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1巻
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おそらくは王宮の騎士であろう。大柄で立派な服装をした男が馬を走らせてやって来るまで、十分とかからなかった。
「……大きいな」
クラッツを一瞥した騎士は、クラッツの巨躯に舌打ちする。
後ろに乗せて帰るつもりで馬を飛ばしてきたのだが、クラッツなど乗せた日には間違いなく馬のほうが潰れるに違いなかった。
愛馬を気遣わぬ騎士はいない。潰れた馬は殺すしかないのだからなおのことであった。
「よろしければ後をついて参りますが……」
「一刻も早く連れてまいれとのお言葉なのだ!」
かなり高位の人間にまで伝わっているらしい、とクラッツは気を引き締める。
「もちろん承知しております。しかしながら、私は馬に乗るよりも走ったほうが速いので」
――お前は何を言ってるんだ?
騎士の男の内心を言葉にすれば、まさにそうなるだろう。
しかしクラッツはもはや彼の心情を斟酌しなかった。ここで押し問答を続けていても意味はない。
「急ぎましょう。遅れてご不興を被るわけにも参りますまい?」
「う、嘘であればただではおかぬぞ!」
半信半疑のまま騎士の男は愛馬に飛び乗った。
そして早足で馬を走らせ後ろを振り向く。すると、涼しい顔で追走するクラッツの姿がそこにあった。
「遠慮なさらず、全力で走らせていただいて構いませんよ?」
「わ、わかっておる!」
駆足に移った騎士のすぐ後ろを、それでも表情を変えずクラッツが疾走していく。
その非現実的な光景に、ぽつりと置いて行かれた豪傑マルティンは呆れたように呟いた。
「近頃の魔導士は馬より速く走れるのか……」
(――どうやら今まで、身体強化の魔導は無意識のうちに発動していたらしいな)
ベルンストはクラッツのこの異常な体力を正しく分析していた。
クラッツの並みはずれた運動能力は、長年無意識に鍛えてきた身体強化の賜物であろう。
おそらく高度な魔導的才能が、願望に反応する形で、不完全ながらクラッツの身体に影響を与えてきたに違いなかった。
まったく、ほかの魔導は不器用なくせに困ったものだ。
なんというか、こうした身体能力は貴重なものだが、魔導の王としての風格というか、エレガントさが足りないとベルンストは苦々しく思う。
そんなベルンストの感想に気づくはずもないクラッツは、気持ちよさげに馬の全力疾走と同じ速度で走り続けた。
王都ではその後しばらくの間、馬と一緒に走る人の形をした妖魔が現れた、という噂で持ちきりであったという。
◆ ◆ ◆
城門から別の騎士へと案内を引き継がれたクラッツは、休む間もなくそのまま王宮の中心部へ足を踏み入れた。
「……こちらで陛下がご下問されます。くれぐれも粗相のないように」
「承りました」
まさか国王本人が待っているとは予想外であったが、目的のためには避けて通れない相手でもある。
クラッツは大きく深呼吸して、巨大な扉を開け放った。
「クラッツ・ハンス・アルマディアノス、陛下の御前にまかりこしましてございまする」
「うむ、大儀である」
国王クリストフェル・ハインツ・フォン・イェルムガンドは、深く刻まれた眉間のしわもそのままにクラッツを見下ろした。
「――そなたがルナリアを治す魔導士であるか」
品定めをするようにクラッツを見つめる瞳は、到底一国の為政者とも思われぬ苦渋に満ちていた。
国王といえど、愛する娘についてはただの父親と変わらぬらしい。
深い懊悩と期待に表情を二分させながら、国王はしばらくクラッツを見つめていたが、どうやら失望のほうに針が振れたらしかった。
「歳はいくつだ?」
「当年とって十八歳になりましてございます」
「いったい誰に師事して修業いたした?」
「おそれながらすべて母に……」
「母の名はなんと申す?」
「フリッグ・ハンス・アルマディアノスにございます」
「――聞かぬ名だな」
この一週間というもの、ルナリアの病状は急速に悪化していた。
王宮付きの侍医も、あとひと月は持たないであろうと苦い顔とともに診断を下した。
だからといって、果たして十八歳のいずこのものとも知れぬ少年に娘の身を任せてよいものだろうか?
「ルナリアを死なせたときの覚悟は出来ておろうな?」
なんの咎めも受けずに帰れると思っているならとんだ勘違いだ。処刑の方法はどうあれ、決して生かして帰すつもりはない。
理不尽と承知しながら、クリストフェルはそう決意していた。
力あれば理不尽がまかり通る。それがこの悪しき世界を支配する法則なのだから。
「無論でございます……しかし治療が叶いましたならば、陛下にお願いしたい儀が」
思った以上に堂々として貫禄のあるクラッツの言葉に、国王はかろうじて及第点を与えた。
どうやら根拠もなく大見栄を切っているわけではなさそうだ。
この男に賭けてみるか……?
