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2章 ダンジョンと刀
第38話 政府からの回答
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「それでは、例の記者会見の要望に対して、政府から届いたメールを共有しようと思います。政府から届いた回答には、大きく2つのことが書かれていました。それを今からお話しします」
「お願いします」
午前中、登校してすぐの朝礼の時間だった。桜先生が教壇の後ろの空間に巨大なモニターを投影し、そこに政府からのメールを表示させる。
「まず一つ目、〈ダンジョン踏破者には、これまでの取り決め通り賞金を授与する〉という内容についてです」
「賞金?そんなのかかってたんだ?」
「あんた……マジでニュースとか見ないわけ?」
「うん。見ない」
「はぁ……」
鈴は呆れ顔だ。
「うふふ♪まぁまぁ、私から説明しますね。今お話ししたように、ダンジョンには政府から正式な懸賞金がかけられています。その金額はダンジョンの難易度と、ダンジョンに囚われている人物の地位にも影響するのですが、どのダンジョンもかなり高額な金額が設定されています」
「ふむふむ」
「目白駅ダンジョンにかけられていた懸賞金は1億とんで500万円、それを支払いたいので振込先を教えてください。と記載されています」
「……い、1億?」
「ごきゅり……」
隣のゆあちゃんが息を呑む。
「え?は?1億っていいました?あ!一応500万ですかね!それでも十分高いですけどね!」
「いえ、1億と500万円です」
「……ど、ドドド、どうすれば?そんな大金?」
「ま、ダンジョン攻略に役立てればいいんじゃない?好きに決めていいわよ。わたし、お金に興味ないし」
「か、金持ちめ……お父さんに恩返しでもしようかな……ゆ、ゆあちゃんはどう思う?」
「い、1億あれば……りっくんと夢のマイホームが……い、イチャラブ新婚生活……」
なんかブツブツ言ってる。
「……ゆあちゃん?」
「はっ!?ううん!なんでもない!ダンジョン攻略!そう!ダンジョン攻略に役立てよ!それがいいよ!」
「使い道は後日考えるとして、どなたの口座に振り込みますか?」
「オレ、口座なんて持ってないぞ?」
「おばちゃんの口座でいいんじゃない?」
「んー、でも、お母さん、1億なんて見たら気絶しそう……」
「なら、防衛大臣のパパにしときなさいよ」
「まぁ、それが無難か。口座についてはお父さんにメールで聞いておきます」
「わかりました。わかったら私にメールしてください。手続きしますので」
「お願いします」
「それでは、もう一つの件、東京駅ダンジョンの開放についてですね」
オレたち3人は真剣な顔になって前を向いた。こっちが本題だ。
「政府の回答としては、〈もう一つダンジョンを踏破してくれれば、東京駅ダンジョンの開放について検討する〉というものでした」
「検討する?」
「はい。そう書いてあります。私もこの部分が気になりました」
「つまり、検討はしてやるけど、約束はしないってこと?ふざけてるわね」
「ゆあも同じ意見。危険なダンジョンに挑ませようとしてるくせに、なにそれって感じ」
「その通りですね。でも、一応これは正式な政府からの回答ですので、この政府の印鑑が押されたメールを使えば、どうにでもなると思います」
「ふむふむ、それはどういう?」
「かなり強引ではありますが、もう一つダンジョンを攻略したのち、やっぱりもう一つお願い、とか言ってきたら、このメールをマスコミにばら撒きます」
「な、なるほど」
たしかに多少強引ではあるが、世論を味方につければ政府は動かせる気もする。
「それか、もう今のうちからネットに公表すればいいんじゃないかしら?政府のこんな回答、皆さんはどう思いますかー?って」
「それも一案ではありますが、今はまだ事を荒立てる必要はないかと、まずは穏便にいきませんか?」
「桜先生がそう言うなら。オレは良いと思う。桜先生が1番頭いいんだし」
「うふふ♪ありがとうございます♪陸人くんに褒めてもらえるのが1番嬉しいです♡」
「……あー、鈴とゆあちゃんはどう思う?」
「ま、いいんじゃない?結局、もう一個ダンジョンを攻略しなきゃいけないってのが骨が折れそうだけど」
「ゆあもいいと思う。桜ちゃん、攻略するダンジョンに指定はあるの?」
「いえ、どのダンジョンでもいいそうです」
「なるほど。じゃあ、オレたちの回答は決まりました。〈近いうちにダンジョンを攻略するので、封鎖を解く準備をはじめてください〉です」
「うふふ♪すごくカッコよくて痺れる回答だと思います♪さすが私の王子様♡ウットリです♡」
「ど、どうも……」
「夢女キモい」
「ぶりっ子しばいたろか?」
教壇に立つ女教師と隣の幼馴染が暗い笑顔で睨み合いをはじめた。怖いのでスルーしておく。
とにかく、オレたちの次の目標は決まった。
