働く男〜中年男のセクハラ〜

⑤警備会社の男〜歪んだ恋〜

しばらくして西崎が海外に行ってみたいというのでビーチリゾートにも行った。

最近の西崎は部署が変わったらしく、比較的自由に時間を過ごせる。平日の昼間も含めて好きな時間に会えるようになった。
もちろん仕事や家庭、レスリングの練習の関係で完全に自由にはならないが、俺の予約は優先してくれているようで嬉しい。

いつもは泊まりはほぼないので俺は最高の旅にすべく張り切った。それも今回は料金なしでいいと言う。当然旅費は俺持ちだが、普通なら旅費くらいの出張料金が発生するが俺に気遣ってか西崎はタダで旅行に行ってくれると言う。休みは比較的取りやすいらしく俺の休みに合わせてくれた。

プライベートプールで日焼けした肌に痛みを感じながらお互いの肉体をまさぐる。プールサイドで俺は西崎をバックからガシガシ掘る。俺が中に放出すると同時に西崎はまだ熱が冷めないプールのタイルに精を吐き出す。

ダイビングにパラセーリング、フライボートと2人でマリンスポーツを楽しんだ。高級ホテルで豪華なディナー。相変わらず大きな口を開けバクバクうまそうに笑顔で食っている。笑顔が愛おしい。

『うわー、すげぇ。綺麗。こんな景色見たことない。友達に自慢しよ。』
ビーチの夕陽を見ながら西崎は携帯で写真をとり、友達に送っているみたいだった。

プライベートビーチでビールを飲みながら西崎はつぶやいた。
『俺、工藤さんに出会って変わりました。男に対する考え方も。男も恋愛対象になっちゃうかも。』

俺は黙ってキスをする。もっと掘り下げて話を聞きたかった。心の中では舞い上がっていたがクールでいたい。

2人でいる時は俺と西崎が恋人だと錯覚する。しかし料金は発生している。貴重な時間を買っているし見返りは十分だ。俺は気にしてない。いや少し気にしてヤミケンの時は生々しい現金ではなく事前振込にしている。

でもたまに料金が発生しない時もある。
『今日は料金はなしで。いつもそうしたいけど、正直いつも金欠なんですんません。』
そう言ってくれるだけで俺は惚れちまうだろ。ぶっちゃけそんな気遣いされても金銭的には大差ないが俺は西崎の心意気が嬉しい。

『ただいま』
『おかえり』
最近の西崎がうちに来た時に言うセリフ。
まるで恋人同士のような関係になってきた。
時々告白したくなるが我慢だ。
家庭を大事にする西崎を尊重したいし、売専ボーイに告白なんてありえない。でもいつか、きっと2人で幸せな日々を送れたらいいなと妄想はする。

『工藤さん、俺を捨てないでください。』
『捨てるわけがない。お前は俺の人生の一部になってる。』
今日もsexが終わりベッドで横になっていると、心配そうな顔で西崎が言う。俺は愛おしくなり抱きしめ正直な気持ちを伝える。レロレロと舌を絡ませキツく抱きしめながら。でも心の中では俺なしでは生きられなくさせたいと独占欲が俺を支配する。

2人で時間を過ごせば過ごすほど俺は西崎にのめり込んだ。貸切にしても子供が熱を出したと言えば2時間くらいで返す。料金は貸切料金のままで。

奥さんや子供、レスリングを大事にする西崎を応援する自分に酔いしれていたかもしれない。この半年で使った金は多分300万は軽く超えるが、その分貯金ができないくらいで俺の生活には支障がない。

いつも比較的好きな時に会えるし、日中でも西崎と連絡が取れる。家庭や仕事は大丈夫かと思うが俺の知ったことではない。俺は西崎といる時間が何よりも大切だ。