含めてくれた。ことなきを得る。ほっと息を吐いていると、

「あの、咲守くんたちは、仲間を探してるんですか?」

 椿先輩の横についていた鳴神先輩から話しかけられた。突然話しかけられて驚いたが、他の生徒と違って浮かれた様子は全く見受けられない。

「え?ええ、一応探してるところです……」

「そうですか……条件を伺っても?」

「じょ、条件ですか?お互いに信頼し合って、同じ目標に挑めること?とか?」

「目標というのは、記者会見で話していたことですよね?ご家族を助けたい、という」

「はい。そうです」

「わかりました。教えてくれてありがとうございます」

「いえ……」

 鳴神先輩は、丁寧にゆっくりとお辞儀をしてから椿先輩のもとに戻っていった。鳴神先輩がなにかを話し、椿先輩が難しい顔をしてからオレたちのことを見る。
 な、なんだろう?怒られそうな顔を向けられたが、特になにも言われずに顔を逸らされた。

「なんだったのかな?」

「さぁ?」

「脈ありかもね」

「なにが?」

「鳴神先輩、少なくとも、わたしたちに興味はあるみたいね」

「ふむ?」

 鈴が言うのだからそうなのだろうか?

 そのあと、50メートル走と持久走を行って、今日の体力測定は終了となった。
 オレと鈴はトップクラスの成績をおさめ、ゆあちゃんも普通の生徒よりはだいぶ良い成績を残すことができた。
 生徒会メンバーはやはりすごくて、オレと同レベル、またはそれ以上の人もいたようだ。

 こうして、一日目の体力測定が終わる。明日は、迷宮攻略科の生徒が名実ともに主役となる、特殊な体力測定が行われる予定だ。
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