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81 お礼のデート
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王宮のお仕事を返品した別の日、レオンハルトがお礼だということで楽な格好で色々と買い物に行くことになった。
「ミカエラ、予算気にしないで選んで。」
「…えぇと、ありがとうございます?ご馳走になります。」
高価な本を選んでしまうがこれだけ?と、色々追加されて家に届けてもらうことに。そして貴族らしいドレスなどなども買ってもらった。似合うからと試着したもの全部とかは流石に断った。
「レオンハルト様、恋人とか婚約者は作らないのですか?」
カフェで聞いてみる。顔がいいのだから彼女募集中と言えば第5夫人くらいまであっさり決まるほどだろうけれど…
「ミカエラ?」
「急に惚れた腫れたの話になったら困惑しますよね。」
「知り合いに口説かれてるとか?」
「最近読んでる恋愛小説です。全く共感出来なくて。一目惚れとかそういう話なんですけど。される側ってどういう気持ちなんですかね。」
「…まぁ、困惑するよね。迷惑じゃないなら前向きに検討したら?とは思うかなぁ。相手に不誠実で無ければって思って感情移入するように務めてるかも。騙すつもりで一目惚れの相手を受け入れるのは違うと思うし。」
難しい問題だ。
「ミカエラもそういう話とかで口説かれるかもね。ウチやヘラルド様が後見人、庇護を受けてる爵位持ちって強いし。」
「それ恋人いますで減るんですか?」
「多少は減るんじゃないかな。恋人はこの人、その恋人公認の愛人がヘラルド様ってなかなかないし、目立つけどお互いに公認してるなら誰も言えないと思うけど…ヘラルド様は恋人作ったらダメって言ってた?」
「変なことに巻き込まれないために友達以上の報告義務はあります。」
「じゃあ兄も絡むだろうから報告さえしておけば大丈夫だよ。」
「うーん…そうですね。ありがとうございます。」
ミカエラはパクパクとケーキを食べて色々考える。レオンハルト様は何も聞いていないのだろうか。それなら私が言うのも可笑しいだろうし。悩み相談出来ないなぁ。本当に困った。恋愛感情が全くない。
お礼の買い出しも終わって歩いて帰る。仕事の話や世間話をして横を歩くのだが道の中央よりはレオンハルトが立っている。エスコートのルールでもあるのだろうか?詳しいこと分からないけど。
レオンハルトは足を止めた。
「レオンハルト様?」
「あ、ごめん。少し考え事をしてた。」
ミカエラの肩を抱いて引き寄せる手には力が入っていた。考え事をして手に力が入るのだろうか。
彼はパッと手を放した。痛かった?と、尋ねる目は穏やかで首を横に振る。これでも体は頑丈だし、王城で見かけるお嬢様や御令嬢達よりは頑丈にできている。それにしっかり握られたな。というだけで痛みなどは特に感じていない。
ただ、レオンハルトの表情は少し仕事のときのみたいな少し尖ったような、そんな気配はしたので細かいことを聞いても多分分からないだろう。必要な時になればこの公爵家の方々から手厚い指示をいただけるだろう。
「ミカエラ、最近トラブルとかは特にない???例えばヘラルド様の愛人の仕事関連とかで。」
愛人契約でのトラブルなんて特にない。あったとしてもそれはヘラルド様の仕事であって、私の仕事ではない。なので詳しいことなどは意外と知らない。または情報を遮断されていると思っている。
「いえ、特に何か露骨に揉めたとかそんな話はありませんよ?」
「じゃあいいんだ。気になることとかあったら兄上や俺、イザークとかにアリアとかを使ってもいいから報告するんだよ?」
「…私、そんなに危機感ないですか???」
「ないでしょ?貴族の面倒な嫌がらせ方面では。お金さえ出せば危害を加えるみたいなのがよくあるからね。」
確かに貴族方面のアレやこれは私はすごく弱い。だけど、そんな価値は私にないだろう。貴族の方々は警戒しすぎだし、どこをどう見ても無害な平民の職人の小娘にしか見えないだろうし、奥さんやお嬢様がねだっている宝飾品を作っている職人だと調べたらすぐにわかるはずなんだけれど、そこまでは私の方は調べないか。
調べたとしても侯爵家が揉み消しているのか、網を張り巡らせて引っかかった残念貴族を意いただいているのだろうか。
細かいことは聞いていないけれど……細かいことを聞いて巻き込まれたくない。
「どう見ても私はただの平民なんですけれどね。」
「女男爵で子爵確定していると分かったら警戒するんじゃないかな。どこの土地を管理するかとかそういうのでしがらみから大人の話とか色々あるからね。」
「…平民の職人に戻りたいですよ。」
レオンハルト様が何か気になるからと足早に家に戻り、デートが終わった。こういう場ではありがたくご馳走になるのが作法のようなものなのでお言葉に甘えてお金をだしてもらってその日は終わりになった。
