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71 恋人の必要性

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「ミカエラ様、恋人とか彼氏作らないのですか???」

 アリアが休憩だとお茶を用意してもらってお茶菓子を食べるのだけれども呪いの石…もとい、呪詛であるセシル(仮名の呪いの核石)さんが知恵を貸してくれているのかアリアのお茶の腕前とレシピが増えている。私の食事も潤っているので満足しているから良いけれど。花瓶を買ってきて花を生けて日向に石を置いている。

「何?突然。」
「お年頃で爵位もあったら恋人作れば良いのにというだけですよ?ヘラルド様のはお仕事だから数に含まずです。」
「って言っても男爵だし、中身は庶民くさい平民で、孤児院育ちで酷使されるのが当たり前でそういう感覚がないの。恋人とかそういうの。それに恋愛するより仕事が楽しいし。」
「レオンハルト様筆頭に未婚美形令息が近くにいるのに勿体無いですよ!!!ミカエラ様折角お肌や髪を磨いているのですから心もピカピカに磨きましょう!!結婚式とか婚約式とか!!!そういうのを見て恋しませんか???」
「…それならドレスやその人に合う装身具作りたいってなる。」
「毎日あの人のこと考えているなーとか、あの人に会いたいなーとか、気になる人いないんですか!?」
「…別に。興味ないし…」
「興味持ちましょう!!!!」

 恋愛乙女なアリアに興味いない。と、お茶を飲む。それにしても恋愛なんて私には向いてないと思う。する必要ないし、興味がない。セシルさんとお散歩に行こうと思って着替える。素材採取をすべきだろう。

「どちらかに出かけられますか??」
「日帰りで川に行ってくる。」
「お弁当作りますね。それと侯爵家に連絡いたしますので明日にしてください。」
「…わかった。」

 自分の命が危ない可能性があるのでそういう意見は聞こうと思っている。お金はあるし、身だしなみも平民よりも貴族の家に仕えていたり、貴族の令嬢とかにも見えたりする時があると言われてしまうと護衛をつけたほうがいいのだろうと思ったからだ。


「何故イザーク様が!?!?!」
 護衛としてきたのがイザークだった。普段の服装よりはラフな服装で眼帯も医療用のガーゼにしている。それでも溢れる貴族オーラ。どうみてもお忍びみえる。私も採取用でブーツに収納かばんと雑にまとめた髪なので違和感しかない。

「ユーリ様の指示ですね。ユーリ様は本日1日中邸で仕事とご家族と過ごされますので。」
「…イザーク様のおやすみでは…」
「採取に行くのでしょう。時間がなくなりますよ。」
「…はい。宜しくお願いいたします。」

グレーの髪がいつもよりくすんでいるように見える。当たり前のように馬が用意されていた。

「私、馬乗れません…」
「遠乗りしてませんでしたか?」
「…ポニーです。」

イザークはそうでしたか。と、引き上げて乗せてくれた。高い。

「高い…」
「怖いですか?」
「慣れてないだけです…」
「高いところがダメなのかと思いましたが…」

馬には慣れてないけれど…高いのは苦手だ。

「…少し苦手です。昔、木から落ちてから。」
「そんなに速度は出しません。支えてますので無理ならそう言って下さい。」

片腕で支えられて目的地まで走って貰ったが到着までに精神的にごっそり削られた。思っていたより馬の高さ怖い。馬だと思ったより早かった。

「着きましたけど、少し休みますか?」

降ろされてそんなに顔色が悪いのだろうか。

「顔色悪いですか?」
「アリアが持たせた肉料理とか食べれそうですか?」
「少し休んだら…」

みっともない。慣れているのか水を渡された。
「すみません。」
「馬が必要な時は気絶させた方が良さそうですね。今まで高いところダメとかなかったのですか?」

「建物の2階は平気なんですけど、不安定な足場というのがどうも。すみません。」
「次からは馬車にすべきですか?」
「…馬車なんてそんな…」
「普段の送迎ではなく荷運びに使う馬車です。」
「自分で手配します。」
「いえ、侯爵家にあります。それに外出する予定と知られるのもあまり宜しくないです。貴方の情報を集める為に人がウロウロしているのをご存知ですか?」
「いえ…」

良くも悪くも目立っているらしく、自分でそんな所まで気遣いしたくないならアリア経由で侯爵家を使えばいい。ということらしい。

「申し訳ない気持ちが…」
「貴族の金銭感覚的に安上がりな経費とでも認識してください。」

取り敢えず一息ついて腰を上げて採取を行う。靴を履き替えてサンダルにして川の中に入るのだが、イザークは私の装備に首を傾げていた。

「それは魔石でしょうか。」

セシルのことらしい。

「防犯も兼ねてエルフの核石があったので自分用で加工しました。」
「神殿で浄化を?」
「…神聖属性もあるので自分でやってみました。」

目を逸らしながら答えるとため息を疲れてしまった。
怒っているわけでは無さそうだ。ただ、腰を上げて額を弾かれた。

「あぅ…」
「危険なので人を呼べるような環境でしてください。貴方の魔力では核石の浄化は賭けに近いですから。」

怒られた。

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