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10巻
10-2
しおりを挟む「仕方ないでしょう! それが任務なのですからっ!」
どうやら任務を放棄して自分の身の安全を図るという選択肢はないらしい。
ある意味ではミハイル以上に不器用で面倒くさい性格と言えよう。
そのくせミハイルのように、持って生まれた力で無理を押し通すわけではないところが恐ろしい。
「やはり俺の副官はお前にしか務まらんよ。運が悪かったと諦めてくれ」
「諦められるわけないでしょうが! 私の人生をなんだと思っているんです! あなたの副官をやっているというだけで、お見合いの相手すらいないんですよ!」
嬉々として剣を振るい、獣人を虐殺したことでも知られる戦場の悪鬼ミハイルの副官というと、同じく戦闘狂のように思われてしまう。
とんだ風評被害であった。
「……なんだ、お前結婚したかったのか」
「当たり前でしょう! 私は三人以上の子供を作って、夫婦仲良く八十まで生きるのが目標なんですから!」
「なんというかその……すまん」
初めて聞く副官の生々しい生の欲求に、ミハイルは心の底から頭を下げた。
「それじゃ命大事にしてくれるんですね!」
「ごめんそれ無理」
兵士の壁に守られて、陣の後方で大人しくしているなどできるはずもない。
百足や猪よろしく、ミハイルには後ろに下がる機能が喪失していた。
「そうだ! 見合いは世話できると思うぞ? これでもそれなりに顔は広いからな。軍人に理解のあるやつも多い。副官なら文句なしだ」
確かにミハイルは恐れられる存在だが、彼を慕う脳筋な軍人もいないわけではなかった。
それに、戦死することを恐れていては軍人など務まらない。特に軍人の家系ではそうした理解のある女性も多かったのである。
「それを早く言ってくださいよ! この私、スミノフ・スタンリーに嫁を! 安産型で気立てのよい嫁をよろしくお願いします」
「なんだ副官、そんな名だったのか」
初めて聞いたという風でコクコクと首肯するミハイルに、再び副官は怒髪天を衝いた。
「やっぱり転属だっ! 意地でも転属してやるうううううう!」
三年来の付き合いで、幾度もの死線を潜らせながら、いまだに名前も覚えていなかったと知ったスミノフは、力の限りに絶叫した。
しかし彼の切なる願いは、誰もミハイルの副官などしたくないという現実を前に、むなしく拒絶される――これもまた当然の成り行きであった。
「まったく何をやっておるのだ。あの低能どもは!」
不機嫌そうにアンサラー国王アレクセイ三世は舌打ちした。
五万という大軍を揃えながらバルドを相手によいところなく敗れた公国に、アレクセイは唾を吐きかけたい思いだった。
おかげでネドラス王国に派遣していたミハイル将軍を、援軍としてトリストヴィーに向かわせなければならなくなった。
それはアンサラー王国としても苦渋の選択だったのである。
ここまでアレクセイが不機嫌を露わにするのは、外面的には鷹揚な君主であることを意識している彼としては珍しかった。
言い替えれば、この場に気を許した人間しかいないという証左でもあろう。
「まさかあそこまで惰弱だとは計算違いでしたな」
老練な宰相マラートは国王の言葉を軽く受け流して苦笑した。
アレクセイがこんな愚痴をこぼす場面はそう多くない。ここで自分まで深刻になるのは、精神衛生的にもよろしくないのだ。
「――とはいえ、彼の国から頭を下げて援軍の要請があったことは、我が国にとって悪いことではありません」
「無論そうだ。しかし公国と小僧を争わせてともに疲弊させるはずが、またまた小僧の圧勝となると面白いはずがあるまい」
すでにアレクセイは、マウリシア王国とハウレリア王国の戦役の際、バルドに思惑を邪魔されている。ここで再びバルドに美味しいところをさらわれては目も当てられない。
「加えて――これだ」
アレクセイは報告書をマラートの前に放り投げた。どうやら愚痴ではなく、本気で苛立っているらしい。
「……ネドラス王国で大規模な反乱、ですか」
「頭の痛い話だ。ミハイルがいなくなった途端にこれとは、アンサラー王国の面目に関わるわ」
「後任のフォークは優秀な男と思いましたが」
「優秀ではあるが、忍耐力は乏しかったようだな。次の人選は考慮しておけ」
「御意」
ネドラス王国のレジスタンスが活発化したのは、ミハイルがネドラス王国を後にしてすぐのことだった。
――幻影のラグニタス。
相手の弱点にしか手を出さず、まるで空気に溶けるように姿を消すことからそう名付けられたレジスタンスは、ミハイルの不在をよいことに、アンサラー王国軍の補給部隊を襲撃した。
簡単に勝てるところにしか手を出さない。
