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貴族向けのお手紙…1度納品のために出したのにユーリ様宛のはずがイザーク様が来た。従者だからなのかと思ったが、スっと差し出された。

「やり直しです。」
「…!?!?」

ご丁寧に赤のインクで訂正箇所を印付けられている。

「何がダメだったのでしょうか」
「…何を見てこの文書を考えたのですか?」

「…これです。」

手紙の書き方。マナー本。

「…少し年代が古いですね。ここの表現特にダメです。」
「???時間作ってくださいという意味なんですが?」
「女性が書くと夜のお誘いです。」
「!?!?!?」

何故そうなる。イザークに何度も添削されて合格したけれど宝石加工よりもすごい疲れた。精神的に。

「ミカエラ、叙爵決まっているのだから覚えなければならないことですよ。」
「ひぇ…私庶民ですよ!?!?肩書きだけで良いんですけど!?!?」

「そうはいかなくなると思いますよ。領地を得ることも出来ますし。」
「店の経営で精一杯です!!」

「何処かの養女にでもなって慣れている方に任せるのも一手です。そういうのもあると覚えておいてください。納品したこれらは確かに受け取りましたので商業ギルドのミカエラの口座にお金を入れておきます。」

イザークもいつの間にか名前呼び捨てになっていた。そんなにダメなのか私。

「取り敢えずもう少ししたら帰宅できますので勉強頑張ってください。」
「はい…」





やっと念願の帰宅!!!!!!家も侯爵家の人が入っていたからホコリすら無い!!!帰宅前日に掃除してくれたんだと思うと感謝しかない。

「この狭さ落ち着く…これだよこれ…ベッドの硬さ枕の質もこれだよこれ…ただいま我が家ァァァァ」

持ち帰った仕事道具達を地下室に運んで、それから食材も全て処分してくれているかの確認。報告ではさすがに傷んでいるからと全て処分したとあったけれど…確かに処分されている。お風呂までピカピカだ。プロはすごい。
服も処分されて同じデザインで新品が入っている徹底ぶりだ。ここまで行くと怖い。

何でも贋作の事も上の方で何とかするように動くことになったし、私は研究材料の提供と自由に王城の魔道士団と騎士団には入る許可が降りたので身分証の魔道具を渡された。最低限身だしなみは整えるようにと何となくそんな圧だけはヒシヒシと感じていた。

「よし、現実逃避の為に今日は外食だ。」

お金はあるし。着替えて食事処に向かう。と言っても昼食はともかく夕食は酒が出るけれど、面倒な事も増える。

「…必要経費!」

そこそこ良いお値段の食事処に行く。変な客に絡まれることも無いし食事をとることも出来る。ただ、この格好で入れるかどうか…

「お客様…」
「ダメですよねー。ドレスコード考えて無かった。お金積む問題じゃないですもんね。」

無理を言いました。諦めて家に帰ろう。別に今までおなかいっぱい食べてたし。多少なくても平気平気。

家はスラムに近いし、あまり遅い時間はダメだ。少し走って帰るか。




食材備蓄もした。納品も終わらせたら石いい感じに減った。目指すは山というか川!!!!馬は借りたし材料調達でしばらく家を空けるから注文は気をつけて欲しいことをお願いして貴重品、クズ石あまり等の留守の家には置いておけない物をギルドに預ける。
いざ向かうは山!!!鉱山の近くの川!!!

ま、馬じゃなくてポニーなんだけど。馬なんて高さあり過ぎて乗れないし、ポニーで十分なんだよなぁ。

行くぞ山ぁぁぁぁぁぁぁ!!!


片道2泊してちょっと遠目の鉱山のから流れている川に入る。ポニーは少し離れた場所で草をもしゃもしゃ食べている。ブーツから防水にも適しているサンダルに切り替えて浮きを背負って溺れないように対策をして原石を探す。川は宝石の原石が転がっているので光の当たり具合では川は虹色に光る。ただし、総じてクズ石だけど。
大きめの石ですら陸に上がってハンマーで叩いて割ると中身が宝石であることもよくある。
ミカエラは1人で石を拾っては手当り次第鞄に詰めていく。
カバンがずっしりと重く感じる頃には帰る頃合いとなる目安でしばらく仕事に困らない。
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