「よかろう、なんなりと申すがよい。ただしすべてはルナリアを治してからの話じゃ」
「……感謝の極み」
「――とは言ったものの、本当に大丈夫なんだろうな?」
実はクラッツは、見た目ほど平静でいたわけではなかった。
脳内でベルンストが言うとおりの丁寧な口調で受け答えしたが、もしこれがたった一人で対面していたらと考えるとゾッとする。
どうにか診察させてくれることになったが、果たして本当に王女を治療できるのだろうか。
王の様子ではもしも王女が命を落とせば、即刻死罪を申しつけられそうな気配であった。それがクラッツの不安を煽っていた。
ベルンストであればこの程度の王宮など、片手で更地にできるのだが、クラッツはベルンストから素養を受け継いでいるだけのただの少年である。
使える魔導はベルンストの万分の一にも及ばないし、体力だけはあるが、正規の剣術すら身につけていないのだ。
『もしだめなら転移して逃げるだけだが……この魔導の王を疑うとは不敬にもほどがあるぞ! 許されざる!』
魔導の王の実力を甘く見てもらっては困る。
『たかが病ごとき、この我に治せぬと思うてか。我は死すら超越したもっとも神に近き者、ベルンスト・ゲオルグ・フォン・アルマディアノスなるぞ!』
◆ ◆ ◆
第二王女ルナリア・ハインツ・フォン・イェルムガンドが病に倒れて、すでに半年が経過しているが、王女の母親譲りの硬質な美貌はいささかも損なわれていなかった。
そこがこの奇病の奇病たる所以でもある。
一見したところまったく体調の不良を感じさせないのに、微熱が続き昏睡を繰り返し、生命力が削られていくのだ。
当初は何者かの呪いではないかと調査が行われたが、そうした魔力の異常が感知されることはなかった。
このところ一日のほとんどを昏睡状態で過ごすようになった王女の生命力は、まさに風前の灯火であった。
『……これはまた面白いことになっておるな』
ルナリアを一目見ただけで、ベルンストは興味深そうに呟く。
「わかったのか!?」
『しかしこの国の魔導士はこれを見抜くこともできんのか? 許されざる!』
言いながらベルンストは性質の悪い病の正体を嗤った。
なるほど、これは魔導士ではないただの医者が治療できないのも頷ける。
白磁のように肌理細やかな肌と流れるような黄金の髪、長いまつ毛にふっくらとした形のいい唇。
王女の類まれな美貌にベルンストの口の端がニンマリとつり上がっていく。
『これはどうやら、思ったよりも裏がありそうだな……』
ベルンストは久しく感じることのなかった小気味のいい感情に、湧き上がる愉悦を抑えられずにいた。
陰謀の匂いがする。それもとびっきりの上質で濃厚な匂いが。
実にいい展開だ! こういう悪党は、叩き潰すとすこぶる気持ちいいものだからな!
じれたようにクラッツがベルンストに問いかける。
「……それでベルンスト……結局、王女様はいったい何の病なんだよ?」
下手をすれば自分の命がないのだ。クラッツが気が気ではないのも当然だった。
よい気分に水を差されたベルンストは不機嫌そうに鼻を鳴らして答える。
『情けない。お前も魔力の異常は感知しているはずだぞ?』
「その原因がわからないんだよ!」
『この程度が見抜けぬとは先が思いやられるのう』
そこそこ巧妙な偽装が施されているから、この世界の魔導士程度では気がつくのは難しいかもしれない。
しかしベルンストにとって、この程度の偽装は稚拙な児戯に等しく、王女の子宮に有機生命体が宿っていることに気づくのは容易であった。
困ったことに、クラッツにはそれを洞察するだけの経験が絶対的に不足していた。
「し、子宮って……!」
思春期の少年らしく、クラッツは生々しいベルンストの台詞に思わず赤面した。
王女に対して使うにはあまりに背徳的な気がしたのである。
『当然ながら王女が妊娠しているというわけではないぞ? 稀少な妖魔にとりつかれておるだけじゃ』
「――妖魔だって?」
妖魔は人類の天敵である。
あのレッドアイベアもその一種であるが、妖魔は今なお人類の支配が及ばぬ領域に君臨し続けていた。
クラッツの村でも数年に一人の割合で、妖魔に遭遇して犠牲になっている。
しかし妖魔が駆逐されていない辺境の民ならばともかく、ほとんど王都を出ないはずの王女が妖魔にとりつかれるとは……。
「誰かこの王女を消したい人間がいるということか?」
『そのとおり。でなければこんな弱い妖魔が王女にとりつくものか』
