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 色恋に溺れている親友兼幼馴染にとりあえず目下重要人物の護衛を任せたのだけれども、穴埋めに弟が護衛としてつくことが増えた。本人はとても喜んでいる。騎士の仕事もあるが、護衛だととても喜んでついてくる。ユーグに何かあった時に家を継ぐのがレオンハルトなのにその辺りの自覚はあるのだろうか。

「兄上、イザークを護衛から外したんですね。」
「ミカエラが各方面で人気で危ないからね。」
「色々人気ですよね、私も技術者としてとても尊敬しているので好きに仕事をしてほのぼのしていて欲しいですね。最近そう思います。家が燃やされたり、誘拐されたり…」
「…お前はミカエラが誰かと結婚するとしてそれで許せるのか???」

 兄からの問いかけに沈黙して考える。

「腐っても年が明けたら子爵だ。」
「そうなんですけれど、勉強をみていたり城内の護衛をしたりしますが、勉強のためと家の別邸にいた時に家に帰りたい、元の生活がいいと言っていたのが忘れられなくて。好意はあります。認めますが、私と友人以上となれば彼女は嫌がる貴族の生活を強制されざるを得なくなるので…子爵や男爵であればそれなりに自由はありますから。」
「…意外だな。」
「気になる女性の嫌がる事を強要したくないですし、それなら技術を教えてもらったり愚痴を吐き出す相手として頼られる方が気楽ですね。あ、でも変な男に捕まったり絡まれて困ってるというなら結構本気で頑張るかもしれません。」

「…自分の結婚のことを考えないのか?」
「兄上や父上にお任せ致します。私は兄上が1番大切ですし、良い人が居ればと思うのですが…ミカエラみたいに恋愛面倒くさいとかそんな感じで割り切ってる人がいいです。」

母上が泣く…

「…一応意見として聞いておく。」

我が弟が剣を振るうのが大好きで兄上を護ります!!と、鼻息荒く宣言していたのははるか昔なのだけれど…そっかぁ。変わってなくて兄上嬉しいよ…イザークとくっついたというか、押し負けてそうなったと伝えたら…自分で気づいてくれると助かる。

「そう言えば兄上、イザークを外してミカエラに付けることにイザークから文句は出なかったのですか?俺が変わって欲しいとお願いしても弱いから却下と言われていたので…」
「まぁ、ミカエラが悪い大人からのモテ期だからね。家には優秀な護衛達がいるけれど彼女にはいない。ヘラルド殿の名前を使ったところで意味は無い。レオンハルトは騎士団所属で常に騎士団から離れられない。ならイザークが最適だと言うだけだよ。」

「…独身ですよね。イザーク」
「結婚願望は薄いだろうけれど。ミカエラと進展したら困るのかい?」
「???ミカエラが嫌がってないならいいのでは無いでしょうか。イザークは気配りとかすごい出来ますし、悔しいですがまだ勝てた事ないので…年上の余裕とか…」

「好きなんだよね?ミカエラのこと。」
「好意はありますが、結婚より友達の方がいい感じです。兄上、ミカエラと私が結婚したとしてミカエラが保つと思いますか?侯爵家の仕事とかを覚えたりあの時以上の詰め込みが待っている訳ですし…そういうので嫌われるくらいなら友達が良いです。」

よく見ているからなのか、もっと真っ赤になってあたふたするかと思ったのに…確かに貴族面倒くさい。って常々聞いていたら気持ちに気付いてもどうにもならないと考えるか…

「ミカエラは貴族と婚姻するのですか?感覚的にしないか、平民と思ったのですが。」
「さぁ???詳しいことは知らないけど婚姻となると爵位なしの次男三男が放って置かないからね」


ミカエラとイザークがくっ付いて??ミカエラが押し負けている状況でレオンハルトに泣き付いたらこれは荒れる。

さて。拗れないように釘を刺しておこうかな。
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