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コロンブスの知られざる不幸な人生
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クリストファー・コロンブスといえば、誰もが知る新大陸発見で有名な人物です。
また「コロンブスの卵」という名文句を知らない人はいないでしょう。
「机の上に卵を立てられる者はいるかい?」
というコロンブスの問いに、挑戦した人間は誰も卵を立てられなかった。「こんなこと無理に決まっている!」
するとすまし顔でコロンブスは、卵の底を割って机に立てた。
「そんな方法なら誰だってできるじゃないか!」
「誰でもできることと、誰でも思いつくかどうかは別だよ」
というアレです。
残念ながらこの話は創作のようですが、誰がなぜコロンブスを例えに出したのかははっきりとしません。
そんな有名で世界に名を知られたコロンブスですが、彼の人生は不幸の連続でした。
コロンブスはイタリアジェノバで1451年に生まれました。
父親のドメニコは羊毛の織物職人で、14歳の時に初めて海に出たと伝わっています。
最初の航海は有名な海賊と一緒だったのです。
1746年ジェノバの船がポルトガルの沿岸沖で襲われ海に投げ出されたコロンブスは、自力でリスボンへとたどり着きました。
戦争で全財産を失った貴族出身と嘘をつき、ポルトガル貴族の女性と結婚します。
後年、彼が没落する原因となりますが、このころからすでに嘘をつくことが当たり前の男であったようです。
そのせいか多額の借金を抱えてしまい、妻が病死すると妻の実家からの支援も打ち切られてスペインへと夜逃げ同然に逃げ出しました。
そこで彼は修道士のアントニオ・デ・マルチェナと知り合うという幸運を手に入れました。
マルチェナは、1486年5月フェルナンド王とイザベラ女王に逢いコロンブスを紹介して、彼はやっと航海の援助を求めることができたのです。
「東ではなく、西へ西へと進むことでアジアに到達できるはずだ」と彼は主張しました。
しかしイザベラは司祭にこの問題を預けてしまい、4年間も説明に追われる毎日を送っています。
司祭を筆頭とする委員会は、コロンブスの提案を無益なものだと否定しました。
結局1491年7月に再申請が認可されるまで、コロンブスは無理解と戦い続けなくてはなりませんでした。
1492年8月3日の明け方、3隻の船に90人が乗り込み出航しました。
大西洋は島が少なく同じ景色ばかりで次第に船員たちの不安と不満が募り、とうとう反乱が起きます。
コロンブスを船から投げ落としてスペインに帰ると言い出したのです。
しかし、反乱を起こしたものは縛り首にすると怒鳴り上手く治めました。
それから間もなくして、「大陸だ!」と見張り役が叫んだのです。
1492年10月12日午前2時に見張り役のロドリゴ・デ・トリアナがついに陸地を発見しました。
この成果をうけ、コロンブスは帰国後大歓迎をうけ、公の場に王に次いで姿を見せる栄誉を与えられました。
まさにこれが彼の人生の絶頂期でした。
コロンブスはエスパニョーラ島付近の入植地の副王の地位を任されますが、反乱が頻発し(住民の反乱はコロンブス不在中のできごとだったのだが)査察のために派遣された貴族ボバディージャによってコロンブスは逮捕送還されてしまうのです。
逮捕されたコロンブスは、かつての支援者イザベラ女王に泣きつき、かろうじて投獄は免れますが、失われた地位は二度と戻ってきませんでした。
すでに新大陸を経営するうえで、コロンブスの存在は邪魔でしかなかったのです。
彼は優秀な探検家ではあっても、優秀な統治者、経営者ではありませんでした。
いともあっさりとスペイン宮廷に見捨てられたコロンブスは失意から人間不信に陥り、宗教にのめりこんでいきます。
それでも満足できなかったのか、今度は神秘主義へと傾倒していきました。
晩年は予言の研究に没頭し、自らを予言者と名乗るようにもなりました。
もともと胡散臭い男とみられていたコロンブスはますます誰からも見向きもされなくなっていきました。
