148 / 194
148 報復
しおりを挟む
何事もなければ事もなし。なのだけれども本人が乗り込んできた。お供のご友人と護衛騎士を伴って。こっちはそちらの婚約者()のイザーク様が従僕のような服装で荷物を持っているのだけど…
「良くも昨日は無体を働いてくださいましたね、平民。」
「無体???はて???講義内容に則して私なりに行っただけの事。先生達に確認しましたがルール上問題ありませんよ??それよりもペアでの試合なのに片手団扇で余裕ぶっかますから真っ先に潰す。当然でしょう???護衛騎士様?2対1の環境で1人がこちらを舐め腐って武装解除に等しい様子だったらそちらから潰しません??」
「ぇ、あ…それはえぇとはい。」
「お宅のお嬢様が見物のように武装解除していたので真っ先に潰しただけですよ?私1人だったのに。油断が招いたことですし、危機管理の勉強が必要だと思いません???大切なお嬢様の事ですし。」
「貴方!!!!」
扇を振り上げて頬を叩いた。守ってくれても良かったじゃないか。そう思いながら痛くもないので見る。痛くない。
「ミカエラ、回避出来たのでは?」
「こういうのって被害者の方がお得なんですよ。」
頬を抑えて眼をうるませる。イザークはそっと頬を撫でてくる。殴られたのは目立つ。ミカエラはふぅと溜息をついてラエティ子爵令嬢をみる。
「簡単に手を出す御令嬢に婚約者がいるように見えないのですけれど…」
「貴方に何がわかりまして???爵位を得ている成人なのに婚約者もいない貴方に言われたくもありませんが、下賤で金銭で爵位を買った卑しき人間のくせに。」
…どうしよう。すごい怒っているような感じだ。隣が。ミカエラは溜息をついて説明をすべきなのだろうか。正当な抗議をすべきなのだろうか…考えているとすっと彼が前に出た。
「大丈夫ですよ?」
「いえ、言って良いことと悪いことがあるんですよ。」
「気にしていません。」
「ミカエラ。」
ハウス。と、言いたいけれど、見上げると堪えてくれるだろうか。キュッと唇を引き結んでいた。
「では貴方が出来るのですか。」
「…まぁ。効果あるかわかりませんが。アンバース子爵令嬢。私の婚姻のことを仰りますが、ご自身の婚約者と同伴して夜会やお茶会に参列したことございますか??私、リンドブルム大公とさまざまな夜会やガーデンパーティーに参加させていただいておりますが、貴方が特定の殿方とダンスを踊ったり親しげにしている様子は見たことございませんが…その年齢だと婚約者と何かと同伴をお願いしたりするものではございませんか???辺境の地方だと婚約者とは結婚式まで合わなとかそういう風習もあるようですけれど…本当に婚約者が領地運営を任されるような方で婚約のお話も本当ですか???ご家族の見栄やご都合ではございませんか???分を弁えないといけないのはどちらでしょうね。…若さゆえの暴走としてこの一発は多めに見て差し上げますが、次は私も泣きつく相手は多数いますのでそちらに相談させて頂きます。」
良い笑顔で言い切って通り抜けて教室に向かう。イザークは荷物を持って隣を歩く。ミカエラは溜息をついて足を止める。それなりに歩いてアンバース子爵令嬢から距離は取れていると思う。反撃で言いすぎただろうか。いや、あれくらい貴族の御令嬢であれば何も言わない。直接的であるけれど、私は何も悪いことは言っていない。
「私、変なこと言っていました???」
「いえ、少し直接的ですが、学園内であれば問題ありませんよ。私、そういう話を何も聞いていないのですが、そういう話は進んでいるようですね。一度も会ったことありませんが。」
「…一応あっているではないですか。」
「名乗っていませんから会っていませんよ。ユーリ様からは断ってもらっていますし、私からも再三断っている。それに好みでもないですし、食指も動きません。貴方を殴った手首を切り落としたかったです。」
荷物を受け取ってよしよしと彼の頭を撫でるとむすっとはしているが危害を加えないで欲しい。揉め事は穏便に片付けて欲しい。よし。学校の授業頑張ろう。
その日、アンバース子爵令嬢との口論があっという間に領主候補課程に広まった。尾鰭つかずにほぼありのまま。そして形成が逆転した。私は自力で爵位を得た成り上がりであり、努力家で彼女はもしかしたら心を病んでしまって親にわがままを言ってこのコースにいるかもしれないお嬢様だと。私が何かをしたわけじゃない。喧嘩を仕掛けていない。自業自得だと思いたい。いや、自業自得だ。すごい睨まれているけれど。
「ミカエラ様、ごきげんよう。」
「ローズ様、おはようございます。」
「ローズで構いませんよ?」
「いやいや。クラス違うのにどうしたのですか。」
「…ミカエラ様が領地を賜ったら護衛騎士として雇っていただけますか?」
何を言っているのだろうこの子は。まぁ、領地の話は置いといて…それが何故護衛騎士ということになるのだろう。
「騎士として実績を積みたいのです。」
「王族やそれに準ずる女性の騎士の方が良いのでは???」
「逆に需要ないんですよね。その辺…結局近衛が護衛騎士になるので。」
「…ご家族とよく相談した方がいいですよ。」
まさか就職希望が現れるとは思わなかった。アリアはお金
と休暇で専属だし…料理人さんは給金とメニューが楽なこと。イザーク様は…あれは別件。
「良くも昨日は無体を働いてくださいましたね、平民。」
「無体???はて???講義内容に則して私なりに行っただけの事。先生達に確認しましたがルール上問題ありませんよ??それよりもペアでの試合なのに片手団扇で余裕ぶっかますから真っ先に潰す。当然でしょう???護衛騎士様?2対1の環境で1人がこちらを舐め腐って武装解除に等しい様子だったらそちらから潰しません??」
「ぇ、あ…それはえぇとはい。」
「お宅のお嬢様が見物のように武装解除していたので真っ先に潰しただけですよ?私1人だったのに。油断が招いたことですし、危機管理の勉強が必要だと思いません???大切なお嬢様の事ですし。」
