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159 口止め

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ミカエラも降りると男装が作られていた。あー顔が赤くなる。恥ずかしい。

「ミカエラ、顔が赤いですよ。無理して降りて来なくても…」
「うぅ…お腹すいた。」

 パンとスープを持ってきてもらって食事を取る。ローズ嬢に口止めしておいた方がいいよな。何から言い出すべきか。ミカエラは眉間に皺を寄せてパンをむしってスープにつけてパクッと食べる。行儀悪いんだろうけれどこの食べ方…だめではないんだけれど。

「ミカエラ、寝てて良いんですよ?」
「お腹も空いているから食べたら二度寝したいんですけれど…どうしましょう。」
「したいように。」

 指で唇を押された。食べている時にしないでほしい。モリモリと食べている。飲み込んで額にキスされる。額は良いけれど。そう思いながら見上げているとパンを押し込まれた。モッチモッチと食べる。ポタージュうまぁ。食べ終わってほっこりしてから欠伸をしてコテンと横になる。

「ミカエラ。」
「くはぁ…ローズ嬢、ウチの中のことは他言無用で。詮索もしないで。今面倒臭い。」
「あ、はい。」
「じゃあ良いですよ。」

 膝に乗せられて髪を撫でられてまとめられる。振り返って見上げると髪を整えられた。気持ちいいから寝たい。

「まだ眠いですか?」
「休日なのだから勉強も放棄して寝たい。」 
「そうします?出かけるでも構いませんが。」
「…疲れ取れてないから無理…モフみが足りてない…アリア、ごめん二度寝する。」
「わかりました。イザーク様、お食事どうされますか?」
「大丈夫です。後で多めに用意を。」


 もっふ!!!!!!!!!部屋で大型犬より大きな姿になった彼の呪いの影響を受けた姿に抱きついて顔を埋める。抱きついて顔を埋めて二度寝を強行した。
 寝息を立ててからイザークは人の姿になり、腕枕をしてそばに引き寄せる。寝顔を見つめる。とりあえず彼女はまだ出発はしないだろう。一度離れてローズの元に向かう。

「イザーク様…」
「口は災いの元。だと胸に刻んでくださいね。ミカエラのように甘くないので。」
「…」
「折角彼女が用意してくれた機会を自分で潰したくないでしょう。私は彼女ほど甘くないので。」

 当然のように彼女の部屋に向かう。彼女の手がゴソゴソと何か探しているようだ。側に座り、頭を撫でると捕まえてきた。寝顔も何もかもが可愛く愛おしい。腕を伸ばして抱きついてくるのでそれは歓迎
。離れないように側におく。心地良さそうにぐっすり眠っている。疲労が溜まって回復に回したいのだろう。ここ最近色々ありすぎたのもあるだろう。

 のそっと起きた。身体が重い。

「どうしました?」
「だるい…」
「頑張りすぎたのでしょうね。アリアのマッサージで溶けますか?」
「…んー。眠い。」

 腕の中に収まる。眠いと頭を撫でてもらう。腕の中で眠いけれど、瞼が重い。顔を持ち唇を塞いできた。舌は入ってきた。唇が離れた。

「疲れた。」
「まだ寝ますか?」
「起きる…」


 半日近く寝ていた。ポヤポヤする。お風呂入ろう。お風呂に向かうとローズ嬢はすでに出発したようだった。

「ミカエラ様、どうされたのですか?下着姿ですけれど。」
「寝過ぎたからお風呂…」
「溶けるほどのマッサージをしますね。」

 休日だからのんびりだ。1人なのだろうか??と、部屋の方を見るとシーツを片付けているのだろうかと予想してミカエラのためにお風呂の用意をして着替えなどを用意しておく。お風呂で疲れが取れるように香油も使い、いつも以上にふやけているミカエラをお風呂で磨いてマッサージをしてふにゃふにゃになるようにマッサージをする。

   心地よくてまた眠ってしまった。

「イザーク様、ミカエラ様がふにゃふにゃの爆睡してしまって…」
「…眠そうにしてましたし、疲れが吹き出したのでしょう。病人食までではなくても比較的食べやすいものをお願いします。」
「畏まりました。」

   「こちらから呼ぶことは無いので好きにしてていいですよ。」
「はい!」

   一線は超えないだろうけれどミカエラ様今日は寝て終わりかな???

   アリアはそう思いながら夕食の献立を考えながら片付けをする。最近お疲れ様だし、こういう日があってもいいと思う。ミカエラ様の好きなシチューにしようかな。野菜は小さい方が良いかな。

   最近ずっと勉強を詰め込みでお疲れのようですし。好物を作ろう。


   ミカエラ様は夕方まで爆睡して本当に起きてこなかった。イザーク様がご機嫌だったのは何も聞かないでおこう。夕食前の入浴不要だと思ったけれど声をかけた時にミカエラ様が真っ赤になって首筋とかが赤くなっていたから察するメイドである。
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