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完全犯罪を目論んだエリート レオポルド&ロープ事件
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アルフレッド・ヒッチコックの名作「ロープ」のモデルとなった事件として有名である。
ネイサン・レオポルドは天才と言われていた。
彼は200以上のIQを持ち、学校で優れた成績を修めていた。
19歳までに、レオポルドはスキップで大学を卒業し、その後法律学校に進んだ。
レオポルドは鳥にも魅了され、当時すでに熟練した鳥類学者とみなされていた。
しかし、素晴らしいにもかかわらず、レオポルドは社会的に非常に厄介な性格を隠していた。
ネイサンの友人、リチャード・ローブも非常に賢かったが、生活環境は異なっていた。
ローブの父親は全米一の通販会社シアーズ・ローバックの副社長にまで登りつめた出世人であり、将来を期待されたロープは厳格な乳母兼家庭教師にスパルタ教育を受けていた。
そして優秀な成績で若くして大学に入学。しかし、一度大学に入ってしまうと、ローブはそれほど優秀な成績を収めることはできなかった。
代わりに、彼はギャンブルをして飲み、楽しむことにのめりこんでいった。
レオポルドとは異なり、ローブは非常に社交的な性格で、スパルタ教育の反動のように奔放に遊興に耽った。
レオポルドとローブが親友になったのは大学でのことである。
彼らの関係は荒れ果て、親密なものだった。レオポルドは話し上手で魅力的なローブに夢中になった。
一方、ローブは、危険な冒険に忠実な仲間を持つことを喜んだ。
友人と恋人の両方になっていた2人のティーンエイジャーは、すぐに小さな盗難、破壊行為、および放火の行為を始めた。
その小さな犯罪は誰も犯人を突き止めるにはいたらず、最終的に、2人は「完全な重大犯罪」を計画し、実行することを決意する。
1924年5月21日、レオポルドとローブは計画を実行に移すことにした。
ウィリス・ナイトの自動車をレンタルしてナンバープレートを覆った後、レオポルドとローブは犠牲者を求めて行動を開始した。
5時ごろ、レオポルドとローブは学校から家に歩いていた14歳の犠牲者ボビーフランクを見つける。
遠い従兄弟でありボビー・フランクと顔見知りであったローブは共通の趣味であるテニスで、新しいラケットを見せたいと彼を車のなかに誘い込んだ。
車が発進するとすぐ、フランクはノミで頭を数回突き刺されたうえ、後部座席にに引きずり込まれ、それから彼の喉に布を押し込まれ窒息死した。
後部座席に座っていたのはロープで、直接殺人を犯したのはロープであろうと推測される。
レオポルドとローブは、バードウォッチングの遠征のためにレオポルドに知られているウルフ湖の近くの湿地帯の隠された暗渠に向かった。
暗くなった後、レオポルドとローブは目標の暗渠を見つけ、フランクの身体を排水管に押し込み、フランクの顔と性器に塩酸を注いで、身体の正体を不明瞭にした。
レオポルドとローブは帰宅したその夜、フランクの家に電話をし、ボビーを誘拐したことを家族に伝えた。そして彼らはまた身代金の手紙を郵送した。
そのとき彼らは完全な殺人を犯したと思っていた。
ところが、高い知能指数を持ち、エリート街道を歩んできた彼らの犯罪は、実のところ多くの杜撰なミスを犯していた。
彼らはフランクの遺体が白骨化するまで発見されないだろうと考えていたが、死体を隠した排水管から足が突き出ていたために翌日には発見されていた。
しかも極めつけは遺体のそばには眼鏡を落としたことだ。
当たり前だが遺体の傍の遺留品は犯人のものである可能性が高い。一見、何の変哲もない眼鏡かに思われたが、蝶番に特徴があった。
シカゴでは1社でしか作られていないものだったのだ。この蝶番を使った同じフレームの眼鏡はこれまでに3つしか出ていなかった。
そのうちの1つの持ち主がシカゴ大学の学生、ネイサン・レオポルドだった。そして、他の2つの持ち主は現在も眼鏡を使っていたのだが、レオポルドだけが使っていなかったのだ。
「おそらくバード・ウォッチングをしている時に落としたのでしょう」
ネイサンはこのように釈明したが、それは彼に現場の土地勘があることを認めることも同然であった。
また、彼のノートは2種類のタイプライターで打たれていたが、そのうちの1つが脅迫状のそれと一致した。同じ便箋も彼の部屋から発見されている。
レオポルドの親友、リチャード・ローブも別室で取り調べを受けていたが、数々の証拠を突きつけられて観念した。
「彼と二人でやりました。だけど、殺したのは彼です。僕は運転していただけです」
レオポルドに問いただすと、
「違う! 殺ったのはあいつだ! 僕が運転していたんだ!」
互いに罪のなすり合いを始めたが、結局、二人でやったことは認めたのだった。
結局のところ彼らは自分たちの優秀さを示すために無差別殺人を犯した。
誰もが死刑となることを予想したが、著名な弁護人クラレンス・ダロウは彼らの精神異常を主張し刑は終身刑へと減刑された。
その後リチャード・ロープは刑務所内のシャワー室で同じ囚人の一人に襲撃され、カミソリで全身を五十か所以上も切りつけられて失血死する。
それとは対照的にネイサン・レオポルドは33年後の1953年に仮釈放され非行少年を救済する財団を立ち上げ1961年に結婚もする。
