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第百八十話 教団との交渉
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「アンサラー王国はいったい何をしておる?」
教団の上層部は、難攻不落を誇る総大教会にして城塞であるオクシタニアに籠り、難しい顔をして円卓で答えの出ない会議を続けていた。
すでに教皇領の半ば以上、いや、ほぼ全土が占領されてしまっていた。
もともと面積が狭く人口に乏しい教団の所有する戦力は、大陸中から義勇軍が集まってくれたとはいえ総兵力でも六万にすぎないのだ。
さらにその半数以上は職業軍人ではなく、ただの熱狂的な信者にすぎなかった。
すなわち、組織的戦術的な戦闘は困難である。
これでは完全編成のマウリシア王国も加わった大同盟軍八万に野戦で対抗することは不可能であった。
いや、防御戦闘でも勝つことは難しい。大同盟が所有する火薬武器は防御陣地をまるごと破壊してしまうことが可能だからだ。
実のところ現時点で教団がまだ無事であるのは、大同盟が総攻撃をなぜか猶予しているだけの理由であった。
もし本格的な攻撃が始まれば、十中八九まで教団は滅びる。
逃げることすら許されず、信仰を捨てて降伏する者以外は死ぬまで戦って、エウロパ教最後の華を咲かせるに違いなかった。
すでに大半の信者は死を覚悟していたが、時間の経過は彼らに恐怖する時間的な余裕を与えた。
人間は緊張を永久に持続することはできない。
死を覚悟し、張り詰めた状態が続いていても、いつかは緊張がゆるみ生きようとする意思が顔を出す。
それは指導者である教団上層部とて例外ではなかった。
「それが、軍を動かすには準備が必要だと……」
「あれから何日経ったと思っているのだ!」
アンサラー王国の言い分も理屈としてはわかる。
全く予期していなかった開幕からの三連敗。
長く大陸最強を自認していた軍の三割以上が壊滅して使い物にならなかった。
その事実はアンサラー王国の軍部に自重以上の何かを促していた。
とはいえ教団としてはアンサラー王国の都合など構ってなどいられないのが実情である。
どうにか援軍を派遣してもらい、さらに大同盟を撃ち破ってもらわなくては教団の滅亡は時間の問題であるからだ。。
だが問題なのは、下手に援軍を送りあっさりと敗退してしまった場合であった。
今は信徒たちの士気は高く、命を省みずに戦ってくれることに疑いはないが、目の前でせっかくの援軍が敗れても士気を失わずにいてくれるかは微妙である。
いや、過去の歴史を鑑みれば坂を転がるように士気が崩壊する可能性が高かった。
教団側としても、アンサラー王国には万全に準備とともに必勝を期してほしいのも事実なのだ。
「要するに時間を稼げばよいということなのだろう?」
「まことに恐縮ながら猊下の御意の通りにございます」
アンサラー王国の来援まで、大同盟軍に攻撃を始めてもらっては困る。
だが、準備不足の状態で軽々にアンサラー王国軍が来援してきてもらっても困る。
教団としては歯がゆいことこのうえないが、それが嘘偽らざる現状であった。
「教団の存続は全てに優先する。ならばここで詐術を使うのも神は許したまうであろう」
「…………詐術?」
「トリストヴィーの獣王に使者を遣わすが良い。余には獣王と余人を交えずに会談する用意がある、とな」
「そんなっ! 危険です! お止めください!」
「ことによっては止めるがな……それほど危険なことではあるまいよ。まずは使者を送れ。それによって敵の攻撃はしばし留まるであろう」
「し、しかしあの者たちが素直に会談に応じるとは限りませぬぞ?」
枢機卿の一人が恐る恐る教皇に懸念を伝えた。
教団から会談を求めて断られれば、教団の面子は丸つぶれである。信徒の士気にも関わる事態にもなりかねない。
だが教皇は枢機卿の懸念を一蹴した。
「奴らは必ず会談の要求を飲む。我が教団を無視できぬ事情が奴らにはあるのだ」
「それはいったい…………」
不思議そうに円卓の重鎮たちは首を傾げる。
彼らは教団が獣人に対してどれほど過酷な弾圧を続けてきたか、一部なりとも知っている。
獣人にとって、教団は百害あって一利ない存在であろう。
むしろ嵩にかかって攻撃を仕掛けてこないのが不思議なくらいなのである。
事実、獣人族の教団に対する怨念は非常に根深いものがあって、バルドはあえて教団包囲の軍から獣人族を外していた。
彼らからすれば、数百年以上の長きに渡り、土地や財産を奪われ、不当に迫害され、なかには命をも奪われてきたのである。
この機会に教団など地上から一掃すべしという過激な意見も少なからず存在したのだ。
もちろん弾圧した教団側にも正当な理由と教義はあったものの、それを獣人が甘んじて受け入れるはずがないことはさすがに承知していた。
下手をすれば教皇をその場で暗殺されても不思議はない。いや、それどころかその危険性は相当に高い。
「――――教皇には教皇しか知りうることのできぬ秘密がある」
できれば知りたくもなかった黒い秘密がな。
教皇が議論を打ち切るように右手を振った。
「全ての責任は余がとる。急ぎ奴らに使者を送るのだ」
教団の幹部がどう思っていたにせよ、教皇の命令は絶対であった。
会談の用意があることを知らせる使者は、直ちに包囲軍の総指揮をとるラミリーズからバルドのもとへともたらされた。
まさに千載一遇の機会とシュエは歓喜したものの、バルドは一抹の不安を感じずにはいられなかった。
「天祐です!」
「…………正直、できすぎ、という感が拭えませんが」
歓喜に目を細めるシュエとは違い、アウグストは教団の決断に不審の念を抱いている。むしろ抱かぬほうがおかしいとバルドも思った。
