異世界転生騒動記

高見 梁川

文字の大きさ
表紙へ
上 下
129 / 252
9巻

9-1

しおりを挟む
「――や、やっと帰ってこれた……」

あの後、なんだかんだあって帰ってくることができた。結構近いところにあってよかった。

「……ま、またここ飛ぶの?」

下にはベットがあるがやっぱり怖い。未来ちゃんは興奮してるようで飛び降りようとしていた。

「ちょちょちょ!未来ちゃん飛ぶの!?」
「うん!飛びたい!」

なんとか止めようとしたけど、未来ちゃんはウッキウキで下へと飛び降りた。


下で未来ちゃんがキャーキャー言っている。……嘘でしょ……未来ちゃんここ飛べるのぉ?

「はよ降りてこい」

下からノアの声が聞こえてくる。……降りれたら降りてるわ!

「ちょい!ハシゴ持ってきてよ!行く時置いてたでしょ!?」
「あれ重いんだよ。飛び降りた方がはやい」

なーんーでーーー!?持ってきてくれたらいーじゃーーん!!こんな所から飛び降りれるわけないジャーン!!

「お姉ちゃん降りれないの?」
「そうだぞー。降りれないのかお姉ちゃーん?」

くっそ!百合ちゃんが参戦してきやがった!回復したのは嬉しいけど腹立つぅ!!

「黙らっしゃい!!お、降りれるしー!これくらい……降りれますぅー!!」

私のプライドが火を噴いた。でも怖いものは怖い。


脚だけをプラプラと降ろしてみる。……なんかお尻がゾワゾワとする。

「うぅ……み、見てろぉ!降りるからなぁ!」
「ママ!!」
「未来!!」

未来ちゃんと荊棘さんが泣きながら抱き合っている。……今かぁ……今感動ムード出すのかぁ。なんか周りのみんなも感動ムード出してるんだけどぉ。私ここでビビり散らしてるんですけどぉ。


私がプルプルと震えていると、感動ムードが終わったみんなが私の方に向いてきた。……そんな見ないで……。

「花音ちゃんそろそろ降りてきなよー」
「そうだよー。降りてきたら頭撫でてあげるわよー」
「あーもー!!真唯さんまで悪ノリしないでー!!」

ちくしょう……小さい女の子が飛べて私が飛べないなんてぇ。情けないぃ……。

「はぁ……仕方ない」

ノアがパンパンと2回手を叩いた。……あれ?これってもしかして……。

「ちょちょっと待ってよ!まだ気持ちが整ってないというか、心が統一されてないというか、脚の調子が悪いというか、心の猫ちゃんがビビってるっていうか――」






足を掴まれた。あーまたこのパターン。ヤダヤダ男の子って野蛮ね。……あはは。


イコライザーに布団の上に叩き落とされた。バフンってなった。体がトランポリンみたいにはねる。

「……も、もうちょっと優しくしてぇ……」
「花音ちゃん。それえっちだからこれから言っちゃダメだよ」
「はい……」

百合ちゃんに頭を撫でられた。……ちきしょー。












「――やっぱりおかしいね」

まくっていた服を戻してお腹を隠す。まだまだ思春期なので素肌を見せるのは恥ずかしい。


私はおじいさんおばあさんに体を見られていた。……これだと誤解されそうだね。怪我がないかを見てもらっていた。

「食道に何か異物があるね……なんだろう」
「……あ、あのぅ……」

女の子に卵を産み付けられたとは言いにくい……。

「……あなたはあっちいってて」
「わかった。ただ病名だけは聞かせてくれよ」

おじいさんがみんなの所に行った。おばあさんが優しいな……。

「……まぁ、言いにくいこともあるわよね。でも治すためには言ってもらわないと。ここには機材もないし」
「……信じてくれます?」
「うん。大丈夫よ。言ってみなさい」
「……卵」
「え?」
「卵を産み付けられました……女の子に……」

おばあさんがポカンと口を開けている。まぁそりゃそうか。私も同じ立場なら同じ状況になる。

「……それ本当よね?」
「はい……お恥ずかしながら……」
「……わかったわ。信じる。こんな状況なんだしありえないこともないわよね……」

くっそ恥ずかしい。エプムーサめ、こんなに時間が経ってもダメージを与えてくるとはぁ……。

「ちょっと服を脱いでくれない?」

言われるがまま上の服を脱いだ。ちょっと肌寒い。冷たい空気が肌にまとわりついた。

おばあさんが私の胸の中心くらいに指を置いてきた。目を瞑って集中しているようだ。

「……確かに卵ね。多分カエルの卵みたいなゼリー状のやつ。でも食道に引っ付いてる。カルシウムの塊が食堂に根を張ってるわ」
「カルシウムって根を張るんですか?」
「ただの比喩よ。……でもちょっとだけね……これくらいならお酢を飲めば溶けて胃に落ちていくわ」
「3日以内に治りますか?」
「もちろん飲む量にもよるけど、これくらいなら頑張って飲めば大丈夫よ」

私は体がパァっと軽くなったのがわかる。これで私はエイリアンみたいなことにならなくて済む!

私は服をきながらおばあさんにお礼を言った。

「あの……おばあさんありがとうございます」
「おばあさんじゃなくて、美代子みよこ川口美代子かわぐちみよこよ。ちなみに私の夫は川口幸雄かわぐちさちおよ」

美代子さんはウインクをして私の前にペットボトルに入れられたお酢を置いた。……これを飲むのかぁ。












続く
しおりを挟む
表紙へ
感想 927

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。