そう思っていたからこそ、アンサラー王国は補給部隊に一個大隊という破格の護衛を付けていたのだが、ラグニタスは配下の総力を挙げて賭けに出たのである。
油断していた補給部隊は、これまでの鬱憤を晴らすかのように戦意に満ちたレジスタンスを前に壊滅した。
嫌がらせのような攻撃を続けていても、戦争の流れを変えるためにはどこかで大規模な攻勢に出る必要がある。
ラグニタスはミハイル不在の間隙をついて、ネドラス王国にレジスタンス有りという狼煙を上げることに成功したのだ。
それに激怒したのが、新任のフォーク・カツコフ将軍だった。
ミハイルによって鎧袖一触に退けられて以降、抑え込まれていたレジスタンスが攻勢に転じたことで、フォークの面目は潰される形となった。
フォークならば勝てると言われたも同然であるからだ。
もともと苛烈な攻勢に定評のある指揮官らしく、フォークはレジスタンスを追撃するために軍の先頭に立った。
これまでは逃げるだけだったレジスタンスだが、今回に限ってはやる気を出しているらしい。
となれば、ミハイルにも根絶することのできなかったレジスタンスを掃討する好機である、とフォークは考えていた。
純軍事的に見ればフォークの考えは正しい。潜伏するレジスタンスを根絶することは難しいが、表舞台に立ったレジスタンスを殲滅することは難しくないのである。
しかしフォークによるレジスタンスの追撃は、ネドラス王国の一般市民に過酷な負担を強いるものとなった。
いつの世も軍という存在は莫大な物資を消費する。
その物資は、属国という立場上、ネドラス王国の民衆が負担することになる。
すでに疲弊しきっていた国民にとって、フォークの軍による徴収、そして頭に血が上った兵士による暴虐はもはや耐えられる限界を超えていた。
結果的に見れば、アンサラー王国はネドラス王国の属国化を急ぎすぎたのである。
二世代ほど時間をかけて牙を抜き、緩やかに締め付けを強化すれば、このようにレジスタンスが跋扈することはなかったはずだ。
そこに大国としての驕りがなかったと言えば嘘になる。
しかしアレクセイ三世は、統一王朝の正統として大陸世界にアンサラー王国の力を見せつけるべく、ある程度の損害も折り込んでいた。
よってフォークとしても、レジスタンスの討伐のためには、味方の損害を顧みないだけの余裕があった。
両国の兵力には天と地ほども差があり、敵に倍する損害を受けたところで、アンサラー王国は痛痒にも感じないのだから。
剣をもって民衆を脅し、幾多の無辜の民を血祭りに上げ、レジスタンスの本拠地の情報を得たフォークはただちに攻撃を開始した。
単純に密告を信用したわけではない。
厳重な偵察を実行し、隠れ里のような本拠地に、間違いなくレジスタンスが五百ほども隠れていることを突き止めた。
――ところがそれさえもラグニタスの策のうちだった。
事前に坑道を掘って脱出していたラグニタスは、フォークの突入を待って、本拠地を囲むように火を放った。
アンサラー王国の兵にとっては不慣れな山中である。
大規模な山林火災となったこの焼き討ちで、アンサラー王国軍は兵の六割以上を失うという大敗北を喫した。
そしてフォーク自身も、逃げ惑うなかでラグニタスによって生命を失っている。
一時的にだがネドラス王国に駐留していたアンサラー王国軍はその戦力を喪失し、ネドラス王国の国土の半ばほどが無政府状態となった。
これを再び抑えつけるにはよほどの戦力と物資が必要になる。
無論、大国であるアンサラー王国にとって耐えられぬ負担ではない。ただその分、トリストヴィーに割ける力がどうしても低下してしまうのだ。
アレクセイが怒っているのは、よりにもよってこのタイミングで自ら墓穴を掘った、フォークの迂闊さに対してであった。
「飴が必要になりましょうな」
こともなげにマラートは薄く嗤った。
「あまり気乗りがせんがな」
「それが一番手っ取り早いのです。今はネドラス王国にあまり手間をかけたくありません」
マラートが画策しているのはレジスタンスの分断である。
ラグニタスが挙げた戦果は大きいが、同時にそれは、ネドラス王国で主導権を握りたいほかの勢力から見れば苦々しいものだった。
ネドラス王国においては、獣人は珍しくはないが、人間に比べればマイノリティーにすぎない。
このままネドラス王国の新たな首班にラグニタスが立つのを許せない人間は、探せばいくらでもいるはずであった。
反乱の規模が大きくなったのは、アンサラー王国による搾取に民衆が耐えられなくなったのが何よりの原因であり、慈悲深く食糧を給付するだけで、たちまち大半の民衆は反乱から手を引くだろう。
マラートの言う飴とは、ラグニタスの対抗勢力への支援と、ネドラス王国への食糧援助のことだった。