どこでもいいので、もう一つダンジョンを攻略し、東京駅ダンジョンを開放させる。
そして、東京駅ダンジョンを攻略し、うみねぇちゃんと鈴の双子の妹、ベルの2人を救い出す。これがオレたちの最終目標だ。
「お願いします」
午前中、登校してすぐの朝礼の時間だった。桜先生が教壇の後ろの空間に巨大なモニターを投影し、そこに政府からのメールを表示させる。
「まず一つ目、〈ダンジョン踏破者には、これまでの取り決め通り賞金を授与する〉という内容についてです」
「賞金?そんなのかかってたんだ?」
「あんた……マジでニュースとか見ないわけ?」
「うん。見ない」
「はぁ……」
鈴は呆れ顔だ。
「うふふ♪まぁまぁ、私から説明しますね。今お話ししたように、ダンジョンには政府から正式な懸賞金がかけられています。その金額はダンジョンの難易度と、ダンジョンに囚われている人物の地位にも影響するのですが、どのダンジョンもかなり高額な金額が設定されています」
「ふむふむ」
「目白駅ダンジョンにかけられていた懸賞金は1億とんで500万円、それを支払いたいので振込先を教えてください。と記載されています」
「……い、1億?」
「ごきゅり……」
隣のゆあちゃんが息を呑む。
「え?は?1億っていいました?あ!一応500万ですかね!それでも十分高いですけどね!」
「いえ、1億と500万円です」
「……ど、ドドド、どうすれば?そんな大金?」
「ま、ダンジョン攻略に役立てればいいんじゃない?好きに決めていいわよ。わたし、お金に興味ないし」
「か、金持ちめ……お父さんに恩返しでもしようかな……ゆ、ゆあちゃんはどう思う?」
「い、1億あれば……りっくんと夢のマイホームが……い、イチャラブ新婚生活……」
なんかブツブツ言ってる。
「……ゆあちゃん?」
「はっ!?ううん!なんでもない!ダンジョン攻略!そう!ダンジョン攻略に役立てよ!それがいいよ!」
「使い道は後日考えるとして、どなたの口座に振り込みますか?」
「オレ、口座なんて持ってないぞ?」
「おばちゃんの口座でいいんじゃない?」
「んー、でも、お母さん、1億なんて見たら気絶しそう……」
「なら、防衛大臣のパパにしときなさいよ」
「まぁ、それが無難か。口座についてはお父さんにメールで聞いておきます」
「わかりました。わかったら私にメールしてください。手続きしますので」
「お願いします」
「それでは、もう一つの件、東京駅ダンジョンの開放についてですね」
オレたち3人は真剣な顔になって前を向いた。こっちが本題だ。
「政府の回答としては、〈もう一つダンジョンを踏破してくれれば、東京駅ダンジョンの開放について検討する〉というものでした」
「検討する?」
「はい。そう書いてあります。私もこの部分が気になりました」
「つまり、検討はしてやるけど、約束はしないってこと?ふざけてるわね」
「ゆあも同じ意見。危険なダンジョンに挑ませようとしてるくせに、なにそれって感じ」
「その通りですね。でも、一応これは正式な政府からの回答ですので、この政府の印鑑が押されたメールを使えば、どうにでもなると思います」
「ふむふむ、それはどういう?」
「かなり強引ではありますが、もう一つダンジョンを攻略したのち、やっぱりもう一つお願い、とか言ってきたら、このメールをマスコミにばら撒きます」
「な、なるほど」
たしかに多少強引ではあるが、世論を味方につければ政府は動かせる気もする。
「それか、もう今のうちからネットに公表すればいいんじゃないかしら?政府のこんな回答、皆さんはどう思いますかー?って」
「それも一案ではありますが、今はまだ事を荒立てる必要はないかと、まずは穏便にいきませんか?」
「桜先生がそう言うなら。オレは良いと思う。桜先生が1番頭いいんだし」
「うふふ♪ありがとうございます♪陸人くんに褒めてもらえるのが1番嬉しいです♡」
「……あー、鈴とゆあちゃんはどう思う?」
「ま、いいんじゃない?結局、もう一個ダンジョンを攻略しなきゃいけないってのが骨が折れそうだけど」
「ゆあもいいと思う。桜ちゃん、攻略するダンジョンに指定はあるの?」
「いえ、どのダンジョンでもいいそうです」
「なるほど。じゃあ、オレたちの回答は決まりました。〈近いうちにダンジョンを攻略するので、封鎖を解く準備をはじめてください〉です」
「うふふ♪すごくカッコよくて痺れる回答だと思います♪さすが私の王子様♡ウットリです♡」
「ど、どうも……」
「夢女キモい」
「ぶりっ子しばいたろか?」
教壇に立つ女教師と隣の幼馴染が暗い笑顔で睨み合いをはじめた。怖いのでスルーしておく。
とにかく、オレたちの次の目標は決まった。
どこでもいいので、もう一つダンジョンを攻略し、東京駅ダンジョンを開放させる。
そして、東京駅ダンジョンを攻略し、うみねぇちゃんと鈴の双子の妹、ベルの2人を救い出す。これがオレたちの最終目標だ。
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