姿を隠して宿主に寄生する能力は一級品でも、素の状態では子供ですら殺せるか弱い妖魔である。間違いなく、どこかから持ち込んだ人間がいるはずだった。
いかに宮廷医師といえど、年頃のルナリアの秘所をなんの確証もなく調べるのは憚られる。それも原因がわからなかった理由のひとつだろう。
なんとも性質の悪い妖魔もあったものである。
『まあ、その追及は後じゃ。今はこの娘を助けなくてはな』
おそらく助けられては困る連中が騒ぐだろうが、それもまた出世の種だ。
たかが一村の領主ごときで人生を終えるつもりなど、ベルンストには毛頭ない。
クラッツ自身の意思にかかわらず、血沸き肉躍る波乱万丈の生涯を送ることは決定事項なのだ。
『このまま妖魔を殺してもいいが、証拠は残しておきたい。妖魔を眠らせたうえで転移させるとするか……』
「待ってくれ。さすがに他の生物を転移させるなんて、俺には無理だぞ」
『なにいいいいいっ! それじゃもしかして妖魔を分子変換して摘出することも?』
「知識だけ寄こされても、できんものはできん!」
『たかが思考分割や高次術式程度の応用も利かせられんのか! 許されざる!』
「今日初めて魔導使ったやつに無理言うなよ」
『まさか我が分身がここまで脳筋に染まっていたとは……まったく役に立たぬ奴め!』
ベルンストとの意識の共有により、クラッツにも間違いなく最高峰の魔導知識は受け継がれている。
しかしそれを理解したとしても、実際に使えるかどうかは当然ながら別問題であった。
そもそも魔導の複数発動には思考分割が必須なのであるが、クラッツはそれすら行うことができない。
なまじ自分が万能であるだけに、ベルンストはそんな当たり前のことを失念していた。
『これは困ったことになったぞ……』
どうやら現在のクラッツは、初級の魔導を同時に二つ行使するのが精いっぱいらしい。
思考分割ができないのだから、これでもマシと思わなければならないのか。
しかしこれではベルンストの望む圧倒的な魔導の行使など、いったいいつになることか。
『特訓じゃ! 特訓じゃ!』
鬼コーチのように怒鳴るベルンストに、呆れたようにクラッツはこめかみを揉んだ。
「それはわかったから、まずは王女様をなんとかしようよ……」
『お前さえしっかりしとれば、我も悩んだりせんわ!』
破壊をまき散らせばいい攻撃魔導と違い、治癒魔導は繊細なコントロールを必要とする。
ベルンストなら勘で済ませられる話でも、クラッツがそれを再現するのは難しい。
なぜ我が分身は術式の制御すらできんのだ、とベルンストは理不尽な怒りを抱いていた。
『物体の固定と転移……いや、感知と透視も必要か? となると物理的に切開して固定、そして治癒なら……いや、切開するにも道具を持ってきておらんし……』
「いや、切開なら道具はいらないだろ?」
『はあ? 貴様、水裂で手術する自信でもあるのか?』
そんな高度な制御力があるなら、ほかの術式も使えるであろう。
しかしクラッツの答えは、まさしくベルンストの予想の斜め上をいくものであった。
「えっ? 手刀で肉を斬るくらい普通だろう?」
『そんな普通があるものか!』
脳筋も窮めればここまでいくものか。
クラッツは平然と、手で人間の皮膚や筋組織くらい斬れると言い放ったのだった。
ベルンストのいたドルマント世界でも、一流の武芸者は気を巡らすことによって素手で相手を斬ることができた。
しかし慎重な操作が必要なメスの代わりにできた者はいないだろう。
溢れんばかりの魔導の才能を、身体強化に極振りしたクラッツだからこそできる芸当である。
『……信じられん。魔力脈が筋肉と一体化しておる……』
改めてベルンストはクラッツの異常さを把握した。
長年の身体強化は、ついに魔力の通り道である魔力脈を、筋肉の隅々にまで浸透させていたのである。
これはものすごい話なのだが、魔導の王たるベルンストとしては、忸怩たるものを感じずにはいられなかった。なんというか美しくない。
『やむをえん。まずは透視して妖魔を確認しろ。見つけたら電撃でも食らわせて大人しくさせておけ』
「了解」
クラッツは透視を発動して改めてルナリアを観た。
確かにルナリアの子宮には、魔力の不可思議な消失点がある。
おそらくそうして魔力を吸収することで、宮廷医師の透視を逃れたに違いない。
異世界の精度を誇るベルンストの術式だからこそ発見できたのだ。
「麻痺撃」
念のため殺してしまわないように、細心の注意を払って電撃を送ると、妖魔はビクンとのけぞったまま動かなくなった。
「さて、これからが本番だ……」