単純に大軍を派遣するより早くネドラス王国を鎮静化できることを、アレクセイはすぐに理解した。理解はしたが、感情はなかなか納得できない。
「余の顔に泥を塗った連中は、皆首を刎ねてやりたいが――」
「いくらでも刎ねられませ。ただし、邪魔な獣人どもを炙り出したあとで」
「ふん、あまり余を待たせるなよ」
こうした搦手を使うことにかけて、マラートの右に出る者はいない。
大国と呼ばれるからには大国に相応しい闇があり、宰相たるもの、国王に代わってその闇を引き受けなければならないのだ。
「ネドラスの混乱をこれ以上大きくするわけにはいかん。トリストヴィーをあの小僧にくれてやるつもりもない」
「――御意」
「軍務卿を呼べ。まずは当面の手当てを考えなければならん」
灰銀の耳をそばだて、ラグニタスは近づく軍靴の音を聞いた。
「思ったよりも対応が速かったか。アンサラー王国も、さすがに悠長には構えていられないということだな」
アンサラー王国からすれば塵芥のような戦力でしかないレジスタンスだが、ラグニタスはまったく意にも介さずに嗤う。
負ける戦はしないという己の戦い方を貫くかぎり、二年でも三年でも戦い続けられる自信があった。
「わかってたことだけど……あれだけ叩きのめしたのになあ……」
街道の向こうから、長い列を組んで姿を現したアンサラー王国軍の威容に、部下の男が失望の呟きを漏らした。
レジスタンスに比べ無限に近い回復力を誇るアンサラー王国は、たかが数千の損害などすぐに補充してしまう。
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ただ一人、ラグニタスだけは雲霞のごとき敵軍を前にしても不敵な笑みを崩さない。
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だからこそ最大限の力で最大の効率を追求する。
この先レジスタンスの活動にはよほどの困難を伴うことを、ラグニタスは静かに覚悟していた。
「――が、悪いな。そんなことは百も承知さ」
ラグニタスがあえて大々的な反攻に打って出たのには理由がある。
こうしてアンサラー王国の注意を引きつけ、その戦力を吸引するためだ。
もちろん、無視されるならばそれに乗じてネドラス王国を乗っ取ってしまってもいい。
どちらに転んでもラグニタスに損はなかった。
「大国には大国の戦い方があるんだろうが……獅子が蛇のひと噛みで殺されることもある。時間を稼がれたことを後悔するがいいぜ」
同じ獣人の血を引くバルドがトリストヴィーの覇権を手に入れようとしている。
ラグニタスにとっては、アンサラー王国が総力を挙げてトリストヴィーを征服することが何より恐ろしかった。
「あの化け物に勝てますかね?」
不安そうに尋ねる部下にラグニタスは肩を竦めて応じた。
「おいおい、勝ってもらわなきゃ俺たちは詰みなんだぜ? あの王子が勝ってこそ、俺たちの未来も拓けるってもんさ」
自分たちの未来を他者に託さなければならないのは業腹だが、それほどの格差がアンサラー王国とレジスタンスの間には横たわっている。
ラグニタスにできるのはただ、バルドが戦いやすいように側面から援護射撃することだけであった。
「負ける戦はしない俺が、全財産を張ったんだ。期待を裏切ってくれるなよ?」
「――――くしょんっ!」
盛大にくしゃみをしてバルドは肩を震わせた。
「潮風が冷たくなってまいりましたし、部屋に戻られてはいかがですか?」
「いや、もう少しここで待つ」
心配そうに声をかける従者を手で制して、マルベリーの城壁に立つバルドは西陽に包まれる水平線に目を凝らした。
予定では、シルク率いるランドルフ侯爵軍とノルトランドの獣人連隊が近日、補給船団とともに到着するはずであった。
「まだマルベリーは見えないのですか?」
シルクの悲しそうな視線を、船長は気の毒そうに帽子を傾けて逸らした。
「生憎と風が悪い。あと半月早く出発できれば季節風に乗れたんだが……」
「返す返すも口惜しいわね!」
鬱屈した怒りが込み上げてきて、憤然とシルクは甲板を蹴った。
令嬢らしからぬ態度ではあるが、それでもまだ抑えきれぬ感情にシルクは身を震わせていた。
あのような妨害さえなければ、自分はもっと早くバルドに再会できていたはずなのだ。
シルク率いるランドルフ侯爵軍の出発が、ここまで遅れたのには理由がある。
一番の大きな要因は、ノルトランド帝国の獣人族部隊の到着が大幅にずれ込んだことだった。
野宿を苦としない獣人族部隊とはいえ、飲料水や食料なしに他国を横断することはさすがに難しい。
アンサラー王国ほどではないにしろ、マウリシア王国でも獣人に対する偏見は根深く、さらに他国の戦闘部隊に領内を通過させるのを嫌う貴族は多い。
もちろんその懸念を払拭すべく、アルフォードもシルクも全力を尽くしたが、貴族たちの動きは鈍かった。
その背後には、リッチモンド公爵を筆頭とする反バルド勢力の暗躍があったことは言うまでもない。
彼らとしてはバルドが無謀にもわずか四百の兵を率いてトリトスヴィーに渡ったことは、邪魔者抹殺の得難い機会なのであった。
「そのまま死んでくれればありがたい。むしろ死ね」
消極的ながら彼らがバルドの挙兵に賛成したのは、最終的にハロルドの跡を継いで宰相となるのはバルドなのではないかという危惧があったからだ。
戦役の英雄にしてランドルフ侯爵家と縁戚を結び、さらにコルネリアス伯爵家を筆頭に武断派の領主貴族にも信望が厚い。
そんな人物が国政の中心に座るのは、悪夢以外の何物でもなかった。
なので、国内にいられるよりは国外に追い出したほうがまだましなのだが、バルドの存在が邪魔なことに変わりはない。
新たなトリストヴィー国王がマウリシア王国に政治的影響力を有しているなど、到底認められないのだった。
である以上、間違っても戦闘の開始前に、援軍がバルドのもとへ到着することは避けなければならない。
彼らの工作は十分に効果を発揮して、ノルトランド帝国軍の行軍は当初予定の三倍以上の時間を浪費させられた。
工作と言っても消極的な非協力であり、明白な敵対行為でないため耐えるしかなかった。
――そんなマウリシア貴族たちに衝撃の報告が届く。
バルド・アントリム・コルネリアスがわずか四百の寡兵をもって、公国軍五万を撃退したという耳を疑いたくなる報告であった。
さすがにすぐには信じることができなかった。
第二次アントリム戦役もこれほど馬鹿げた兵力差ではなかった。それに、あのとき勝てたのは僥倖に近い偶然に助けられてのことだったと聞く。
もし彼らのなかに、王門とそれを所有する規格外戦力が四人いるという情報を正確に知る者がいれば、すぐに意見は変わっただろう。
しかしまともな人間に、王門の過剰な戦力を理解しろというほうが難しい。
なんといってもあの戦役において、まだバルドは王門に覚醒しておらず、マゴットは最後に少し戦っただけであった。
まずは様子見と考えた彼らを責めることはできまい。
だが時間を追うごとに、どうやらバルドが勝利したのは確からしいことが伝わり、海運ギルドの長であるピアージョが暗殺に斃れたことが明らかになると、彼らは慌てた。
卑劣な手段でピアージョを除いた公国に対する反感がマウリシア王国内で広まり出したのに加え、もはやバルドが戦場で斃れる可能性はないと見てよくなったからである。
「まったくあの化け物め!」
「……大人しく死んでいればよいものを!」
教皇庁に協力するという危ない橋を渡ったにもかかわらず、バルドがそれを一蹴したことにリッチモンド公爵は歯噛みした。
こうなっては陰からノルトランドの援軍の進軍を妨害し、食糧や馬匹の提供を拒ませてきたのも意味がなかった。
不本意極まりないが、このままバルドがトリストヴィー国王になる可能性が高い。
しかし手をこまねいて傍観するという選択肢はない。
リッチモンド公爵を筆頭とする官僚派貴族は、次善の策としてバルドの影響力を国内から削ぐべく活動を開始した。
国内経済におけるダウディング商会の独占を掣肘し、バルドに代わってアントリムを統治することになるウィリアム王子への働きかけを強化したのである。
バルドの父イグニスは国内に残留するとしても、ウィリアムを取り込めばバルドの影響力は最小限にとどまるはずであった。
その結果、完全に怒りゲージの振り切れたセリーナが、思いも見なかった爆弾を王都キャメロンに投下することになるのだが、それを予想できた者は誰一人いなかった。
「――どういうことだ?」
価格の安い塩を買い付けにやってきた商人は困惑も露わに尋ねた。
つい先日まで、マウリシア国内の塩の販売は、サンファン王国との販路を独占するダウディング商会の独壇場であったはずなのだが。
「はい、このたびダウディング商会は四つの商会として分業していくこととなりました。お手数ながら決済は担当の本店でいたします」
「で、ではその担当の本店とやらはどこに?」
「基本的に塩や海産物、海運に関することでしたら、サンファン王国のコルネリアス商会をお訪ねください」
そう言ってトーマスはニヤリと嗤う。
「ご心配には及びません。我がダウディング商会が仲介することも可能ですので」
「あ、ああ……ならばそれでお願いする」
「ところでお客様、いかがでしょう? 新商品の金剛石などは……」
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