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チョ・スンヒ ヴァージニア州工科大学銃撃事件

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 2007年4月16日月曜日、温暖な気候で知られるヴァージニア州はその日も晴天に包まれていた。
 しかし朝も早い7時15分から学生二人が射殺され、最終的に教員5名を含む32名が射殺されるにいたった。
 これは当時学校での銃乱射で最悪の被害を出したコロンバイン高校銃乱射事件の被害を大きく上回るものであった。
 大学当局は翌17日記者会見し、犯人は同大4年に在籍していた韓国籍の学生チョ・スンヒであることを発表した。


 チョ・スインヒは1992年親とともにアメリカに移住する前は韓国のソウルで暮らしており頭の優秀な生徒であったという。
 しかし当時から極端に口数が少なくコミュニケーションの障害を感じさせる片鱗を窺わせていた。
 その後英語の発音に苦労するチョ・スンヒはますます寡黙になり、数学では成績は優秀であったものの友達はおらずいつも1人でカフェテリアで食事する姿が目撃されていた。
 事件後記者たちが過去の学校時代の友人を探したものの、チョ・スンヒの友人はただの1人もいなかったという。


 だが高校をすぎ、徐々に学生にも社会性を求められるようになるとチョ・スンヒのコミュニケーション障害は非常に扱いに困るものになっていった。
 同級生のクリス・デービスさんは「授業中に本を読もうとしないので、先生が無理やり読ませたら、やっと口に何か入っているかのような変な声で本を読んだ。
 すると生徒たちが笑い始め、彼を指差して“中国に帰れ”と言った」と語った。東洋人ではまだまだ韓国籍が知名度が低かった時代であった。
 他人を避け、一人ぼっちになった彼の成長期における学校生活は、彼の心の中で外部の世界に対する理不尽な敵対心を膨らませ、他罰的な世界観を形成した可能性がある。

 チョ・スンヒと同じ高校に通っていたカーマン・ブランドン(ウェストバージニア大学在学中)によれば「チョは高校のとき、“復讐リスト”を作り持ち歩いていた」という。
 とんだデスノートである。

 大学に入るとさらにチョの精神状態が悪くなり始めた。
 夜は電気をつけたまま寝て、夜の明けないうちに目を覚まし、いつも同じ音楽だけを繰り返し聴き、一人でバスケットボールをして一人で食事をするなど、相変わらず人と交わろうとしなかったという。
 大学の教授たちが彼に話しかけても、20秒以上待ってやっと一言声が聞ける程度だった。
 英文科のニッキー・ジョバンニ教授は、チョのことを「授業時間中に不必要なもめごとを起こすトラブルメーカー」「チンピラ」だと記憶している。
  ジョバンニ教授は「彼はいつも帽子をかぶりサングラスをかけていたので、授業が始まる前に毎回、帽子とサングラスをとるよう言わなければならなかった」と話す。
 一昔前のパンクロックのようにチョは暴力的でわいせつな内容の詩を頻繁に作り、これを直すよう指示しても3回そのまま提出して教授に反抗した。

 最終的に彼が決断をくだした理由はわからない。
 しかしついに殺人を犯した彼は一本のビデオを作成してNBC放送に送りつけた。
 時間的にすでに手を下した第一の殺人後に撮影したものである。
 そのなかで語られる呪詛の言葉はほとんど世界に対する逆恨み以外の何物でもなかった。

 「お前たちには、今日のことを避けるチャンスが1000億回もあった。しかし、お前たちは俺に血を流させた。お前たちは俺を追い詰め、たった1つの選択肢しか与えなかった。決めたのはお前たちだ。お前らの手には、洗っても決して落ちない血がこびりついている」
 「顔につばをかけられ、咽もとにゴミくずを押しつけられる気持ちがわかるか?自分で自分の墓を掘る気持ちがわかるか?」
 「お前らガキどもは、ベンツで満足しなかった。インテリには金のネックレスだって物足りない。財産にも満足していない。お前らはコニャックでも満足できない」
 「十字架の上で辱められ、突き刺されることがどんな気持ちかお前たちに分かるか?」

 抽象的な表現ばかりだが要するに自分を受け入れてくれなかったのは世間が悪いと言いたいらしい。
 そして自分の優秀さを信じており、現在の不遇が正当なものと認められない人間にありがちなことにチョもまた自らの死に意味を見出そうとする。

 「俺はキリストのように死に弱く非力な人々の世代へ霊感を与える」

 完全に殉教者気取りである。
 
 「か弱く無防備な未来の世代のために」

 容疑者はそのために大学で銃乱射とわけわかめなことを供述しており…………(笑)


 さらに問題とされるのがチョが韓国籍であるという点である。
 というのもおなじみではあるが朝鮮は「恨」の文化を強く内包しており、日本語の恨みとは異なるこの感情を我々が説明することは難しい。
 「恨=ハン」に関しては様々な解釈・研究があるが、外的な要因がなくとも、自分の中に蓄積された無力感・劣等感に起因して湧く感情だとする学説もある。
 アメリカの文化学者マーク・ピータソンが述べるとおり、この感情は民族的なもので、異民族支配と封建主義への民族的トラウマなのかもしれない。

 
 「こんなことをしなくても良かったんだ。逃げることもできたが、後戻りはできない。これは自分のためじゃない。俺の子供たち、兄弟、姉妹のためだ。彼らのためにやったんだ」

 いったいお前は誰と戦っているんだ?
 というかチョの姉は明るく社交的で人気者であったそうである。当然彼のいう兄弟姉妹は抽象的な比喩にすぎない。

 「何世代にもわたって虐げられてきた弱者に希望を与えるのだ」

 こらこら、アメリカが助けてくれなければとっくの昔に韓国は北朝鮮に占領されて塗炭の苦しみを味わっていただろう。
 そもそも韓国の生活が不満だからアメリカに移住してきたのだろうに感謝しこそすれ怨むとは何事だ。
 というか何世代にもわたるほど朝鮮がアメリカに苦しめられた歴史的事実はない。
 しかし関係ないのである。
 脳内で歴史を簡単に創作してしまうからだ。

 ところでこの台詞どこかで聞き覚えがないだろうか?
 我が国で大量に不法滞留している半島人が何十年も言い続けている愚痴と同じである。
 チョのこうした発言に対し、米国社会は注目しないだろうが、我が国の場合は決して他人事ではない。何しろ「虐げられた」ことを全面に出して権利の拡大を狙っている一部の層が確実に居るのだ。
 最近の朝鮮学校の補助金問題はその一例である。

 しかも朝鮮半島では銃器によるテロを礼賛する傾向がある。我が国の総理大臣伊藤博文を暗殺した安重根だ。
 韓国では政府も教科書も、銃撃犯を称えている。相手が日本人ならば善悪を超えても政治テロを絶賛するのが半島精神である。
 案の定このヴァージニア州工科大学銃乱射事件が起こるとアメリカに復讐した愛国者、安重根のような愛国の烈士であるなどというネチズンの書き込みが相次いだ。
 そしてアメリカの在米韓人の代表は事件に対し、「この事件を韓国人と結び付けることはやめてほしい。むしろこれはアメリカの銃社会が生んだ悲劇だ」と証言した。
 無用な差別が生まれるのは確かに避けるべきだが、事件の本質を銃社会にすり替える手法は半島人のよくやる手口である。

 また2012年4月2日カリフォルニア州オークランドのオイコス大学で再び韓国籍の男による銃乱射事件が発生した。
 アメリカ社会は半島の「恨」の論理をもう少し深刻に受け止めたほうがいいかもしれない。



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