しかしここで会談を拒否するという選択肢もありえない。
教団の思惑が時間稼ぎであろうことは、おおよその推察はついている。
逆にいえば、それだけ教団は追い詰められており、なりふり構っていられないということだ。
「…………一度教皇の顔を拝んでおくか」
教皇とバルドというトップの決断によって、両者の会談は恐るべき速さで現実のものとなったのである。
そんな事態の進行を把握していないアンサラー王国では、長く激論が続いていた。
軍部としては、教団からの聖遺物、その量産と訓練が終わるまで下手に出兵するわけにはいかないと考えている。
次に敗北が続けば、今度こそ大陸全土がアンサラー王国の転落を意識するだろう。中立の小国はおろか、テネドラ公国も裏切りかねない。
それだけは大陸最強の国家の誇りにかけて認めるわけにはいかなかった。
「小さくてもいい。必ず勝てる戦場を用意しろ。万が一にも敗北を重ねることは許さん」
アンサラー王国国王アレクセイ三世は血相を変え宰相に厳命している。
まして王都から遠く離れた教皇領に、兵を逐次投入するなど、万が一にもできることではなかった。
とはいえ、教団の擁護者、あまねく光さす者という称号を得ている以上、何もせずにいるのも悪手である。
エウロパ教を擁護するという大義名分が失われ、大陸世界におけるアンサラー王国の劣勢ぶり風評として流れることになるからだ。
財政の悪化も積極的に出られない大きな要因であった。
ネドラス王国とテネドラ公国という二つの属国を所有し、大陸中の国際通貨であったピョートル金貨も、いまや貿易では大同盟が決定した為替レートに従うことを強いられている。
無条件に与えられていた莫大な既得権益は、あまりに早く崩壊してしまった。早すぎて対応する時間がとれないほどに。
恐るべきことにアンサラー王国の歳入は、前年より半減することが予想されていた。
これほど早く世界の流れが加速して変化してしまうなど、彼らの想像の埒外にあることであった。
「すでに動員は半ばが完了し、聖遺物の量産も進んでおります。教団を無理に救う必要はないかもしれませんが」
「さすがにそれは暴論だろう。我が国の面目が立たなくなる。というよりおそらくはテネドラ公国は我が国を見限るぞ?」
いざというときに役に立たない宗主国など金を吸い取る寄生虫でしかない。
教団を見捨てるということは、教団より利用価値の低い国も見捨てられて当然ということだ。
そんなことをして大陸全土からアンサラー王国が孤立してしまえば、仮に戦争に勝っても精々有利な講和程度に終わる可能性が高かった。
現実問題として、すでにアンサラー王国の戦力では大陸全土を統一するという目標は達成が困難であると言える。
だが誰もそれを認めようとはしない。
一部の人間は気づいているが、それを認めた瞬間、不心得者扱いされることは目に見えていた。
下手をすればそれを奇貨としてせっかくの地位を引きずり降ろされかねない。
往々にして危機に陥った国家ほど、勇ましい意見が通ってしまうことがあるのは、消極的意見が自らの既得権の喪失に直結しているからだ。
「――――教団は見捨てぬ」
アレクセイ三世が発した言葉に、重臣たちは一斉に頷いた。
このアウレリア大陸を実質的に統治するにあたり、エウロパ教団の擁護者であることは得難い大義名分であり、これを放棄するのは統一王朝の後継者であることを放棄するに等しい。
国是としてそんなことはありえない。
「それにしても獣人の血を引く王に対する反感がこれほど低いとは……」
王太子ピョートルは忌々しげに頭を振った。
アンサラー王国は大陸世界でも、もっとも獣人に対する偏見が激しい地域である。
むしろノルトランド帝国やガルトレイク王国のように獣人に対する偏見が薄いのは辺境諸国であって、マウリシア王国やトリストヴィー王国にはアンサラー王国ほどではないにせよ、根強い偏見が残っていたはずだ。
それなのに大同盟諸国が、バルドを一切忌避する気配のないことが信じられない。
実のところ、庶民や貴族の間でバルドに対する反感が決してないわけではないのである。
だからこそ為替レートの共有やダウディング商会の分社化、海の彼方のリアラマ王国まで巻き込んで国際間取引を恒常化させたのだ。
現代社会であってもそうであるが、一度乗ってしまったバスから降りることは非常に難しく不利益を伴う。
イギリスのEU離脱(ブレクジット)に伴う混迷を見ればわかる通り、基本的にグローバルスタンダードは一度完成されてしまえば、そこから抜け出すことはよほどの理由がないと不可能に近いと言える。
一度動き始めた枠組みから外れてしまうというのはそれほどに不利益が大きい。
大同盟という利益共同体が成立してしまった時点で、アンサラー王国の目論見はほとんど潰えていたのだ。
しかしアンサラー王国の首脳部にはその理由が理解できない。
無理もないだろう。彼らには国際協調による水平的な大陸統一など、思いつくことすらなかったのだから。
「軍務卿、現在完全装備で動かせる軍団はどれほどになる? 無論、聖遺物装備での話だ」
「…………遺憾ながら敵が上陸作戦をしてくる危険性を考えれば、王都の防衛兵力を動かすことはできません。どうにか四万というところでしょうか」
「…………少ないな」
ここで制海権を喪失したことが大きく響いていた。
バルドはネドラス王国に大規模上陸作戦を実施し、一気に王都を制圧した実績がある。
王都の西方をがら空きにして全軍を東方に差し向けるわけにはいかなかった。
「せめて教団が我が国へ避難することも考えておかなくてはならぬ。特に教皇猊下と聖遺物だけは奴等に渡すわけにはいかぬのだ」
もし教皇が捕虜になれば?