クラッツはルナリアの腹部を前に、緊張を新たにした。
実に美しい、生命力に満ちた瑞々しい肌であった。
妖魔に魔力を吸い取られ、死に瀕しているとは思えない妖艶な輝きを感じたのは、クラッツの若さゆえかもしれない。
ふと幼いころに見たコーネリアの白い裸体が思い浮かんで、クラッツはブンブンと頭を振った。
『真面目にやらんかっ!』
「悪い」
指先に気を込める。クラッツにとっては日常的に行ってきた平凡な技である。
鋭利な刃物で斬られたように、ルナリアの白い肌から真っ赤な血が溢れた。
『固定しろ。失血死するぞ』
「わかってる! 固定!」
山を駆け巡り、獲物を解体してきた経験がここで生きた。
初めて見る人間の内臓にも委縮することなく、クラッツはルナリアの子宮を探り当てたのである。
「よっ……と。こんな小さい虫みたいなのが妖魔とはなあ……」
殺さないよう慎重に取り上げたそれは、およそ五センチほどの羽虫のような形をしていた。
とりあえず近くにあった水差しの中に放り込んでおいて、クラッツは再び精神を集中する。
「完全治癒!」
すると、まるで時間が巻き戻るかのようにルナリアの無惨な切り口が再生していく。
宮廷医師の場合、手術後の再生には助手を含めて十人以上の魔力を必要とするのだが、クラッツはけた外れの魔力のおかげでいささかの負担も感じなかった。
もちろんベルンストの助言あってこそだが。
ものの数分もしないうちに、ルナリアの身体は無傷の美しさを取り戻した。
『――いかんな』
「どうした?」
深刻そうなベルンストの言葉にクラッツは首をひねる。
自分でも驚くほど会心の出来だ、と考えていたところだからなおさらであった。
『思っていたより生命力の消耗が激しかったようだ……このままでは五分と持たんぞ』
「どどど、どうすんだよ!」
『慌てるでない! 生命力を補給してやればよいだけではないか!』
クラッツの慌てぶりに、ベルンストは苦々しそうに叱責した。
仕方のないことだとはわかっていても、クラッツの未熟ぶりが歯がゆくてならないのだ。
「ほ、補給ってどうやって?」
『効率が良いのは粘膜接触であろうな……まさか犯すわけにもいくまい。唇から生命力を流し込め!』
「く、唇っ?」
まだファーストキスも未経験の童貞クラッツは惑乱した。
片思い中の義姉が、なぜか虫けらでも見るような目で自分を責めている姿まで見た気がした。
『早くせんと死ぬぞ?』
「わかったよ! ど畜生おおおおっ!」
ルナリアの意識は、底なし沼のような黒い闇に呑み込まれる寸前だった。
その闇は死が具現したものであることを、ルナリアの意識は本能的に察していた。
そして闇に呑み込まれたとき、自分の命が終焉を迎えるのだということも。
闇が発する凍えるような寒さに、ルナリアは我知らず両手で自分を抱きしめていた。
「死にたくない……」
まだ初恋も経験していない乙女の身のままで死んでいくことが、理不尽に感じられてならなかった。
女だてらに武を志し、修業に明け暮れた日々も愛しかった。
師匠の足元にも及ばぬまま、病魔に屈するのも無念である。
「誰か、誰か助けて……」
この絶望的な状況は自分の力だけでは乗り越えられない。
虚空の誰かに向かって、ルナリアは救いを求めるように右手を伸ばす。
――そのときだった。
まるで伝説の巨人族を思わせるごつごつとした大きな手が、ルナリアの細くしなやかな指先をそっと優しく包み込んだ。
(私を助けてくれる!)
手から伝わってくる温かい感覚と、どんな困難からも守ってくれそうな安心感に、ルナリアは夢中ですがりついた。
胸にその手を抱え込み、抱きつくようにして身体を預けると、光に包まれてよく見えないが青年の顔らしきものが目に入った。
この人に任せておけば助かるという無条件の安心感に、ルナリアは心の底からほっとした。
(この人だ! この人が私の――)
不意に込み上げてきた切ないほどの愛しさに衝き動かされ、ルナリアはその唇を青年に捧げた。
――温かい。
唇から流れ込んでくる温かな魔力を、ルナリアは無意識のうちに、極上の甘露を飲むように嚥下した。
それだけで胸が熱くなって頭がぼうっと蕩けていく。
ルナリアはもっとその熱さを求め、舌を伸ばして甘露を含もうとする。
絡んだ舌先から相手が戸惑うような動揺が伝わってきた。と同時に、ルナリアは呆けていた頭が少しずつはっきりしていくのを感じた。
この頼りがいのある安心感はきっと男性に違いない。
ということは、私は今、男性の前で舌を……いったいどこに絡めてるっていうの?
