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2独立してまずすること

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ミカエラの家は王都の商業区の裏道の中にひっそりとある地下1階地上2階の三階建てである。
地下は工房になっており宝石、魔石を加工するための機材や材料、食料を保管する倉庫になっている。

宝石は小粒になるとクズ石と言われている。研磨すると更に小さくなるからと商品価値なしとされている。クズ石は川底にも転がっているので材料費はタダ同然。
クズ石でもガーネットやトパーズ、サファイアなどの宝石の原石も転がっているけれどクズ石として見向きもされない。
川に行く時にはクズ石を拾って集めるのが趣味でもある。

「どこの工房も原石削りすぎなんだよなぁ。」

自分のいた工房だけでなく手が大きい職人が多いからなのか凄い削る。ゴリゴリ削る。原石の価格+加工技術料+利益+税金→販売価格になるし、貴族相手だと値段も見ていないから出来るんだろうけれど。

退職祝いでもないけれど今日は食べたいものを食べる。お酒も空けるぞ!!!



店の看板という訳では無いが開店/開店準備/閉店の印だけ用意する。金銭のやり取りは商業ギルドで行う。現金を家に置いておきたくない。もちろん手数料をギルドに取られてしまうけれど、それを加味した金額にしておけばいい。

「まだお金はあるし、格安のクズ石で作っておこうかな。」

研磨はなるべく小さく原石の良さを出す形に削って行く。

「エイス」

指輪の魔石がペンの形になる。先端が針のように細くなったり彫刻刀のようになる。研磨機とエイスを使い自分の魔力で削って形を作る。魔力で接合も出来るけれどなるべく接合をしないように1つの原石を加工しておきたい。髪飾りにするか。

クズ石の柘榴石を薔薇の形に削り花束のようにする。小さいから束にしてバラの花束にしつつ、土台にはレースを縫い付ける。自己満足の作品でもある。柘榴石でも全て色が違うので配置も気を使う。結婚式や舞踏会向けかも…色違いや花の形を変えたり意匠も変えたものを作る。セットのピアスとイヤリング、台座の変更可能。それと蝶とか新鮮かな。羽は薄くけずったクズ石達。魔鉱銀(魔力で整形が容易な銀)で蝶の形にして羽を嵌めていく。取り敢えずイヤリングと指輪かな。
魔鉱銀の固定、仕様書とデザインを記して木の箱に詰める。値段はギルドで決める。宝石鑑定持ちの職員が最低料金を決める。それからどれだけ色を付けるかは売り手の自由。


木の箱に作品と仕様書を持って商業ギルドに向かう。

「ミカエラさん、こんにちは!」
「宝石鑑定お願いします。作品の登録と。」
「はい!少々お待ちください!」

箱を抱えて適当な椅子に腰掛ける。こっちは店舗ではなく書類関係の建物なので同業者や行者ばかりになる。ちなみにここで暴れたら資格を剥奪されたり制裁金が膨大だったり口座凍結も起きるので基本いい取引いい商売を心がける。

「ミカエラさん、空いていますのでどうぞ。」

商業ギルドが仲介する。そして鑑定書を用意するのが宝石、魔石鑑定のプロが商業ギルドに存在する。ミランダ他数名だが、多い。

「登録ってこんなに人数いましたっけ。」

「ミカちゃんの新作でしょ?楽しみだから手の空いてる人間皆声掛けたの。」

「あ、はい…新作ですけどどうぞ。」

仕様書を出しながら箱を開けるとミランダが1番目を輝かせていた。

「ミカちゃんこれは全て1式?」
「1式でも別でもいいですよ。」
「この蝶の羽は固定ですか?」
「暖色、寒色とぼんやりとした希望であれば変更可能です。」

ここの値付けが絶対で価値を引き上げる為にプレゼンテーションをする人もいるけれど、私は聞かれたことにしか答えない。懸念事項を伝えたりするくらいだ。

「これくらいでどうかしら?」

協議の結果値段を付けられる。制作日数も書いてある。原価がクズ石だし、お金はほとんどかけていないのにこの金額というのは嬉しい。

「では最低料金はそれで。個別追加花の追加、個別対応の料金表を付けておきます。」

「じゃあミカちゃん全部1式お願いね。短納期だったら桁上がりで支払うわ。」
「私はこれとこれ。色は緑系で。」
「私はピンク系で1式お願いしますね。」

「…ありがとうございます。取り敢えず形式なので発注書のご確認をお願い致します。」

発注書を鞄の中に入れて材料になるレースや魔鉱銀などを買い足して家に帰る。さてと、短納期だったら桁上がりになるならさっさと作ってしまおう。
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