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ネッシー伝説に決着
しおりを挟む2018年6月、ニュージーランドのオタゴ大学の生物学教授ニール・ゲメル氏たちのチームは10日間をかけて、ネス湖の数千か所から湖水を採取した。環境DNAを調査するためである。
環境DNAとなはんだろう?
水中、土壌中、空気中などあらゆる環境中には、そこに生息している生物由来のDNAが存在している。そのDNAを総称して、 環境DNA (environmental DNA, eDNA) と呼ぶのである。その環境DNAを採取し分析することで、生物の在不在や生物量・個体数、さらには遺伝情報などの膨大なデータを得ることが可能となってきた。
もしネッシーが存在するならば、既存の恐竜のDNA、あるいは未知の動物のDNAが測定されるはずだ、というわけである。
いかにネッシーといえど、生物であるかぎり排泄物がでないということはありえない。もちろん不老不死でなければ死体がネス湖に溶けていることも確実だ。
その環境DNAの解析がついに終わった。
ここで興味深い現象が起きる。ネッシーのロマンを信じる人間には残念な事実だ。
イギリスのブックメーカーでネッシーの発見に懸賞金(1000万ポンド)がかけられて以来、ネス湖には賞金を求める観光客が押し寄せてきた。
そして年に数度はほぼ確実な目撃談があった。
ところが2012年以降減少に転じ、2018年は一度も目撃談がないというのである。
ネッシーの最初の目撃情報は紀元690年に記された聖コロンバ伝であるという。
もともとそうした伝説があるからこそ、ネッシーは多くの人々に信じられてきた。
しかし科学的な調査が進み、伝説の魔力も現代ではすでに失われようとしていたのである。
そして2019年8月、ついに環境DNAの測定結果が発表された。
三千か所以上から採取されたネス湖の湖水からは、未知のDNAは全く発見されなかった。
採取された環境DNAのなかには、ウナギのDNAが多く含まれていたという。
「もしかしたらネッシーは巨大化したウナギなのかもしれないね」
とニール教授はいう。
湖に溶けだしたDNAに嘘はつけない。
ネス湖は湖底で海と繋がっているという噂もあるが、研究チームはぬかりなく湖底の水も採取した。
ネッシー伝説は終わったのだ。
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