「……大きいな」
クラッツを一瞥した騎士は、クラッツの巨躯に舌打ちする。
後ろに乗せて帰るつもりで馬を飛ばしてきたのだが、クラッツなど乗せた日には間違いなく馬のほうが潰れるに違いなかった。
愛馬を気遣わぬ騎士はいない。潰れた馬は殺すしかないのだからなおのことであった。
「よろしければ後をついて参りますが……」
「一刻も早く連れてまいれとのお言葉なのだ!」
かなり高位の人間にまで伝わっているらしい、とクラッツは気を引き締める。
「もちろん承知しております。しかしながら、私は馬に乗るよりも走ったほうが速いので」
――お前は何を言ってるんだ?
騎士の男の内心を言葉にすれば、まさにそうなるだろう。
しかしクラッツはもはや彼の心情を斟酌しなかった。ここで押し問答を続けていても意味はない。
「急ぎましょう。遅れてご不興を被るわけにも参りますまい?」
「う、嘘であればただではおかぬぞ!」
半信半疑のまま騎士の男は愛馬に飛び乗った。
そして早足で馬を走らせ後ろを振り向く。すると、涼しい顔で追走するクラッツの姿がそこにあった。
「遠慮なさらず、全力で走らせていただいて構いませんよ?」
「わ、わかっておる!」
駆足に移った騎士のすぐ後ろを、それでも表情を変えずクラッツが疾走していく。
その非現実的な光景に、ぽつりと置いて行かれた豪傑マルティンは呆れたように呟いた。
「近頃の魔導士は馬より速く走れるのか……」
(――どうやら今まで、身体強化の魔導は無意識のうちに発動していたらしいな)
ベルンストはクラッツのこの異常な体力を正しく分析していた。
クラッツの並みはずれた運動能力は、長年無意識に鍛えてきた身体強化の賜物であろう。
おそらく高度な魔導的才能が、願望に反応する形で、不完全ながらクラッツの身体に影響を与えてきたに違いなかった。
まったく、ほかの魔導は不器用なくせに困ったものだ。
なんというか、こうした身体能力は貴重なものだが、魔導の王としての風格というか、エレガントさが足りないとベルンストは苦々しく思う。
そんなベルンストの感想に気づくはずもないクラッツは、気持ちよさげに馬の全力疾走と同じ速度で走り続けた。
王都ではその後しばらくの間、馬と一緒に走る人の形をした妖魔が現れた、という噂で持ちきりであったという。
◆ ◆ ◆
城門から別の騎士へと案内を引き継がれたクラッツは、休む間もなくそのまま王宮の中心部へ足を踏み入れた。
「……こちらで陛下がご下問されます。くれぐれも粗相のないように」
「承りました」
まさか国王本人が待っているとは予想外であったが、目的のためには避けて通れない相手でもある。
クラッツは大きく深呼吸して、巨大な扉を開け放った。
「クラッツ・ハンス・アルマディアノス、陛下の御前にまかりこしましてございまする」
「うむ、大儀である」
国王クリストフェル・ハインツ・フォン・イェルムガンドは、深く刻まれた眉間のしわもそのままにクラッツを見下ろした。
「――そなたがルナリアを治す魔導士であるか」
品定めをするようにクラッツを見つめる瞳は、到底一国の為政者とも思われぬ苦渋に満ちていた。
国王といえど、愛する娘についてはただの父親と変わらぬらしい。
深い懊悩と期待に表情を二分させながら、国王はしばらくクラッツを見つめていたが、どうやら失望のほうに針が振れたらしかった。
「歳はいくつだ?」
「当年とって十八歳になりましてございます」
「いったい誰に師事して修業いたした?」
「おそれながらすべて母に……」
「母の名はなんと申す?」
「フリッグ・ハンス・アルマディアノスにございます」
「――聞かぬ名だな」
この一週間というもの、ルナリアの病状は急速に悪化していた。
王宮付きの侍医も、あとひと月は持たないであろうと苦い顔とともに診断を下した。
だからといって、果たして十八歳のいずこのものとも知れぬ少年に娘の身を任せてよいものだろうか?
「ルナリアを死なせたときの覚悟は出来ておろうな?」
なんの咎めも受けずに帰れると思っているならとんだ勘違いだ。処刑の方法はどうあれ、決して生かして帰すつもりはない。
理不尽と承知しながら、クリストフェルはそう決意していた。
力あれば理不尽がまかり通る。それがこの悪しき世界を支配する法則なのだから。
「無論でございます……しかし治療が叶いましたならば、陛下にお願いしたい儀が」
思った以上に堂々として貫禄のあるクラッツの言葉に、国王はかろうじて及第点を与えた。
どうやら根拠もなく大見栄を切っているわけではなさそうだ。
この男に賭けてみるか……?
「よかろう、なんなりと申すがよい。ただしすべてはルナリアを治してからの話じゃ」
「……感謝の極み」
「――とは言ったものの、本当に大丈夫なんだろうな?」
実はクラッツは、見た目ほど平静でいたわけではなかった。
脳内でベルンストが言うとおりの丁寧な口調で受け答えしたが、もしこれがたった一人で対面していたらと考えるとゾッとする。
どうにか診察させてくれることになったが、果たして本当に王女を治療できるのだろうか。
王の様子ではもしも王女が命を落とせば、即刻死罪を申しつけられそうな気配であった。それがクラッツの不安を煽っていた。
ベルンストであればこの程度の王宮など、片手で更地にできるのだが、クラッツはベルンストから素養を受け継いでいるだけのただの少年である。
使える魔導はベルンストの万分の一にも及ばないし、体力だけはあるが、正規の剣術すら身につけていないのだ。
『もしだめなら転移して逃げるだけだが……この魔導の王を疑うとは不敬にもほどがあるぞ! 許されざる!』
魔導の王の実力を甘く見てもらっては困る。
『たかが病ごとき、この我に治せぬと思うてか。我は死すら超越したもっとも神に近き者、ベルンスト・ゲオルグ・フォン・アルマディアノスなるぞ!』
◆ ◆ ◆
第二王女ルナリア・ハインツ・フォン・イェルムガンドが病に倒れて、すでに半年が経過しているが、王女の母親譲りの硬質な美貌はいささかも損なわれていなかった。
そこがこの奇病の奇病たる所以でもある。
一見したところまったく体調の不良を感じさせないのに、微熱が続き昏睡を繰り返し、生命力が削られていくのだ。
当初は何者かの呪いではないかと調査が行われたが、そうした魔力の異常が感知されることはなかった。
このところ一日のほとんどを昏睡状態で過ごすようになった王女の生命力は、まさに風前の灯火であった。
『……これはまた面白いことになっておるな』
ルナリアを一目見ただけで、ベルンストは興味深そうに呟く。
「わかったのか!?」
『しかしこの国の魔導士はこれを見抜くこともできんのか? 許されざる!』
言いながらベルンストは性質の悪い病の正体を嗤った。
なるほど、これは魔導士ではないただの医者が治療できないのも頷ける。
白磁のように肌理細やかな肌と流れるような黄金の髪、長いまつ毛にふっくらとした形のいい唇。
王女の類まれな美貌にベルンストの口の端がニンマリとつり上がっていく。
『これはどうやら、思ったよりも裏がありそうだな……』
ベルンストは久しく感じることのなかった小気味のいい感情に、湧き上がる愉悦を抑えられずにいた。
陰謀の匂いがする。それもとびっきりの上質で濃厚な匂いが。
実にいい展開だ! こういう悪党は、叩き潰すとすこぶる気持ちいいものだからな!
じれたようにクラッツがベルンストに問いかける。
「……それでベルンスト……結局、王女様はいったい何の病なんだよ?」
下手をすれば自分の命がないのだ。クラッツが気が気ではないのも当然だった。
よい気分に水を差されたベルンストは不機嫌そうに鼻を鳴らして答える。
『情けない。お前も魔力の異常は感知しているはずだぞ?』
「その原因がわからないんだよ!」
『この程度が見抜けぬとは先が思いやられるのう』
そこそこ巧妙な偽装が施されているから、この世界の魔導士程度では気がつくのは難しいかもしれない。
しかしベルンストにとって、この程度の偽装は稚拙な児戯に等しく、王女の子宮に有機生命体が宿っていることに気づくのは容易であった。
困ったことに、クラッツにはそれを洞察するだけの経験が絶対的に不足していた。
「し、子宮って……!」
思春期の少年らしく、クラッツは生々しいベルンストの台詞に思わず赤面した。
王女に対して使うにはあまりに背徳的な気がしたのである。
『当然ながら王女が妊娠しているというわけではないぞ? 稀少な妖魔にとりつかれておるだけじゃ』
「――妖魔だって?」
妖魔は人類の天敵である。
あのレッドアイベアもその一種であるが、妖魔は今なお人類の支配が及ばぬ領域に君臨し続けていた。
クラッツの村でも数年に一人の割合で、妖魔に遭遇して犠牲になっている。
しかし妖魔が駆逐されていない辺境の民ならばともかく、ほとんど王都を出ないはずの王女が妖魔にとりつかれるとは……。
「誰かこの王女を消したい人間がいるということか?」
『そのとおり。でなければこんな弱い妖魔が王女にとりつくものか』
姿を隠して宿主に寄生する能力は一級品でも、素の状態では子供ですら殺せるか弱い妖魔である。間違いなく、どこかから持ち込んだ人間がいるはずだった。
いかに宮廷医師といえど、年頃のルナリアの秘所をなんの確証もなく調べるのは憚られる。それも原因がわからなかった理由のひとつだろう。
なんとも性質の悪い妖魔もあったものである。
『まあ、その追及は後じゃ。今はこの娘を助けなくてはな』
おそらく助けられては困る連中が騒ぐだろうが、それもまた出世の種だ。
たかが一村の領主ごときで人生を終えるつもりなど、ベルンストには毛頭ない。
クラッツ自身の意思にかかわらず、血沸き肉躍る波乱万丈の生涯を送ることは決定事項なのだ。
『このまま妖魔を殺してもいいが、証拠は残しておきたい。妖魔を眠らせたうえで転移させるとするか……』
「待ってくれ。さすがに他の生物を転移させるなんて、俺には無理だぞ」
『なにいいいいいっ! それじゃもしかして妖魔を分子変換して摘出することも?』
「知識だけ寄こされても、できんものはできん!」
『たかが思考分割や高次術式程度の応用も利かせられんのか! 許されざる!』
「今日初めて魔導使ったやつに無理言うなよ」
『まさか我が分身がここまで脳筋に染まっていたとは……まったく役に立たぬ奴め!』
ベルンストとの意識の共有により、クラッツにも間違いなく最高峰の魔導知識は受け継がれている。
しかしそれを理解したとしても、実際に使えるかどうかは当然ながら別問題であった。
そもそも魔導の複数発動には思考分割が必須なのであるが、クラッツはそれすら行うことができない。
なまじ自分が万能であるだけに、ベルンストはそんな当たり前のことを失念していた。
『これは困ったことになったぞ……』
どうやら現在のクラッツは、初級の魔導を同時に二つ行使するのが精いっぱいらしい。
思考分割ができないのだから、これでもマシと思わなければならないのか。
しかしこれではベルンストの望む圧倒的な魔導の行使など、いったいいつになることか。
『特訓じゃ! 特訓じゃ!』
鬼コーチのように怒鳴るベルンストに、呆れたようにクラッツはこめかみを揉んだ。
「それはわかったから、まずは王女様をなんとかしようよ……」
『お前さえしっかりしとれば、我も悩んだりせんわ!』
破壊をまき散らせばいい攻撃魔導と違い、治癒魔導は繊細なコントロールを必要とする。
ベルンストなら勘で済ませられる話でも、クラッツがそれを再現するのは難しい。
なぜ我が分身は術式の制御すらできんのだ、とベルンストは理不尽な怒りを抱いていた。
『物体の固定と転移……いや、感知と透視も必要か? となると物理的に切開して固定、そして治癒なら……いや、切開するにも道具を持ってきておらんし……』
「いや、切開なら道具はいらないだろ?」
『はあ? 貴様、水裂で手術する自信でもあるのか?』
そんな高度な制御力があるなら、ほかの術式も使えるであろう。
しかしクラッツの答えは、まさしくベルンストの予想の斜め上をいくものであった。
「えっ? 手刀で肉を斬るくらい普通だろう?」
『そんな普通があるものか!』
脳筋も窮めればここまでいくものか。
クラッツは平然と、手で人間の皮膚や筋組織くらい斬れると言い放ったのだった。
ベルンストのいたドルマント世界でも、一流の武芸者は気を巡らすことによって素手で相手を斬ることができた。
しかし慎重な操作が必要なメスの代わりにできた者はいないだろう。
溢れんばかりの魔導の才能を、身体強化に極振りしたクラッツだからこそできる芸当である。
『……信じられん。魔力脈が筋肉と一体化しておる……』
改めてベルンストはクラッツの異常さを把握した。
長年の身体強化は、ついに魔力の通り道である魔力脈を、筋肉の隅々にまで浸透させていたのである。
これはものすごい話なのだが、魔導の王たるベルンストとしては、忸怩たるものを感じずにはいられなかった。なんというか美しくない。
『やむをえん。まずは透視して妖魔を確認しろ。見つけたら電撃でも食らわせて大人しくさせておけ』
「了解」
クラッツは透視を発動して改めてルナリアを観た。
確かにルナリアの子宮には、魔力の不可思議な消失点がある。
おそらくそうして魔力を吸収することで、宮廷医師の透視を逃れたに違いない。
異世界の精度を誇るベルンストの術式だからこそ発見できたのだ。
「麻痺撃」
念のため殺してしまわないように、細心の注意を払って電撃を送ると、妖魔はビクンとのけぞったまま動かなくなった。
「さて、これからが本番だ……」
クラッツはルナリアの腹部を前に、緊張を新たにした。
