173 / 194
173 囲まれることに
しおりを挟む
あの日結局帰れたのだけれども王妃様のお茶会という吊し上げの場に呼び出されてしまった。呼び出されたに近い。お茶会の招待状ではあるけれど、そんな生やさしい御茶会だとは思っていない。アリアが帰ってきたことは大きい。
「アリア、ロマンス小説を5冊くらい買ってきて。」
「どうしたのですか?ロマンス小説だなんて。買ってきますけれど、色々ありますよ???最近貴族の方がパトロンについたことが増えたのかいろんな本がありますけれど。」
「あーうん……手土産。なんか山あり谷ありがあるものが良いみたい。」
「分かりました。私基準で?」
「……エリザベス様におすすめする感じ。」
それで通じるならその方がいい。ミカエラは手土産相手が王妃であることは伝えないでお茶会に行かなければならないとだけは伝えている。お茶会には行きたくないし、どういう話になるかなんて明白だ。身分という暴力での呼び出しと吊し上げ……私悪いことはしてないけれど、緊張する。というよりも胃がいたい。ろくなことにならない気がする。
「王妃のお茶会よかったですね。」
「絶対ろくなことになりませんよ!?」
「別にいいではないですか。そこは面白おかしく尾鰭をつけて平民だから反対されて私が勝手に強行先を取って巻き込まれただけにしておけば。それでロズウェル侯爵家とも懇意にしているからスカルラッティとも険悪を続けたくないとか適当に泣き落とせば良きに計らってくれますよ。誰にとって良いことかは確認しないといけませんが。」
「私がそんなことできると本当に思っているのですか???」
「しなくても向こうが勝手に情報収集をあらかたしているでしょうし、ヘラルド様やユーリ様が情報を流していると思いますよ。」
と言われてお茶会に行くがとりあえず手土産のロマンス小説。アリア曰く、書いた人は多分貴族。という、お墨付きがついた隠れた名作だ。作者などは平民に見えるが、文章が整っているのと貴族の屋敷や暮らしの描写が明らか知っている人間の書き方なので別の意味でお貴族様には受けるかもしれない。ということでおすすめ本としてその人が書いてアリアが面白いと思った本数冊を出す。
「書いた人間が貴族ではないかと思う位平民にしては貴族の描写が丁寧で、文章も整っているので……みなさまなら誰がモデルになったのかお分かりかと……というのが私がお勧めする理由です。」
招かれたのは王妃様の年齢に近いご婦人方とローズ嬢だ。彼女は男装して側に座り、ニコニコとしているが、所作が男性のそれに見えるのは王妃の叩き込みだろうか。奥様方も目を輝かせてローズ嬢を眺めている。そんなに良いのか。お礼として食べ物の材料やお酒、などなどが定期的に届くようになってアルフィアスの家が盛り上がっているらしい。つまり王妃様が露骨に可愛がっているとか……???車校なんて全く興味ないし、これからもないと思うけれど、それがなんでこうなったのだろう。
「ミカエラ、学園でのことを色々聞きましたよ??何故子爵のあなたが子爵令嬢という格下相手に虐げられているのですか???」
「対応する方が馬鹿らしいというか、何を言っても聞き耳を持たないですし、向こうの方が貴族の横のつながりもありますし……構って欲しいのかな???と思いましたが、私平民で苦手な勉強に集中しないといけないので無視してました。それに来年からは彼女が留年になったので関わることも少ないかと……元々どうでもいいと思っていた相手なので、いや、本当にどうでもよくて……彼女に時間を割く方が無駄だと思っています。」
あれ????私も結構ひどいことを言っている気がする。実際彼女に労力や時間を費やす位なら仕事や勉強をしている方がはるかにマシで私としてはあまり関わりたくない相手だ。
それからあの夜会の話になるが、王妃が時系列を先に把握していたのか私が可哀想なこ扱いでお茶会が盛り上がり出した。ただ、私がスカルラッティ家やロズウェル侯爵家に迷惑をかけたくないのでというのを何度も言うからその辺は任せろとまで言われてしまった。
ユーリ様が貴族社会で怖いのは既婚女性のお茶会での会話内容。と、何度もエリザベス様不在の間に言われたけれど……そのことをやっと理解した。嫌味と悪口の応酬かと思ったのに情報収集の場だ。それと流行による打ち合わせに近い。悪口などで盛り上がるのは三流で一流はにこやかなお茶会で些細な会話から発展させて事業や税、各領地の情勢を聞いて把握することだと思った。学校で習ったことが出ている。勉強していてよかったと思いながらお茶を飲む。
