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78 恋人の条件

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何とか帰宅するのだけど、家の前で降ろされた。流石に王都の近くになったら隣に座り直した。無事??無事に帰宅出来た。直接的な甘い言葉というよりも確実に逃げ道を塞ぐような囲い込みに感じた。

「ミカエラ様、どうでした!?遠距離お泊まりデート!!」

帰って来て片付けが終わったらこれである。分かっていたが、直球で聞いてくる。

「ただの採取だよ。熊肉食べたくらいで…そんなことイザーク様に聞いたら怒られるよ。」
「聞きませんよ。怒られますし。」

何故私には聞く。聞くなよ。私だって訳が分からなかったよ後半。ミカエラはお風呂を用意してもらう。

「アリア、ぬるめでいいから。」
「分かりました。ミカエラ様あっさりとこってりどっちがいいですか?」
「…こっさり。」
「分かりました。あ、冒険者ギルドから物が届いたと連絡があったので引き取ってきました。」

私が取りに行くつもりだったのに。向こうの親切???でアリアに渡されたらしい。箱を開けると望んでいた魔石が入っていた。これと、依頼の品を作るか。エリザベス様のプレゼントと、お世話になっているお礼達作るか。

作業場に移動してエリザベス様のプレゼント。腕輪???バングルタイプにしてクズ石を花にして敷き詰める?それと対のイヤリングと。
それと用意したのがフェニックスの魔石と羽。瀕死の傷を負っても1度は耐え抜くお守りをユーリ様達侯爵家の人達用に作る。

「ミカエラ様、ご飯できましたよー。」
「分かったー。」

煮込み料理とサラダだ。美味しい。






イザークは侯爵家に戻り、毛皮を抱えて主の部屋に向かう。

「ユーリ様、ただいま戻りました。」
「あぁ、おかえり…何それ。」
「道中遭遇した熊です。剥製にでもと思ったのですが…」

使用人に敷物か剥製に。と、渡しておく。それからユーリはそれで。と、楽しそうに護衛を見上げる。

「楽しかった?」
「そうですね、魔獣や魔物も出ず熊くらいでしたから。」
「いやいや、外泊付き何だから番と少し進展あったとか無いのか???」
「そういうことであれば諸々の事情を説明して口説くとは一方的に伝えましたよ。」
「それで?」
「いえ。前向きでもなければ後向きも無しに検討していただけるとの事です。」

彼女の事を思い出して何と説明したものか。と、考える。楽しかったし、何よりあれだけ会話をしたのも初めてだ。

「ミカエラの護衛増やしたい?」
「…ユーリ様が屋敷で仕事をして動かないのであれば。」
「ミカエラが頷くなら子爵になるときの領地は家の近所の鉱山とかを任せたいと思っているんだけど、口説き落とせそう?」
「分かりません。恋愛や結婚する気なさそうでしたし、本人が積極的過ぎると嫌がりますから。」



出来たから侯爵家に連絡して向かうと当然のように出迎えにイザーク様が居た。

「ただの納品ですよ?」
「ただの納品で帰れると思っているのですか?」
「帰らせてください。」

物を抱えてユーリの執務室に向かう。

「やぁ、ミカエラ。お泊まりデートはどうだった?」
「…そんなこと仰るならエリザベス様の分と日頃のお礼を持って来たけど下げておきます。」
「ごめんごめん。冗談だよ。納品の品を見せてくれないか?」

取り敢えずエリザベス様への納品分を見せる。ブレスレットなのだが、バングルタイプにして宝石そのものを身につけるような煌めきがある。小さな石の組み合わせで幾何学模様を描いている。

「あぁ、これはベスが喜ぶ。」
「それと、こちらはユーリ様、イザーク様、レオン様のお守りです。」

同じ箱なのでレオンハルトがいないが2人が開けるとプレートに魔石と宝石が埋め込まれ細かい回路とアクションを刻んでいる作品なのだろうと鑑定していた。

「お守り?」
「フェニックスの魔石の欠片と羽、それと神聖属性のアクションを刻んでいます。即死も1回だけ治るお守りです。」
「…支払うよ…」
「いえ、お世話になったお礼ですから。」

「これは正当料金を受け取りなさい。」
技術料だけ受け取りミカエラはこれで納品終わりなので帰ろうとした。

「ミカエラ、レオンとイザーク、結婚するならどっちがいい?」
「結婚する気ないのでその質問がおかしいです。」
「今でも紹介してくれって私のところに来ているし、子爵になったらイザークみたいな伯爵家以下の三男四男がうじゃうじゃ結婚してくれって迫ってくるよ。」

「私孤児ですよ…」
「爵位をぶら下げた世間知らずのお嬢様の婿になって実権が欲しい令息なんて掃いて捨てるほどいるよ。それに比べたら私の庇護付きのイザークやレオンハルトを婿入りさせた方がいいと思うよ?ヘラルド殿の愛人だとそろそろキツい頃合だろう。」
「そうなのですか?」
「そりゃそうだろう。ミカエラ、私も休みの時はイザークを休みにさせるつもりだ。その時に家に上げてもらってもいいかな?こっそり護衛を休ませるために。」
「拒否権がないのに提案なさらないでください。」
「じゃあそういうことで。レオンハルトには私から渡しておくよ。」



馬車で家まで送迎…当たり前のように膝に乗せられてぬいぐるみ状態。

「イザーク様」
「嫌だと言われるまでやめません。」
「そうですか。」

じゃあ嫌ではない。膨れてもたれ掛かる。プスプスと頬をつつかれる。ぷいす。と、顔を逸らす。

「キスしてもいいですか?」
「嫌です。」

嫌だと言われたらそれ以上は何もしない。

「年齢で断られたら1番困りますね。年上もヘラルド様まで大丈夫何ですよね?」
「ヘラルド様は見た目若いですよね。」
「年下好みですか?」
「そこまで年齢は気にしません。孤児院で下の子を世話してきたのでそういうのを踏まえると年上以上にないですね…休みの日我が家に来るのですか?」
「ユーリ様がそのつもりのようですね。」
「休めないですよね!?お休みですよね!?」

休みの日に護衛の仕事をしに来るというのは違うはずだ。片腕で支えられて密着するように抱きしめられる。嫌ではないが変わり過ぎて困る。

ど、どうしたものか。

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