そして1971年66歳で心臓発作で死去した。
同じく終身刑を受けたその後の二人の人生は実に対照的なものであった。
ネイサン・レオポルドは天才と言われていた。
彼は200以上のIQを持ち、学校で優れた成績を修めていた。
19歳までに、レオポルドはスキップで大学を卒業し、その後法律学校に進んだ。
レオポルドは鳥にも魅了され、当時すでに熟練した鳥類学者とみなされていた。
しかし、素晴らしいにもかかわらず、レオポルドは社会的に非常に厄介な性格を隠していた。
ネイサンの友人、リチャード・ローブも非常に賢かったが、生活環境は異なっていた。
ローブの父親は全米一の通販会社シアーズ・ローバックの副社長にまで登りつめた出世人であり、将来を期待されたロープは厳格な乳母兼家庭教師にスパルタ教育を受けていた。
そして優秀な成績で若くして大学に入学。しかし、一度大学に入ってしまうと、ローブはそれほど優秀な成績を収めることはできなかった。
代わりに、彼はギャンブルをして飲み、楽しむことにのめりこんでいった。
レオポルドとは異なり、ローブは非常に社交的な性格で、スパルタ教育の反動のように奔放に遊興に耽った。
レオポルドとローブが親友になったのは大学でのことである。
彼らの関係は荒れ果て、親密なものだった。レオポルドは話し上手で魅力的なローブに夢中になった。
一方、ローブは、危険な冒険に忠実な仲間を持つことを喜んだ。
友人と恋人の両方になっていた2人のティーンエイジャーは、すぐに小さな盗難、破壊行為、および放火の行為を始めた。
その小さな犯罪は誰も犯人を突き止めるにはいたらず、最終的に、2人は「完全な重大犯罪」を計画し、実行することを決意する。
1924年5月21日、レオポルドとローブは計画を実行に移すことにした。
ウィリス・ナイトの自動車をレンタルしてナンバープレートを覆った後、レオポルドとローブは犠牲者を求めて行動を開始した。
5時ごろ、レオポルドとローブは学校から家に歩いていた14歳の犠牲者ボビーフランクを見つける。
遠い従兄弟でありボビー・フランクと顔見知りであったローブは共通の趣味であるテニスで、新しいラケットを見せたいと彼を車のなかに誘い込んだ。
車が発進するとすぐ、フランクはノミで頭を数回突き刺されたうえ、後部座席にに引きずり込まれ、それから彼の喉に布を押し込まれ窒息死した。
後部座席に座っていたのはロープで、直接殺人を犯したのはロープであろうと推測される。
レオポルドとローブは、バードウォッチングの遠征のためにレオポルドに知られているウルフ湖の近くの湿地帯の隠された暗渠に向かった。
暗くなった後、レオポルドとローブは目標の暗渠を見つけ、フランクの身体を排水管に押し込み、フランクの顔と性器に塩酸を注いで、身体の正体を不明瞭にした。
レオポルドとローブは帰宅したその夜、フランクの家に電話をし、ボビーを誘拐したことを家族に伝えた。そして彼らはまた身代金の手紙を郵送した。
そのとき彼らは完全な殺人を犯したと思っていた。
ところが、高い知能指数を持ち、エリート街道を歩んできた彼らの犯罪は、実のところ多くの杜撰なミスを犯していた。
彼らはフランクの遺体が白骨化するまで発見されないだろうと考えていたが、死体を隠した排水管から足が突き出ていたために翌日には発見されていた。
しかも極めつけは遺体のそばには眼鏡を落としたことだ。
当たり前だが遺体の傍の遺留品は犯人のものである可能性が高い。一見、何の変哲もない眼鏡かに思われたが、蝶番に特徴があった。
シカゴでは1社でしか作られていないものだったのだ。この蝶番を使った同じフレームの眼鏡はこれまでに3つしか出ていなかった。
そのうちの1つの持ち主がシカゴ大学の学生、ネイサン・レオポルドだった。そして、他の2つの持ち主は現在も眼鏡を使っていたのだが、レオポルドだけが使っていなかったのだ。
「おそらくバード・ウォッチングをしている時に落としたのでしょう」
ネイサンはこのように釈明したが、それは彼に現場の土地勘があることを認めることも同然であった。
また、彼のノートは2種類のタイプライターで打たれていたが、そのうちの1つが脅迫状のそれと一致した。同じ便箋も彼の部屋から発見されている。
レオポルドの親友、リチャード・ローブも別室で取り調べを受けていたが、数々の証拠を突きつけられて観念した。
「彼と二人でやりました。だけど、殺したのは彼です。僕は運転していただけです」
レオポルドに問いただすと、
「違う! 殺ったのはあいつだ! 僕が運転していたんだ!」
互いに罪のなすり合いを始めたが、結局、二人でやったことは認めたのだった。
結局のところ彼らは自分たちの優秀さを示すために無差別殺人を犯した。
誰もが死刑となることを予想したが、著名な弁護人クラレンス・ダロウは彼らの精神異常を主張し刑は終身刑へと減刑された。
その後リチャード・ロープは刑務所内のシャワー室で同じ囚人の一人に襲撃され、カミソリで全身を五十か所以上も切りつけられて失血死する。
それとは対照的にネイサン・レオポルドは33年後の1953年に仮釈放され非行少年を救済する財団を立ち上げ1961年に結婚もする。
そして1971年66歳で心臓発作で死去した。
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