彼の予言書によれば「エデンの園は必ず見つけ出さねばならない」とか「皇帝は統一されねばならない」など書かれており、記述の中には1656年か1658年が世界の終わりであると記されているそうです。
もちろん外れました。
死ぬ最後の瞬間まで、コロンブスは自分が発見したのがアジアであると信じていました。
1506年5月20日、コロンブスは、バリャドリードで一人寂しく亡くなります。
彼の臨終に立ち会ったものは誰もいませんでした。
死後、遺骨は故人の遺言に基づきスペインからドミニカのサントドミンゴ大聖堂に移されました。
しかしそのことが一つのミステリーを生むことになります。
スペインと中米ドミニカ共和国に祭られている「コロンブスの」遺跡は、どちらが本物か分からなくなったのです。
まず、コロンブスが亡くなったのはスペイン国内ですが、その後、前述のとおりドミニカに移されました。
しかしドミニカの宗主国がスペインからフランスに変わった時、スペイン側はコロンブスの遺骨を他国に渡すまいと、ドミニカからキューバへ移します。そして、最終的に遺骨はスペインのセビリアまで戻されました。
ところが、1877年に奇妙なものが発見されます。
サントドミンゴ大聖堂でコロンブスの名が書かれた遺骨の箱が見つかったのです。
これでどちらが本物かわからなくなってしまいました。その決着をつけるべく、DNA鑑定をすることになったのですが、ドミニカ側からの協力が得られず、両方の比較ができないため今なお結論は謎のままとされています。
実はコロンブスはスペイン王家に見捨てられてからも、インドへ通じる海峡を発見したり、パナマを抜けるルートがない(パナマ運河が作られたのはそのため)ことを確認したりと数々の貴重な発見をしています。
しかしそれが商売となると、自分の損得しか考えられなくなるようで、スペイン王家はおろか故郷のジェノバ商人にまで見捨てられてしまったようです。
スペイン王家に見放されてから、ずっと生涯コロンブスは自分が不幸で、理不尽な目にあっていると不平を口にしていました。
教科書に残る偉大な業績を残しながらも、彼は自身の後半生をずっと呪いながら死んだことになります。
誇大妄想のようなコロンブスの予言書が、実は真実が含まれていてコロンブスの甥がその裏の世界の真実に迫る――そんなネタを考えてしまう管理人でした。
また「コロンブスの卵」という名文句を知らない人はいないでしょう。
「机の上に卵を立てられる者はいるかい?」
というコロンブスの問いに、挑戦した人間は誰も卵を立てられなかった。「こんなこと無理に決まっている!」
するとすまし顔でコロンブスは、卵の底を割って机に立てた。
「そんな方法なら誰だってできるじゃないか!」
「誰でもできることと、誰でも思いつくかどうかは別だよ」
というアレです。
残念ながらこの話は創作のようですが、誰がなぜコロンブスを例えに出したのかははっきりとしません。
そんな有名で世界に名を知られたコロンブスですが、彼の人生は不幸の連続でした。
コロンブスはイタリアジェノバで1451年に生まれました。
父親のドメニコは羊毛の織物職人で、14歳の時に初めて海に出たと伝わっています。
最初の航海は有名な海賊と一緒だったのです。
1746年ジェノバの船がポルトガルの沿岸沖で襲われ海に投げ出されたコロンブスは、自力でリスボンへとたどり着きました。
戦争で全財産を失った貴族出身と嘘をつき、ポルトガル貴族の女性と結婚します。
後年、彼が没落する原因となりますが、このころからすでに嘘をつくことが当たり前の男であったようです。
そのせいか多額の借金を抱えてしまい、妻が病死すると妻の実家からの支援も打ち切られてスペインへと夜逃げ同然に逃げ出しました。
そこで彼は修道士のアントニオ・デ・マルチェナと知り合うという幸運を手に入れました。
マルチェナは、1486年5月フェルナンド王とイザベラ女王に逢いコロンブスを紹介して、彼はやっと航海の援助を求めることができたのです。
「東ではなく、西へ西へと進むことでアジアに到達できるはずだ」と彼は主張しました。
しかしイザベラは司祭にこの問題を預けてしまい、4年間も説明に追われる毎日を送っています。
司祭を筆頭とする委員会は、コロンブスの提案を無益なものだと否定しました。
結局1491年7月に再申請が認可されるまで、コロンブスは無理解と戦い続けなくてはなりませんでした。