「貴方!!!!」
扇を振り上げて頬を叩いた。守ってくれても良かったじゃないか。そう思いながら痛くもないので見る。痛くない。
「ミカエラ、回避出来たのでは?」
「こういうのって被害者の方がお得なんですよ。」
頬を抑えて眼をうるませる。イザークはそっと頬を撫でてくる。殴られたのは目立つ。ミカエラはふぅと溜息をついてラエティ子爵令嬢をみる。
「簡単に手を出す御令嬢に婚約者がいるように見えないのですけれど…」
「貴方に何がわかりまして???爵位を得ている成人なのに婚約者もいない貴方に言われたくもありませんが、下賤で金銭で爵位を買った卑しき人間のくせに。」
…どうしよう。すごい怒っているような感じだ。隣が。ミカエラは溜息をついて説明をすべきなのだろうか。正当な抗議をすべきなのだろうか…考えているとすっと彼が前に出た。
「大丈夫ですよ?」
「いえ、言って良いことと悪いことがあるんですよ。」
「気にしていません。」
「ミカエラ。」
ハウス。と、言いたいけれど、見上げると堪えてくれるだろうか。キュッと唇を引き結んでいた。
「では貴方が出来るのですか。」
「…まぁ。効果あるかわかりませんが。アンバース子爵令嬢。私の婚姻のことを仰りますが、ご自身の婚約者と同伴して夜会やお茶会に参列したことございますか??私、リンドブルム大公とさまざまな夜会やガーデンパーティーに参加させていただいておりますが、貴方が特定の殿方とダンスを踊ったり親しげにしている様子は見たことございませんが…その年齢だと婚約者と何かと同伴をお願いしたりするものではございませんか???辺境の地方だと婚約者とは結婚式まで合わなとかそういう風習もあるようですけれど…本当に婚約者が領地運営を任されるような方で婚約のお話も本当ですか???ご家族の見栄やご都合ではございませんか???分を弁えないといけないのはどちらでしょうね。…若さゆえの暴走としてこの一発は多めに見て差し上げますが、次は私も泣きつく相手は多数いますのでそちらに相談させて頂きます。」
良い笑顔で言い切って通り抜けて教室に向かう。イザークは荷物を持って隣を歩く。ミカエラは溜息をついて足を止める。それなりに歩いてアンバース子爵令嬢から距離は取れていると思う。反撃で言いすぎただろうか。いや、あれくらい貴族の御令嬢であれば何も言わない。直接的であるけれど、私は何も悪いことは言っていない。
「私、変なこと言っていました???」
「いえ、少し直接的ですが、学園内であれば問題ありませんよ。私、そういう話を何も聞いていないのですが、そういう話は進んでいるようですね。一度も会ったことありませんが。」
「…一応あっているではないですか。」
「名乗っていませんから会っていませんよ。ユーリ様からは断ってもらっていますし、私からも再三断っている。それに好みでもないですし、食指も動きません。貴方を殴った手首を切り落としたかったです。」
荷物を受け取ってよしよしと彼の頭を撫でるとむすっとはしているが危害を加えないで欲しい。揉め事は穏便に片付けて欲しい。よし。学校の授業頑張ろう。
その日、アンバース子爵令嬢との口論があっという間に領主候補課程に広まった。尾鰭つかずにほぼありのまま。そして形成が逆転した。私は自力で爵位を得た成り上がりであり、努力家で彼女はもしかしたら心を病んでしまって親にわがままを言ってこのコースにいるかもしれないお嬢様だと。私が何かをしたわけじゃない。喧嘩を仕掛けていない。自業自得だと思いたい。いや、自業自得だ。すごい睨まれているけれど。
「ミカエラ様、ごきげんよう。」
「ローズ様、おはようございます。」
「ローズで構いませんよ?」
「いやいや。クラス違うのにどうしたのですか。」
「…ミカエラ様が領地を賜ったら護衛騎士として雇っていただけますか?」
何を言っているのだろうこの子は。まぁ、領地の話は置いといて…それが何故護衛騎士ということになるのだろう。
「騎士として実績を積みたいのです。」
「王族やそれに準ずる女性の騎士の方が良いのでは???」
「逆に需要ないんですよね。その辺…結局近衛が護衛騎士になるので。」
「…ご家族とよく相談した方がいいですよ。」
まさか就職希望が現れるとは思わなかった。アリアはお金
と休暇で専属だし…料理人さんは給金とメニューが楽なこと。イザーク様は…あれは別件。
0
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした
カレイ
恋愛
「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」
それが両親の口癖でした。
ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。
ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。
ですから私決めました!
王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
冤罪から逃れるために全てを捨てた。
四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)
虐め? そんな面倒なことしませんよ?
真理亜
恋愛
卒業パーティーで謂われなき罪の元、婚約破棄を告げられた公爵令嬢は「虐め? そんな面倒なことしませんよ?」と冤罪を主張する。なぜなら「私がその女を目障りだと感じたら、我が公爵家の力を以てして髪の毛一本残さずさっさと始末してますよ? その女が五体満足でこの場に居ることこそ、私が虐めなどしていない証拠です」と、そう言い切ったのだった。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる