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178 侯爵家にて。
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私は今ロズウェル侯爵家にお呼ばれしている。お茶会断っていたはずなのに、季節の果物を使った新作ケーキを食べ気に来ませんか?と、あったのでつい、好物が含まれていたのでホイホイと釣られてしまった。イザーク様はユーリ様のところで仕事があるらしく、離れており、護衛役としてレオンハルト様が代わりに着くということになった。この家の中で護衛が必要なんだと思ったけれど。
「????」
「俺も新作のケーキが食べたくて。」
「わかります。」
食欲で動いた人間が他にもいた。エリザベス様とそのお友達とその御令嬢がいる。新作お菓子が目的というより社交シーズンだから集まっているのだろうか。そう思いながらお茶を飲むのだが、何故か視線が集まってる。気づかないように目線を逸らしておく。
「フィル子爵が社交に出られるなんて幸運ですわ。」
「そうですよね、いつもお断りをされていましたもの。」
「????学業や仕事で忙しくて。」
知らない。侯爵家経由なんだろうなぁ。お茶を飲んでお菓子を食べて満喫する。ケーキって見た目が宝石、芸術だから食べるのがもったいない。食べるけれど。美味しい。幸せ。果物の色合いって綺麗だよなぁ。
「来年は留年も含めて学園の領主候補生一年生は増えますね。」
「そういえばカリアス男爵が聖女を養女にしたとかしてないとかの噂がありますわね。」
「聖女だなんて、聖女が現れる時は国が荒れるなんて話もあるではないですか。不穏な噂ですわね。」
確かに禁書庫の記録を見ると聖女が現れる時に大きな戦争が起きたり、魔物が活性化して来たりと色々あったみたいだけれども、聖女がいなくても荒れる時は荒れる。聖女ねぇ……
「カリアス男爵ってどういう方なのですか???」
「……そうですわね、あまり目立たない方ですけれど、ふくよかな方ですね。隣国の冒険者だったのですが、魔物退治の功績で騎士としての功績もあり、少し前に男爵になられた方ですよ。奥様はいなくて独身の方ですわ。」
よその国の人の元冒険者かぁ。なら無害なら関わらないでおこう。変なことを考えている人じゃなかったらこっちにも被害がないと思う。男爵の養女なら男爵もいい年齢だろう。冒険者から引退したということならギルドの職員みたいに素材採取組になるのだろうけれど、男爵って土地ないから騎士として働くか、でも聖女って呪いとかアレにもあるし、スカルラッティ伯爵が絡んでこないのが逆に怖い。レフィラ嬢もやけに静かだし。逆に気持ち悪い。
「ミカエラ様は気をつけた方が良いかもしれませんね。」
「へ?」
「カリアス男爵が聖女の為の装飾品や宝石の靴を作る栄誉を蹴ったと喧伝していたので。」
……聞きたくなかったなぁ。
「御忠告痛み入ります。今は仕事を止めておりますので、誰に何を言われましても王命を優先しておりますので。困りますね。」
嘘はついてない。聖女とか関わりたくないな。自分で作ってくれそうな職人を探して欲しいものだ。
お菓子に情報交換をしているとイザーク様が帰る時間の前に迎えに来た。
「ミカエラ、迎えに来ましたよ。」
「あ、はい……」
「どうしました?」
「……当然のように跪かれるのは好きじゃないです。」
腰を曲げるのではなく跪いて見上げてくる。
「体格差で見上げてばかりだと首が痛いと仰ったのはどなたです?」
手を握られて穏やかな笑顔のまま見上げてくる。お開きではあるから椅子から降りるがニコニコとご機嫌だ。レオンハルト様はニコっとして手を振るだけだが、その他の笑顔が生ぬるい。嫌な感じだ。
「ミカエラ?どうしました?」
「あまり面白くない話があっあもので。」
「真剣に聞いた方がよろしいですか?」
「……いえ。多分大丈夫だと思います。だから、ぬいぐるみにしないでください。」
帰りの馬車の中。当たり前のように膝に乗せられてぬいぐるみにされる。
「断ります。」
「そうですか。じゃあ疲れたので髪とか下ろして」
「はい。顔でも埋めますか?」
「ん……」
髪飾りからピンなどを下ろして腰を縛るコルセットを外してもらう。楽な髪型に整えられるがすることをしたら耳や首筋を甘噛みしてくる。
「犬じゃないのですからやめてください……」
「最近口付けの頻度も減ったではないですか?」
「そうですか?」
「そうですよ。足りません。」
足りないって何????見上げると口を塞がれた。心地よい……呼吸慣れてきた。けれど、長くしたくない。これで十分。
「ミカエラ?」
「私は腕の中でぬくぬくしてるだけで十分なんです。」
「おや?じゃあこうしましょうか。」
こんなのでご機嫌になってくれるなら安いものだ。暖かくて気持ちいい。
「何でも気楽に相談してくださいね。」
「……実害出る前に相談します。」
「????」
「俺も新作のケーキが食べたくて。」
「わかります。」
食欲で動いた人間が他にもいた。エリザベス様とそのお友達とその御令嬢がいる。新作お菓子が目的というより社交シーズンだから集まっているのだろうか。そう思いながらお茶を飲むのだが、何故か視線が集まってる。気づかないように目線を逸らしておく。
「フィル子爵が社交に出られるなんて幸運ですわ。」
「そうですよね、いつもお断りをされていましたもの。」
「????学業や仕事で忙しくて。」
知らない。侯爵家経由なんだろうなぁ。お茶を飲んでお菓子を食べて満喫する。ケーキって見た目が宝石、芸術だから食べるのがもったいない。食べるけれど。美味しい。幸せ。果物の色合いって綺麗だよなぁ。
「来年は留年も含めて学園の領主候補生一年生は増えますね。」
「そういえばカリアス男爵が聖女を養女にしたとかしてないとかの噂がありますわね。」
「聖女だなんて、聖女が現れる時は国が荒れるなんて話もあるではないですか。不穏な噂ですわね。」
確かに禁書庫の記録を見ると聖女が現れる時に大きな戦争が起きたり、魔物が活性化して来たりと色々あったみたいだけれども、聖女がいなくても荒れる時は荒れる。聖女ねぇ……
「カリアス男爵ってどういう方なのですか???」
「……そうですわね、あまり目立たない方ですけれど、ふくよかな方ですね。隣国の冒険者だったのですが、魔物退治の功績で騎士としての功績もあり、少し前に男爵になられた方ですよ。奥様はいなくて独身の方ですわ。」
よその国の人の元冒険者かぁ。なら無害なら関わらないでおこう。変なことを考えている人じゃなかったらこっちにも被害がないと思う。男爵の養女なら男爵もいい年齢だろう。冒険者から引退したということならギルドの職員みたいに素材採取組になるのだろうけれど、男爵って土地ないから騎士として働くか、でも聖女って呪いとかアレにもあるし、スカルラッティ伯爵が絡んでこないのが逆に怖い。レフィラ嬢もやけに静かだし。逆に気持ち悪い。
「ミカエラ様は気をつけた方が良いかもしれませんね。」
「へ?」
「カリアス男爵が聖女の為の装飾品や宝石の靴を作る栄誉を蹴ったと喧伝していたので。」
……聞きたくなかったなぁ。
「御忠告痛み入ります。今は仕事を止めておりますので、誰に何を言われましても王命を優先しておりますので。困りますね。」
嘘はついてない。聖女とか関わりたくないな。自分で作ってくれそうな職人を探して欲しいものだ。
お菓子に情報交換をしているとイザーク様が帰る時間の前に迎えに来た。
「ミカエラ、迎えに来ましたよ。」
「あ、はい……」
「どうしました?」
「……当然のように跪かれるのは好きじゃないです。」
腰を曲げるのではなく跪いて見上げてくる。
「体格差で見上げてばかりだと首が痛いと仰ったのはどなたです?」
手を握られて穏やかな笑顔のまま見上げてくる。お開きではあるから椅子から降りるがニコニコとご機嫌だ。レオンハルト様はニコっとして手を振るだけだが、その他の笑顔が生ぬるい。嫌な感じだ。
「ミカエラ?どうしました?」
「あまり面白くない話があっあもので。」
「真剣に聞いた方がよろしいですか?」
「……いえ。多分大丈夫だと思います。だから、ぬいぐるみにしないでください。」
帰りの馬車の中。当たり前のように膝に乗せられてぬいぐるみにされる。
「断ります。」
「そうですか。じゃあ疲れたので髪とか下ろして」
「はい。顔でも埋めますか?」
「ん……」
髪飾りからピンなどを下ろして腰を縛るコルセットを外してもらう。楽な髪型に整えられるがすることをしたら耳や首筋を甘噛みしてくる。
「犬じゃないのですからやめてください……」
「最近口付けの頻度も減ったではないですか?」
「そうですか?」
「そうですよ。足りません。」
足りないって何????見上げると口を塞がれた。心地よい……呼吸慣れてきた。けれど、長くしたくない。これで十分。
「ミカエラ?」
「私は腕の中でぬくぬくしてるだけで十分なんです。」
「おや?じゃあこうしましょうか。」
こんなのでご機嫌になってくれるなら安いものだ。暖かくて気持ちいい。
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「……実害出る前に相談します。」
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