1492年8月3日の明け方、3隻の船に90人が乗り込み出航しました。
大西洋は島が少なく同じ景色ばかりで次第に船員たちの不安と不満が募り、とうとう反乱が起きます。
コロンブスを船から投げ落としてスペインに帰ると言い出したのです。
しかし、反乱を起こしたものは縛り首にすると怒鳴り上手く治めました。
それから間もなくして、「大陸だ!」と見張り役が叫んだのです。
1492年10月12日午前2時に見張り役のロドリゴ・デ・トリアナがついに陸地を発見しました。
この成果をうけ、コロンブスは帰国後大歓迎をうけ、公の場に王に次いで姿を見せる栄誉を与えられました。
まさにこれが彼の人生の絶頂期でした。
コロンブスはエスパニョーラ島付近の入植地の副王の地位を任されますが、反乱が頻発し(住民の反乱はコロンブス不在中のできごとだったのだが)査察のために派遣された貴族ボバディージャによってコロンブスは逮捕送還されてしまうのです。
逮捕されたコロンブスは、かつての支援者イザベラ女王に泣きつき、かろうじて投獄は免れますが、失われた地位は二度と戻ってきませんでした。
すでに新大陸を経営するうえで、コロンブスの存在は邪魔でしかなかったのです。
彼は優秀な探検家ではあっても、優秀な統治者、経営者ではありませんでした。
いともあっさりとスペイン宮廷に見捨てられたコロンブスは失意から人間不信に陥り、宗教にのめりこんでいきます。
それでも満足できなかったのか、今度は神秘主義へと傾倒していきました。
晩年は予言の研究に没頭し、自らを予言者と名乗るようにもなりました。
もともと胡散臭い男とみられていたコロンブスはますます誰からも見向きもされなくなっていきました。
彼の予言書によれば「エデンの園は必ず見つけ出さねばならない」とか「皇帝は統一されねばならない」など書かれており、記述の中には1656年か1658年が世界の終わりであると記されているそうです。
もちろん外れました。
死ぬ最後の瞬間まで、コロンブスは自分が発見したのがアジアであると信じていました。
1506年5月20日、コロンブスは、バリャドリードで一人寂しく亡くなります。
彼の臨終に立ち会ったものは誰もいませんでした。
死後、遺骨は故人の遺言に基づきスペインからドミニカのサントドミンゴ大聖堂に移されました。
しかしそのことが一つのミステリーを生むことになります。
スペインと中米ドミニカ共和国に祭られている「コロンブスの」遺跡は、どちらが本物か分からなくなったのです。
まず、コロンブスが亡くなったのはスペイン国内ですが、その後、前述のとおりドミニカに移されました。
しかしドミニカの宗主国がスペインからフランスに変わった時、スペイン側はコロンブスの遺骨を他国に渡すまいと、ドミニカからキューバへ移します。そして、最終的に遺骨はスペインのセビリアまで戻されました。
ところが、1877年に奇妙なものが発見されます。
サントドミンゴ大聖堂でコロンブスの名が書かれた遺骨の箱が見つかったのです。
これでどちらが本物かわからなくなってしまいました。その決着をつけるべく、DNA鑑定をすることになったのですが、ドミニカ側からの協力が得られず、両方の比較ができないため今なお結論は謎のままとされています。
実はコロンブスはスペイン王家に見捨てられてからも、インドへ通じる海峡を発見したり、パナマを抜けるルートがない(パナマ運河が作られたのはそのため)ことを確認したりと数々の貴重な発見をしています。
しかしそれが商売となると、自分の損得しか考えられなくなるようで、スペイン王家はおろか故郷のジェノバ商人にまで見捨てられてしまったようです。
スペイン王家に見放されてから、ずっと生涯コロンブスは自分が不幸で、理不尽な目にあっていると不平を口にしていました。
教科書に残る偉大な業績を残しながらも、彼は自身の後半生をずっと呪いながら死んだことになります。
誇大妄想のようなコロンブスの予言書が、実は真実が含まれていてコロンブスの甥がその裏の世界の真実に迫る――そんなネタを考えてしまう管理人でした。
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