「ミカエラ、相手がイザーク・スカルラッティで良いの?無理やりではなくて?」
「嫌いでもなければ好きになれる点を多数見つけられそうですから。お気遣いありがとうございます。」
「ユーリ・ロズウェルの騎士でもあるから安定でしょうね。」
「……私に婿入りだそうです。本人の主張ですが……」
『まぁ……!!!!』
奥方達が盛り上がって愛よね。と、凄く盛り上がっていた。恥ずかしい。帰りたい。そう思っていると人が入ってきた。男子禁制じゃ……と、思ったらイザーク様だった。
「王妃殿下、ヘラルド様がミカエラを呼んでいるので参ったのですが……宜しいでしょうか?」
「ミカエラに口付けしたなら連れて行って構わないわ。」
手にされるかと思った。そう思っただけで顔を持ち口付けをしてきた。
「では、お借り致します。」
「え、えぇ……」
ミカエラは真っ赤になって手を引かれてお茶会室から出た。王妃もそこまでするとは思わなかったが、その後ミカエラとイザークを推す派閥が出来たのは言うまでもない。
「アリア、ロマンス小説を5冊くらい買ってきて。」
「どうしたのですか?ロマンス小説だなんて。買ってきますけれど、色々ありますよ???最近貴族の方がパトロンについたことが増えたのかいろんな本がありますけれど。」
「あーうん……手土産。なんか山あり谷ありがあるものが良いみたい。」
「分かりました。私基準で?」
「……エリザベス様におすすめする感じ。」
それで通じるならその方がいい。ミカエラは手土産相手が王妃であることは伝えないでお茶会に行かなければならないとだけは伝えている。お茶会には行きたくないし、どういう話になるかなんて明白だ。身分という暴力での呼び出しと吊し上げ……私悪いことはしてないけれど、緊張する。というよりも胃がいたい。ろくなことにならない気がする。
「王妃のお茶会よかったですね。」
「絶対ろくなことになりませんよ!?」
「別にいいではないですか。そこは面白おかしく尾鰭をつけて平民だから反対されて私が勝手に強行先を取って巻き込まれただけにしておけば。それでロズウェル侯爵家とも懇意にしているからスカルラッティとも険悪を続けたくないとか適当に泣き落とせば良きに計らってくれますよ。誰にとって良いことかは確認しないといけませんが。」
「私がそんなことできると本当に思っているのですか???」
「しなくても向こうが勝手に情報収集をあらかたしているでしょうし、ヘラルド様やユーリ様が情報を流していると思いますよ。」
と言われてお茶会に行くがとりあえず手土産のロマンス小説。アリア曰く、書いた人は多分貴族。という、お墨付きがついた隠れた名作だ。作者などは平民に見えるが、文章が整っているのと貴族の屋敷や暮らしの描写が明らか知っている人間の書き方なので別の意味でお貴族様には受けるかもしれない。ということでおすすめ本としてその人が書いてアリアが面白いと思った本数冊を出す。
「書いた人間が貴族ではないかと思う位平民にしては貴族の描写が丁寧で、文章も整っているので……みなさまなら誰がモデルになったのかお分かりかと……というのが私がお勧めする理由です。」
招かれたのは王妃様の年齢に近いご婦人方とローズ嬢だ。彼女は男装して側に座り、ニコニコとしているが、所作が男性のそれに見えるのは王妃の叩き込みだろうか。奥様方も目を輝かせてローズ嬢を眺めている。そんなに良いのか。お礼として食べ物の材料やお酒、などなどが定期的に届くようになってアルフィアスの家が盛り上がっているらしい。つまり王妃様が露骨に可愛がっているとか……???車校なんて全く興味ないし、これからもないと思うけれど、それがなんでこうなったのだろう。
「ミカエラ、学園でのことを色々聞きましたよ??何故子爵のあなたが子爵令嬢という格下相手に虐げられているのですか???」
「対応する方が馬鹿らしいというか、何を言っても聞き耳を持たないですし、向こうの方が貴族の横のつながりもありますし……構って欲しいのかな???と思いましたが、私平民で苦手な勉強に集中しないといけないので無視してました。それに来年からは彼女が留年になったので関わることも少ないかと……元々どうでもいいと思っていた相手なので、いや、本当にどうでもよくて……彼女に時間を割く方が無駄だと思っています。」
