【R-18】喪女ですが、魔王の息子×2の花嫁になるため異世界に召喚されました

indi子/金色魚々子

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5 憂鬱な花嫁と王子の優しさ

5 憂鬱な花嫁と王子の優しさ ③

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「……え?」

「星、綺麗だろう? 雲が晴れると聞いて、これを見せたらお前が喜ぶだろうと思ったんだ。このところ、浮かない表情ばかりしていたからな」

「あの、アレクセイ……その」

「どうかしたか?」

 アレクセイは、ミサキの事を想い、ミサキのためにここに連れてきたのだ。その事実を知ってしまったら、彼の顔とまともに見れそうにない。異性にここまで優しく、それもミサキを喜ばそうとしてくれる相手は今まで居たことがなかったからだ。こんなとき、どんな表情をしたらいいのか……どこかに書いてあったはずなのに、ミサキは思い出せないままだった。

「お前は……」

「え?」

「どうしても、元の世界に戻りたいか?」

「……どちらかと言えば」

「慣れてきたではないか」

「でも……やっぱり、私がここにいたら迷惑になりそうで」

「……迷惑?」

「いつまで経っても子ども出来ないし、できたら出来たで争いの火種になりそうだし……それなら、いっそいなくなった方がマシなんじゃないかって」

「……バカな事を考えるのはやめろ」

 ハッと、ミサキが顔を上げる。アレクセイはミサキに手を伸ばし、親指で目元をぬぐった。彼の指には、星の様にきらめくミサキの涙の粒がつく。

「別に、子どもなんてそう焦るものでもない。……気がすむまで、ゆっくりこの世界で過ごすのも一興だろう」

「でも……」

「お前の話を聞いている限り、元の世界に帰る事が、お前にとってそれほど良いものとは思えないがな」

「う……」

 マイナス面ばかり話していたせいで、悪印象だけがアレクセイに残ってしまったらしい。ミサキは小さく肩を落とす。しかし、アレクセイは悲しそうに眉を下げる。そんな表情、今まで見たことがない。ミサキが知っているアレクセイは俺様気質で傲慢で、少し乱暴なところが多かった。さっきから、知らない彼の一面ばかり見てしまう。

「この国に残り……俺と共に生きるつもりはないか?」

「え?」

 そのアレクセイの言葉に、ミサキは目を丸くさせた。そんな素直なミサキのリアクションを見たアレクセイは、「冗談だ」と視線を伏せる。

「これから先、いずれ、お前は俺か兄上、どちらかの子を孕むのだろう。それと引き換えに、お前はこの世界から去る」

「うん……」

「しかし……母が身近にいない子は、不憫だろうなと考えてしまう」

 ミサキもアレクセイも、そしてミハイルも気付けば母の姿はそこになかった。だからこそそれを渇望している……そのアレクセイの寂しげな気持ちは、ミサキには手に取るように分かってしまう。ぐっと押し黙ると、アレクセイはミサキには近づき、優しくその肩を抱いた。

「それに……例え、兄上の子を孕んだとしても……お前には、俺のそばにいて欲しいのだ」

「……アレクセイ?」

 その言葉は、まるで……愛の告白を聞いているようだった。アレクセイは首を振る。

「いや……今の言葉は忘れろ。いいな、ミサキ」

「でも……」

 それが貴方の本心なのでしょう?とミサキは問いただしたくて仕方がなかった。しかし、そんなミサキの唇を静かに、アレクセイのそれが覆う。

「俺が為すべきことは、王の跡を継ぐことだ。そのためには、この勝負、絶対に勝たなければならない」

「アレクセイ……?」

「だからミサキ、今は何も考えるな……何も考えず、俺に抱かれろ」

 アレクセイはゆっくりと、ミサキを押し倒す。大理石で作られた天文台の床は、想像していたよりもひんやりと冷たかった。アレクセイはミサキの額、鼻先、耳に口付けをしていく。それがこそばゆくて、ミサキは身じろいだ。

 アレクセイの熱を持った舌が、ミサキの耳をなぞるように舐め回していく。こわばっていたミサキの体から、徐々に力が抜けていった。

「んん……あ、んぅ」

「お前は相変わらず感じやすいな」

「そんな……」

 ミサキが恥ずかしさから顔を赤らめると、アレクセイは小さく微笑んだ。

「そういう所が良いと言ったんだ」

「でも……」

「お前はそのままでいてくれ、何も考えず快楽に打ち震えるお前は、なによりも可愛らしい」

 アレクセイの口から出てきたとは思えないくらい、その言葉は甘い。ふっとミサキの体が蕩け、頰をピンク色に染めた時、自分が何を言ったのか気づいたアレクセイも顔を赤らめた。

「今のも忘れろ」

「無理、だって……嬉しいんだもん」

「ならば、勝手にしろ」

 うっすらと染まったミサキの首筋に、アレクセイは口付けを落とす。ちゅっちゅっとわざとらしく音を刻み、ついばみ……そして、針を刺すような痛みが走った。

「んっ……」

「痛かったか?」

 ミサキは小さく頷く……しかし、アレクセイはそのキスした部分を愛おしそうにそっと撫でた。そこには、彼の印が赤く残る。

 そして、その手はミサキの寝間着のボタンを上から外していく。外気に晒され、少し肌寒さを感じるが、火照り始めた体では全く気にならない。

「もう勃ってるな、お前のココは」

アレクセイは、あらわになったミサキの胸の頂きを指でそっと弾く。

「んん……」

「期待したのか?俺に触れられ、摘まれて……舌で転がされる事を」

 アレクセイはその言葉の通り、人差し指と親指で硬く尖ったミサキの乳首をそっと摘む。もう片方の頂きも、口内に含み舌先で強めに弾かれる。

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