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184 新学期

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  情報収集しつつ新学期の時期になってしまった。ミカエラはその間に試験を一緒に突破した学生達とどうするのか。一個下に聖女というのが入るから状態異常防護の指輪必須という情報を共有しておくのだが、親しい貴族の同級生は何故かヤバいのが一個下に入ってくると知っていた。

  もっと何かあるかと思ったのに既に情報を得ていてそれだけ跡継ぎになる予定、このコースに進んだ人間たちには危機感として認識されていた。

「……それは、跡継ぎに聖女だのラミアだの怪しい娘が嫁に来たり恋仲になって資産食い荒らされたり、犯罪の片棒担がされたりしたら最悪ですからね。」
「なるほど。大変ですね、お貴族様は。」
「ちょっとした綻びで跡継ぎが廃嫡、神殿勤がありますから。」

 護衛を見ると目があうだけで顔を近づけてくる。もちもちと頬を撫でられる。

「何ですか……もちもちと。」
「触り心地が良くて。新学期が始まればまた膝に乗せる時間が減るではないですか。」
「あ、そうですか。結構膝に乗せているのに何が足りないのです。」
「常に不足していますが???」

 当然のように言われた。ん?????寝起きから同衾から始まり、入浴をしたら髪を乾かすことをアリアからふんだくって膝に乗せて髪を乾かしているし、食事はもちろん一緒だし、出歩いたら仕事でもあるので一緒に出歩く。ん?????何がどう足りてないのだろう。家にいる間はほぼ一緒にいる。何がどう不足しているのだろうか。

「ほぼ丸一日一緒にいませんか???」
「え???同衾で我慢している私にその仕打ちですか???」
「???頭の中下ネタですか???」
「男ですからね。万年発情期ですよ。」

 ぶっちゃけるなぁ。この成人男性。ぬいぐるみ扱いはまぁ、うん。小さいから仕方ない。だけど、当然の顔をして発情期だと言われるとは思わなかった。いや、いいけれど。魔狼にも春はあるだろうし、発情期もあるだろう。犬の発情期なんて知らないけれど。大人の余裕を醸し出しているのに口から下ネタを吐き出すのだからどうしたものか。顔を撫でると彼はうっとりと心地良さそうにするのだから演技ではないのだろう他の人には鉄面皮でいるのはよく見ている。私は毛玉姿をもふもふと埋めたいのに。

「口にしないでください。」
「外ではしませんよ。」
「……私の家ですから気楽にしていただけるのは喜ばしいとは思います。」

 貴族生活で誰がどこで何を聞いているのかわからない。自由に本音も言えなかったのだろう。色々邪推したらそれ以上強く言えないというか、色々を知ることも増えてきたから肩身の狭い生活だったのかなとか考えてしまう。

「頑張れそうですか?最終学年。」
「やるしかないので……」
「ため息つかないでください。」
「つきたくなりますよ。」





  来てしまった。学園最終学年。試験受かったのが本当に1部なので真面目に勉強していた人間がここにいる。

「私たち卒業出来ますよね!?!?」
「アレックス先生だった場合ヤバいかと…」
「まさか2年連続ファルコ先生なわけ…」
「この建物にいるんですよ?」

   全員で集まって作戦会議するが嫌な予感しかしない。家でどういう勉強をしていたのか話をする。

「それよりも聞いたか?カリアス男爵の聖女の…」
「えぇ、噂も酷いものばかり…」
「皆様状態異常無効を持っていないと……」
「あぁ、母上からアレは不味いと言っていた。」
「ここの人間は全員防護しているってことで……」

   まずそこの確認だけをして新学期の授業が無事に、平穏に終わるようにと、思いながらこれからどうなるのか。と、授業開始を待っていた。


「さぁ!私が担任です!」

   アレックス先生が担任として担当するらしい。笑顔が固まった。

「親御さん、他の教職員からも評判が良かったので私が通年担当致します。よろしくお願いします。」

   いい笑顔で言われて学生は笑顔のまま固まった。ミカエラはどうしたものかなぁ。と、思いながら講義の説明や日程を聞く。

「さて、ここからが肝心な話題です。後輩……1学年下には私の授業を舐め腐って留年した人達と、今年から入学と後輩は多いです。それと聖女という特殊な方もいますが、最善策は情報収集と回避行動です。教職員は防護の魔道具を付けていますが、学生は全員とは行かないでしょう。なので、各々気をつけるようにしてください。」

  とんでもない発言していきやがった。
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