アリアがどんなデートだったのか目を輝かせて聞いてきたけれど、答えることしないでお菓子のお土産を渡して黙ってもらうことにした。
「ミカエラ、予算気にしないで選んで。」
「…えぇと、ありがとうございます?ご馳走になります。」
高価な本を選んでしまうがこれだけ?と、色々追加されて家に届けてもらうことに。そして貴族らしいドレスなどなども買ってもらった。似合うからと試着したもの全部とかは流石に断った。
「レオンハルト様、恋人とか婚約者は作らないのですか?」
カフェで聞いてみる。顔がいいのだから彼女募集中と言えば第5夫人くらいまであっさり決まるほどだろうけれど…
「ミカエラ?」
「急に惚れた腫れたの話になったら困惑しますよね。」
「知り合いに口説かれてるとか?」
「最近読んでる恋愛小説です。全く共感出来なくて。一目惚れとかそういう話なんですけど。される側ってどういう気持ちなんですかね。」
「…まぁ、困惑するよね。迷惑じゃないなら前向きに検討したら?とは思うかなぁ。相手に不誠実で無ければって思って感情移入するように務めてるかも。騙すつもりで一目惚れの相手を受け入れるのは違うと思うし。」
難しい問題だ。
「ミカエラもそういう話とかで口説かれるかもね。ウチやヘラルド様が後見人、庇護を受けてる爵位持ちって強いし。」
「それ恋人いますで減るんですか?」
「多少は減るんじゃないかな。恋人はこの人、その恋人公認の愛人がヘラルド様ってなかなかないし、目立つけどお互いに公認してるなら誰も言えないと思うけど…ヘラルド様は恋人作ったらダメって言ってた?」
「変なことに巻き込まれないために友達以上の報告義務はあります。」
「じゃあ兄も絡むだろうから報告さえしておけば大丈夫だよ。」
「うーん…そうですね。ありがとうございます。」
ミカエラはパクパクとケーキを食べて色々考える。レオンハルト様は何も聞いていないのだろうか。それなら私が言うのも可笑しいだろうし。悩み相談出来ないなぁ。本当に困った。恋愛感情が全くない。
お礼の買い出しも終わって歩いて帰る。仕事の話や世間話をして横を歩くのだが道の中央よりはレオンハルトが立っている。エスコートのルールでもあるのだろうか?詳しいこと分からないけど。
レオンハルトは足を止めた。
「レオンハルト様?」
「あ、ごめん。少し考え事をしてた。」
ミカエラの肩を抱いて引き寄せる手には力が入っていた。考え事をして手に力が入るのだろうか。
彼はパッと手を放した。痛かった?と、尋ねる目は穏やかで首を横に振る。これでも体は頑丈だし、王城で見かけるお嬢様や御令嬢達よりは頑丈にできている。それにしっかり握られたな。というだけで痛みなどは特に感じていない。
ただ、レオンハルトの表情は少し仕事のときのみたいな少し尖ったような、そんな気配はしたので細かいことを聞いても多分分からないだろう。必要な時になればこの公爵家の方々から手厚い指示をいただけるだろう。
「ミカエラ、最近トラブルとかは特にない???例えばヘラルド様の愛人の仕事関連とかで。」
愛人契約でのトラブルなんて特にない。あったとしてもそれはヘラルド様の仕事であって、私の仕事ではない。なので詳しいことなどは意外と知らない。または情報を遮断されていると思っている。
「いえ、特に何か露骨に揉めたとかそんな話はありませんよ?」
「じゃあいいんだ。気になることとかあったら兄上や俺、イザークとかにアリアとかを使ってもいいから報告するんだよ?」
「…私、そんなに危機感ないですか???」
「ないでしょ?貴族の面倒な嫌がらせ方面では。お金さえ出せば危害を加えるみたいなのがよくあるからね。」
確かに貴族方面のアレやこれは私はすごく弱い。だけど、そんな価値は私にないだろう。貴族の方々は警戒しすぎだし、どこをどう見ても無害な平民の職人の小娘にしか見えないだろうし、奥さんやお嬢様がねだっている宝飾品を作っている職人だと調べたらすぐにわかるはずなんだけれど、そこまでは私の方は調べないか。
調べたとしても侯爵家が揉み消しているのか、網を張り巡らせて引っかかった残念貴族を意いただいているのだろうか。
細かいことは聞いていないけれど……細かいことを聞いて巻き込まれたくない。
「どう見ても私はただの平民なんですけれどね。」
「女男爵で子爵確定していると分かったら警戒するんじゃないかな。どこの土地を管理するかとかそういうのでしがらみから大人の話とか色々あるからね。」
「…平民の職人に戻りたいですよ。」
レオンハルト様が何か気になるからと足早に家に戻り、デートが終わった。こういう場ではありがたくご馳走になるのが作法のようなものなのでお言葉に甘えてお金をだしてもらってその日は終わりになった。
アリアがどんなデートだったのか目を輝かせて聞いてきたけれど、答えることしないでお菓子のお土産を渡して黙ってもらうことにした。
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