実に美しい、生命力に満ちた瑞々しい肌であった。
妖魔に魔力を吸い取られ、死に瀕しているとは思えない妖艶な輝きを感じたのは、クラッツの若さゆえかもしれない。
ふと幼いころに見たコーネリアの白い裸体が思い浮かんで、クラッツはブンブンと頭を振った。
『真面目にやらんかっ!』
「悪い」
指先に気を込める。クラッツにとっては日常的に行ってきた平凡な技である。
鋭利な刃物で斬られたように、ルナリアの白い肌から真っ赤な血が溢れた。
『固定しろ。失血死するぞ』
「わかってる! 固定!」
山を駆け巡り、獲物を解体してきた経験がここで生きた。
初めて見る人間の内臓にも委縮することなく、クラッツはルナリアの子宮を探り当てたのである。
「よっ……と。こんな小さい虫みたいなのが妖魔とはなあ……」
殺さないよう慎重に取り上げたそれは、およそ五センチほどの羽虫のような形をしていた。
とりあえず近くにあった水差しの中に放り込んでおいて、クラッツは再び精神を集中する。
「完全治癒!」
すると、まるで時間が巻き戻るかのようにルナリアの無惨な切り口が再生していく。
宮廷医師の場合、手術後の再生には助手を含めて十人以上の魔力を必要とするのだが、クラッツはけた外れの魔力のおかげでいささかの負担も感じなかった。
もちろんベルンストの助言あってこそだが。
ものの数分もしないうちに、ルナリアの身体は無傷の美しさを取り戻した。
『――いかんな』
「どうした?」
深刻そうなベルンストの言葉にクラッツは首をひねる。
自分でも驚くほど会心の出来だ、と考えていたところだからなおさらであった。
『思っていたより生命力の消耗が激しかったようだ……このままでは五分と持たんぞ』
「どどど、どうすんだよ!」
『慌てるでない! 生命力を補給してやればよいだけではないか!』
クラッツの慌てぶりに、ベルンストは苦々しそうに叱責した。
仕方のないことだとはわかっていても、クラッツの未熟ぶりが歯がゆくてならないのだ。
「ほ、補給ってどうやって?」
『効率が良いのは粘膜接触であろうな……まさか犯すわけにもいくまい。唇から生命力を流し込め!』
「く、唇っ?」
まだファーストキスも未経験の童貞クラッツは惑乱した。
片思い中の義姉が、なぜか虫けらでも見るような目で自分を責めている姿まで見た気がした。
『早くせんと死ぬぞ?』
「わかったよ! ど畜生おおおおっ!」
ルナリアの意識は、底なし沼のような黒い闇に呑み込まれる寸前だった。
その闇は死が具現したものであることを、ルナリアの意識は本能的に察していた。
そして闇に呑み込まれたとき、自分の命が終焉を迎えるのだということも。
闇が発する凍えるような寒さに、ルナリアは我知らず両手で自分を抱きしめていた。
「死にたくない……」
まだ初恋も経験していない乙女の身のままで死んでいくことが、理不尽に感じられてならなかった。
女だてらに武を志し、修業に明け暮れた日々も愛しかった。
師匠の足元にも及ばぬまま、病魔に屈するのも無念である。
「誰か、誰か助けて……」
この絶望的な状況は自分の力だけでは乗り越えられない。
虚空の誰かに向かって、ルナリアは救いを求めるように右手を伸ばす。
――そのときだった。
まるで伝説の巨人族を思わせるごつごつとした大きな手が、ルナリアの細くしなやかな指先をそっと優しく包み込んだ。
(私を助けてくれる!)
手から伝わってくる温かい感覚と、どんな困難からも守ってくれそうな安心感に、ルナリアは夢中ですがりついた。
胸にその手を抱え込み、抱きつくようにして身体を預けると、光に包まれてよく見えないが青年の顔らしきものが目に入った。
この人に任せておけば助かるという無条件の安心感に、ルナリアは心の底からほっとした。
(この人だ! この人が私の――)
不意に込み上げてきた切ないほどの愛しさに衝き動かされ、ルナリアはその唇を青年に捧げた。
――温かい。
唇から流れ込んでくる温かな魔力を、ルナリアは無意識のうちに、極上の甘露を飲むように嚥下した。
それだけで胸が熱くなって頭がぼうっと蕩けていく。
ルナリアはもっとその熱さを求め、舌を伸ばして甘露を含もうとする。
絡んだ舌先から相手が戸惑うような動揺が伝わってきた。と同時に、ルナリアは呆けていた頭が少しずつはっきりしていくのを感じた。
この頼りがいのある安心感はきっと男性に違いない。
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