鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸

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1章 奪う力と与える力

第14話 大切な従者と第四王子

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 ベッドの下で待機していると、正午に差しかかったころ、窓から馬車団の音が聞こえてきた。玄関の方があわただしくなる。あいつが到着したのだろう。

 しばらくして、ガヤガヤと話し声が聞こえたかと思うと、バン!と部屋の扉が乱暴に開けられた。

「はははは!もうすぐ!もうすぐあの女が手に入る!どう思う!ブラウ、アズー!」

「はっ、クワトゥル様にもらわれてピアーチェス様もお幸せでしょう」
「生意気な女ほど楽しめると思います!」

「はは!そうだろうそうだろう!やはり、アズーは私と気が合うな!そういえば、この前渡してやったメイドはどうだった!」

「すごく良かったです!特に泣き顔が!」

「ははは!それは良かった!是非アズーの調教の仕方についても教えてくれよ!実に愉快だ!」

 そして、こいつらは信じられないような下品な話をはじめる。〈相手が嫌がっていればいるほどいい〉とかどうとか。

 なんでこんなやつらの地位が高いんだ……こんなやつら……地獄に落ちればいい。
 僕はベッドの下から、そいつらの足を睨み続けた。



 夕方になり、散々聞きたくもない話を聞いたら、あいつらは食事に向かい、また部屋に戻ってきて酒を飲み始めた。
 よし、このくだらない宴会が終わって寝静まったら第四王子のギフトキーを奪い取ってやる。
 そう思っていたのに、

「そういえば、アズー、おまえいい酒が手に入ったとか言ってなかったか?クワトゥル様に献上すると言っていたではないか?」

「そうだった!ありがと!兄上!すぐに持って参りますので!」

「よいよい!皆でアズーの部屋に行こうではないか!はははは!」

 そして、大声を上げながら、3人とも連れだって部屋を出ていってしまった。追うかどうか迷う。いや、まだあと5日の猶予がある。こいつらが別荘にいる間に奪えばいいんだ。余計なリスクは犯さないようにしよう。僕ははやる気持ちを抑えて、その日はベッドの下で過ごすことにした。



-翌日-

 城のような別荘の中をこそこそと歩き回る。結局、あいつらはあの後戻ってこなかった。おそらく、アズーの部屋で飲み始めて、そのまま寝たのだろう。

 僕の能力の特性上、第四王子が寝ている間に奪うのが1番リスクが低い。だから、あいつの寝室に潜り込んでいたのだが、昨日のように別の部屋で寝られては敵わない。せめてあいつの習性くらいは把握しておかないと、そう考えながら、キョロキョロしていると、使用人の服を着たカリンがキッチンへと入って行くのが見えた。

 そして、そのカリンのことを、あいつが……第四王子がニヤけた顔で追いかけていくのを見つけてしまう。すごくイヤな予感がして、すぐに後を追った。見つからないように物陰に身を隠し、キッチンの中の会話に聞き耳を立てる。

「おまえ、新入りだな?」

「……はい。3日前から使えさせていただくことになりました」

 カリンとあいつの声が聞こえる。

「いい身体してるじゃないか」

「おたわむれを……」

 冷や汗が流れる。そっと、キッチンの中の様子を伺った。
 カリンが第四王子に迫られ、壁に追いやられていた。両手を掴まれている。

 『カリン!』すぐに出て行こうとしたが、カリンと目が合い睨まれる。『今は出てくるな』そう訴えかけられた。僕は、ぴたりと身体を止めて、元の位置に戻る。
 ぎゅっと、棚の縁を強く握りしめて、カリンのことを見守った。

「あん?なんだその目は?私のことを舐めているのか?」

「滅相もございません……」

「おまえ、私に使えてるということは、私の所有物であるという自覚はあるな?」

「……」

「答えろ!」

「は、はい……」

「いい子だ。ふふふ……おまえ、今晩、私の部屋に来い、可愛がってやる」

「か、かしこまりました……」

 クワトゥル第四王子は、カリンの同意を聞いて満足したのか。ニヤついた顔を浮かべたまま、キッチンを出ていった。

「……カリン!大丈夫!?」

 僕は、あいつの気配が無くなってから、すぐにカリンに近づく。

「よく我慢されました、ご主人様」

 焦っている僕とは裏腹にカリンは冷静だ。

「なんであんな約束!すぐに逃げよう!」

「いえ、逆に好都合です」

「なにがだ!」

「落ち着いてください、ご主人様」

 そっと、唇に人差し指を当てられる。

「むぐ……でも……だって、カリンが……」

「心配していただけるのは嬉しく思います。しかし、目的はあいつからスキルを奪うことです。私のことは二の次で大丈夫です」

「でも……」

「いいですか?ご主人様。私はあいつに今晩呼ばれました。つまり、今晩あいつは自室で私と2人っきりになるということです。ご主人様は、昨日と同じようにベッドの下に隠れ、待機していてください。あいつが眠ったらギフトキーの奪取を」

「でも……カリンの身が危ないよ……」

「私は大丈夫です、私を信じてください。ほら、人が来ました、隠れて」

 グッと背中を押され、廊下に出される。僕は不安な気持ちを抱えたまま、その場を後にした。
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