あれ????私も結構ひどいことを言っている気がする。実際彼女に労力や時間を費やす位なら仕事や勉強をしている方がはるかにマシで私としてはあまり関わりたくない相手だ。
それからあの夜会の話になるが、王妃が時系列を先に把握していたのか私が可哀想なこ扱いでお茶会が盛り上がり出した。ただ、私がスカルラッティ家やロズウェル侯爵家に迷惑をかけたくないのでというのを何度も言うからその辺は任せろとまで言われてしまった。
ユーリ様が貴族社会で怖いのは既婚女性のお茶会での会話内容。と、何度もエリザベス様不在の間に言われたけれど……そのことをやっと理解した。嫌味と悪口の応酬かと思ったのに情報収集の場だ。それと流行による打ち合わせに近い。悪口などで盛り上がるのは三流で一流はにこやかなお茶会で些細な会話から発展させて事業や税、各領地の情勢を聞いて把握することだと思った。学校で習ったことが出ている。勉強していてよかったと思いながらお茶を飲む。
「ミカエラ、相手がイザーク・スカルラッティで良いの?無理やりではなくて?」
「嫌いでもなければ好きになれる点を多数見つけられそうですから。お気遣いありがとうございます。」
「ユーリ・ロズウェルの騎士でもあるから安定でしょうね。」
「……私に婿入りだそうです。本人の主張ですが……」
『まぁ……!!!!』
奥方達が盛り上がって愛よね。と、凄く盛り上がっていた。恥ずかしい。帰りたい。そう思っていると人が入ってきた。男子禁制じゃ……と、思ったらイザーク様だった。
「王妃殿下、ヘラルド様がミカエラを呼んでいるので参ったのですが……宜しいでしょうか?」
「ミカエラに口付けしたなら連れて行って構わないわ。」
手にされるかと思った。そう思っただけで顔を持ち口付けをしてきた。
「では、お借り致します。」
「え、えぇ……」
ミカエラは真っ赤になって手を引かれてお茶会室から出た。王妃もそこまでするとは思わなかったが、その後ミカエラとイザークを推す派閥が出来たのは言うまでもない。
0
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
奪い取るより奪った後のほうが大変だけど、大丈夫なのかしら
キョウキョウ
恋愛
公爵子息のアルフレッドは、侯爵令嬢である私(エヴリーヌ)を呼び出して婚約破棄を言い渡した。
しかも、すぐに私の妹であるドゥニーズを新たな婚約者として迎え入れる。
妹は、私から婚約相手を奪い取った。
いつものように、妹のドゥニーズは姉である私の持っているものを欲しがってのことだろう。
流石に、婚約者まで奪い取ってくるとは予想外たったけれど。
そういう事情があることを、アルフレッドにちゃんと説明したい。
それなのに私の忠告を疑って、聞き流した。
彼は、後悔することになるだろう。
そして妹も、私から婚約者を奪い取った後始末に追われることになる。
2人は、大丈夫なのかしら。
妹の事が好きだと冗談を言った王太子殿下。妹は王太子殿下が欲しいと言っていたし、本当に冗談なの?
田太 優
恋愛
婚約者である王太子殿下から妹のことが好きだったと言われ、婚約破棄を告げられた。
受け入れた私に焦ったのか、王太子殿下は冗談だと言った。
妹は昔から王太子殿下の婚約者になりたいと望んでいた。
今でもまだその気持ちがあるようだし、王太子殿下の言葉を信じていいのだろうか。
…そもそも冗談でも言って良いことと悪いことがある。
だから私は婚約破棄を受け入れた。
それなのに必死になる王太子殿下。
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
【完結】思い込みの激しい方ですね
仲村 嘉高
恋愛
私の婚約者は、なぜか私を「貧乏人」と言います。
私は子爵家で、彼は伯爵家なので、爵位は彼の家の方が上ですが、商売だけに限れば、彼の家はうちの子会社的取引相手です。
家の方針で清廉な生活を心掛けているからでしょうか?
タウンハウスが小さいからでしょうか?
うちの領地のカントリーハウスを、彼は見た事ありません。
それどころか、「田舎なんて行ってもつまらない」と領地に来た事もありません。
この方、大丈夫なのでしょうか?
※HOT最高4位!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる