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48新居のため
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貴族のマナー教室で嫌味集や貴族らしい暴言集ばかり習っていたり、これを言わなきゃ大丈夫ばかりを習っている。
「ミカエラ、これが日程ですが、必要なものはありますか?経費で構わないとヘラルド様より伺っております。」
淡々とミカエラに説明する。
「新居が謝礼で断ると思ってましたが?」
「…断ったら更に上積みされそうな気がしたので…」
「確かに。そう言えば化粧品部門が大変感謝をしていましたよ。売れ行きが好調のようです。」
「それは良かったです。不労所得が増えます。」
「…今仕事を辞めても生活に困らないでしょうに…」
「困りませんけれど、私は自分が可愛いと思ったものを作ってるだけですから。指が使えなくなるか、仕事が嫌になったら辞めます。」
今は仕事が楽しいです。と、微笑んだ。
「そうですか。そう言えば貴族の価値観では年頃を過ぎようとしてますが、結婚などは考えていますか?」
イザークの言葉にけっこん????と、首を傾げる。結婚…何故結婚????
「孤児院育ちは汚らわしいとかで一夜の付き合いとか愛人とかならありますが、婚姻を考える人はいませんよ。私生児とか孤児と言うことで結婚相手として望む方は多くないですし、仕事していたいので考えていないです。」
「そうなのですか?」
「はい。孤児は労働力っていうのが下町の認識というか…子供が出来たら仕事を解雇されて孤児院に帰るしかなくて出産するんです。お金もないですし、医者も呼べないので先生や慣れてる子供たちで取り上げるんですけど…勿論、無事に住むなんてことはあまりないですし…」
孤児院で育ったら仕事を探すのも大変だし、見つけても使い潰される。女は妊娠させられたら仕事も住む場所も失って孤児院に戻る。男は妊娠/出産はないから働き続けることは出来るけれど過酷な環境になる。
働き潰すための存在で後ろ盾がないのだから仕方がない。一部の浮浪者になるのか、犯罪者になって表から消えるのか。その程度しかない。
「ミカエラ、貴方は男爵、その次の年には子爵と余程の不祥事がない限り決まっています。偽物両親が発生していることから貴族はそこをあまり気にしません。それよりも利益が取れるなら余計に。ですので来ると思いますよ、大量の縁談。」
「えぇ…私、自分の店で自分のやりたいように仕事がしたいだけなのに…そんな余計な目の困ります。取り敢えず考えないようにします。あ、イザーク様、ヘラルド様曰く双子とその護衛の身長や体格教えてください。」
「???」
「お貴族様の身ぐるみはいだらそれなりのお値段になる服ではなく作業服買ってきますから。」
「兵士の訓練用の服ではダメなのですか?」
「え?どうせなら中古のボロ着せませんか?ヘラルド様がボロ駄目と仰るならそれでいいですが、どうせならボロ着せましょう。あ、剣とか持ってこないようにですね。」
貴族の服なんて孤児院では浮くし、不適格。どうせなら徹底的に。最底辺の環境を味わってもらいたい。イザークはそれなら1度相談してくれるそうだ。
翌日には是非ボロで。というお返事が来た。面白がっている。
当日、私は作業着だし、レオン様は草臥れた訓練服。そしてヘラルド様に連れてこられたのが髪の色の違う双子ヴィルフリート様は濃い金色の髪だったけれど片割れは白金に近い明るい金髪だった。ヴィルフリートはうんざりした雰囲気だけも伝わる。
「ミカエラ、ヴィルフリートは知っているね。こっちがその双子のもう片方のギルバートだ。それとその護衛2人。あぁ、口調は崩して構わないよ。ミカエラが預かる間は私と同程度として見るようにといい含んでいるから気にしなくていいから。」
「伯父上、これでは私が巻き込まれた…」
「社会勉強で7日公務も全て免除するんだ。ミカエラ、頼んだよ。」
「じゃあ、全員着替えて。」
一応畳んで箱にまとめて投げ込んだ服を指さす。
「へ?」
「今から孤児院に行くのにそんな服で行かれても困るの。さっさと着て。剣は要らないし。」
ボロ。ミカエラは森とかに行く時の作業着だし、レオンハルトは訓練服だ。それは事前に知っていたからでミカエラはさっさと着替えて。と、笑顔でゴリ押しした。
「臭うんだが…」
「気のせいよ。中古だから気を使って1回は洗ったもの。失礼ね。平民が滅多に使わない洗剤もちゃんとケチって使ったっての。嫌なら裸でこい。孤児院の余り渡すから。」
身分が高い人用だから洗剤を使いながらも昔からのくせでというより報復に近いのでケチった。文句があるなら着るな。
「くれぐれもミカエラやレオンハルトから苦情が来ないように務めることだ。来たら将来の事も踏まえて考慮するからな。」
着替えたボンボン一行を連れて孤児院に向かうため馬車に乗るが勿論平民向けの乗り心地は最悪の椅子は固いし揺れも酷い馬車だ。既に口から文句が出ている。
「ヴィルフリート様、ギルバート様到着したら子供たちに自己紹介がありますので呼ばれて困らない愛称や偽名を考えておいてください。」
「そうよね、子供たちにはただの私の知り合い程度でお手伝いだから、変な渾名や呼び方が定着する前に考えておかないと変な渾名になるね。」
レオンハルトは特に気にしている様子もないけれど、他の護衛は柔軟に対応出来るのかな。
「あ、これは馬車で読むんだった。えっと本人達だけでなく護衛の働き者も評価に加えているので世話になる、迷惑をかける分しっかりと働くように。ヘラルド様より。」
「ミカエラでしたか、何故このようなことになっているのでしょう。」
ギルバートが溜息混じりに挙手をして質問をするが、何かあれば文句でも言うつもりなのだろうか。
「簡単にまとめるとヴィルフリート様が市中で世間知らずを露呈させたのでヘラルド様より2人まとめて社会勉強させて欲しいということです。行くのは私が育った孤児院でそこの先生は院長がクソお貴族様の為過労なので心配した私がお休みを渡したい。それだけです。」
ギルバートは納得したのか溜息混じりで双子の片割れを見る。
「私の何が世間知らずだ!」
「ヘラルド様が来るまでの間の会話の内容をヘラルド様にお伝えしたら身内として恥ずかしい。頼むから口外しないでくれ。と、素敵な焼き菓子詰め合わせを頂いたのですが?どれくらいかというと同室で聞いていたユーリ様が机をバンバン叩いて大爆笑してしばらくお仕事出来なくなったほどです。」
「へぇー。まぁ、公務が無くなったし社会勉強に勤しむけど…勉強になるの?」
「知りませんよ。自分で学ぶかどうかでしょ。私は教えるなんてしませんよ。雑用として借りたんですから。ちょうど男手足りてなかったので雨漏りの修繕からヤギ小屋の整備とすることは沢山なので。それと魔法禁止なんで。」
その瞬間全員絶望的な顔をしていたがミカエラは平民が魔法をポンポン使えるわけないでしょう。と、言い切った。
「ミカエラ、これが日程ですが、必要なものはありますか?経費で構わないとヘラルド様より伺っております。」
淡々とミカエラに説明する。
「新居が謝礼で断ると思ってましたが?」
「…断ったら更に上積みされそうな気がしたので…」
「確かに。そう言えば化粧品部門が大変感謝をしていましたよ。売れ行きが好調のようです。」
「それは良かったです。不労所得が増えます。」
「…今仕事を辞めても生活に困らないでしょうに…」
「困りませんけれど、私は自分が可愛いと思ったものを作ってるだけですから。指が使えなくなるか、仕事が嫌になったら辞めます。」
今は仕事が楽しいです。と、微笑んだ。
「そうですか。そう言えば貴族の価値観では年頃を過ぎようとしてますが、結婚などは考えていますか?」
イザークの言葉にけっこん????と、首を傾げる。結婚…何故結婚????
「孤児院育ちは汚らわしいとかで一夜の付き合いとか愛人とかならありますが、婚姻を考える人はいませんよ。私生児とか孤児と言うことで結婚相手として望む方は多くないですし、仕事していたいので考えていないです。」
「そうなのですか?」
「はい。孤児は労働力っていうのが下町の認識というか…子供が出来たら仕事を解雇されて孤児院に帰るしかなくて出産するんです。お金もないですし、医者も呼べないので先生や慣れてる子供たちで取り上げるんですけど…勿論、無事に住むなんてことはあまりないですし…」
孤児院で育ったら仕事を探すのも大変だし、見つけても使い潰される。女は妊娠させられたら仕事も住む場所も失って孤児院に戻る。男は妊娠/出産はないから働き続けることは出来るけれど過酷な環境になる。
働き潰すための存在で後ろ盾がないのだから仕方がない。一部の浮浪者になるのか、犯罪者になって表から消えるのか。その程度しかない。
「ミカエラ、貴方は男爵、その次の年には子爵と余程の不祥事がない限り決まっています。偽物両親が発生していることから貴族はそこをあまり気にしません。それよりも利益が取れるなら余計に。ですので来ると思いますよ、大量の縁談。」
「えぇ…私、自分の店で自分のやりたいように仕事がしたいだけなのに…そんな余計な目の困ります。取り敢えず考えないようにします。あ、イザーク様、ヘラルド様曰く双子とその護衛の身長や体格教えてください。」
「???」
「お貴族様の身ぐるみはいだらそれなりのお値段になる服ではなく作業服買ってきますから。」
「兵士の訓練用の服ではダメなのですか?」
「え?どうせなら中古のボロ着せませんか?ヘラルド様がボロ駄目と仰るならそれでいいですが、どうせならボロ着せましょう。あ、剣とか持ってこないようにですね。」
貴族の服なんて孤児院では浮くし、不適格。どうせなら徹底的に。最底辺の環境を味わってもらいたい。イザークはそれなら1度相談してくれるそうだ。
翌日には是非ボロで。というお返事が来た。面白がっている。
当日、私は作業着だし、レオン様は草臥れた訓練服。そしてヘラルド様に連れてこられたのが髪の色の違う双子ヴィルフリート様は濃い金色の髪だったけれど片割れは白金に近い明るい金髪だった。ヴィルフリートはうんざりした雰囲気だけも伝わる。
「ミカエラ、ヴィルフリートは知っているね。こっちがその双子のもう片方のギルバートだ。それとその護衛2人。あぁ、口調は崩して構わないよ。ミカエラが預かる間は私と同程度として見るようにといい含んでいるから気にしなくていいから。」
「伯父上、これでは私が巻き込まれた…」
「社会勉強で7日公務も全て免除するんだ。ミカエラ、頼んだよ。」
「じゃあ、全員着替えて。」
一応畳んで箱にまとめて投げ込んだ服を指さす。
「へ?」
「今から孤児院に行くのにそんな服で行かれても困るの。さっさと着て。剣は要らないし。」
ボロ。ミカエラは森とかに行く時の作業着だし、レオンハルトは訓練服だ。それは事前に知っていたからでミカエラはさっさと着替えて。と、笑顔でゴリ押しした。
「臭うんだが…」
「気のせいよ。中古だから気を使って1回は洗ったもの。失礼ね。平民が滅多に使わない洗剤もちゃんとケチって使ったっての。嫌なら裸でこい。孤児院の余り渡すから。」
身分が高い人用だから洗剤を使いながらも昔からのくせでというより報復に近いのでケチった。文句があるなら着るな。
「くれぐれもミカエラやレオンハルトから苦情が来ないように務めることだ。来たら将来の事も踏まえて考慮するからな。」
着替えたボンボン一行を連れて孤児院に向かうため馬車に乗るが勿論平民向けの乗り心地は最悪の椅子は固いし揺れも酷い馬車だ。既に口から文句が出ている。
「ヴィルフリート様、ギルバート様到着したら子供たちに自己紹介がありますので呼ばれて困らない愛称や偽名を考えておいてください。」
「そうよね、子供たちにはただの私の知り合い程度でお手伝いだから、変な渾名や呼び方が定着する前に考えておかないと変な渾名になるね。」
レオンハルトは特に気にしている様子もないけれど、他の護衛は柔軟に対応出来るのかな。
「あ、これは馬車で読むんだった。えっと本人達だけでなく護衛の働き者も評価に加えているので世話になる、迷惑をかける分しっかりと働くように。ヘラルド様より。」
「ミカエラでしたか、何故このようなことになっているのでしょう。」
ギルバートが溜息混じりに挙手をして質問をするが、何かあれば文句でも言うつもりなのだろうか。
「簡単にまとめるとヴィルフリート様が市中で世間知らずを露呈させたのでヘラルド様より2人まとめて社会勉強させて欲しいということです。行くのは私が育った孤児院でそこの先生は院長がクソお貴族様の為過労なので心配した私がお休みを渡したい。それだけです。」
ギルバートは納得したのか溜息混じりで双子の片割れを見る。
「私の何が世間知らずだ!」
「ヘラルド様が来るまでの間の会話の内容をヘラルド様にお伝えしたら身内として恥ずかしい。頼むから口外しないでくれ。と、素敵な焼き菓子詰め合わせを頂いたのですが?どれくらいかというと同室で聞いていたユーリ様が机をバンバン叩いて大爆笑してしばらくお仕事出来なくなったほどです。」
「へぇー。まぁ、公務が無くなったし社会勉強に勤しむけど…勉強になるの?」
「知りませんよ。自分で学ぶかどうかでしょ。私は教えるなんてしませんよ。雑用として借りたんですから。ちょうど男手足りてなかったので雨漏りの修繕からヤギ小屋の整備とすることは沢山なので。それと魔法禁止なんで。」
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