命惜しさにアンサラー王国を破門するなどいうことがあれば、残されたわずかなアドバンテージを失うことにもなりかねなかった。
あの偏見に凝り固まった教皇が、獣人の前に膝を屈するとは思わないが、命が懸かれば万が一ということはある。
それにただでさえ武器の性能に差がある現状、教団の聖遺物が大同盟の手に落ちるのはあまりに痛い。
――――最初からアンサラー王国に選択肢などないのだ。
どれだけ議論を重ねようと、ただひとつ必要なものは必ず勝てるという算段であった。
大勝利など望めなくてもいいから、勝利を宣伝できるだけの状況と、教団を救うことができれば。
その確実な勝利の目算が立たないから、議論は堂々巡りに陥ってしまうのである。
しかし悠長にそんな議論を続けることを許さぬ情報が飛びこんできたのはその時であった。
「畏れ大きことながら、陛下に東部方面軍から火急の使者が参っております」
「通せ」
アンサラー王国の首脳が集まっている会議中である。
その議論を中断させることに恐縮しながらも、老執事は忠実に任務を果たした。
ひどくやつれた伝令の若者が、執事と入れ替わるように入ってくる。
よほどの強行軍で駆けつけてくれたようだ。
「東部方面軍司令クトゥーゾフ閣下より、火急のご報告を申し上げます!」
「うむ、直答を許す。いったい何があった?」
「エウロパ教団教皇猊下が、大同盟との和平交渉のため会談を催されるよし! いかが対応すればよろしいか、指示を仰ぎたし!」
「――――なんだと?」
アンサラー王国の戦略を根底から覆しかねない事態に、全員の驚愕の声が重なった。
議論の時間はこの瞬間に終わったのだ。
エウロパ教団教皇とトリストヴィー王国国王にして大同盟の盟主的立場にいるバルドの会談が実現するという情報は、驚愕とともに大陸を駆け巡った。
誰もがまさか、と思いつつも、これでエウロパ教が救われるのではないかとかすかな望みを抱いたのは言うまでもない。
バルドを支持する民衆のなかにも、数多くのエウロパ教徒がおり、彼らの多くは決してエウロパ教そのものを否定しているわけではないのである。
もし穏便にできることなら生き残って欲しいと思うのは人情であろう。
また、マウリシア王国やハウレリア王国なども、アンサラー王国は別として、教団とは事を荒立てずに済むのなら和平したというのが本音である。
彼らの国はほかの国よりもエウロパ教の信者である貴族や民衆に気を遣わなければならない立場であった。
「期待通りにいくかなあ……」
アウグストに王国の後事を託し、バルドはシュエとともに教団が立てこもるソルディヴィディアンへと向かっていた。
あっさりと全権をアウグストに委任したことに、シュエは二人の信頼関係にしきりに感嘆していたが、二人にはちょうどよい潤滑剤がいた。
ほかならぬ無欲の人、内務卿ジローラモ・カモローニである。
天与の才で統治するのがアウグストであれば、ジローラモは常識人でありながら一切栄達に興味がないという無欲さと運の良さでひと際異彩を放っていた。
驚くべきことに、内務卿として、本来中央集権を図らなければならない彼が着手したのは、なんと貴族の自治権の拡大であった。
「――――帰りたい。母なるカモローニの海へ。そして帰ったならば二度と宮廷になど呼び出されたくない」
平凡な幸せをこよなく愛する男、ジローラモは完全に自らの欲求のために自治権拡大を志した。
しかもあとで余計な政争に巻きこまれないために、領主の軍事力の放棄と初歩的な憲法(のちにトリストヴィー大憲章の名でよばれる)まで策定している。
「内務卿のなんと切れ者なことよ」
「あれほどの人材が何の野心もなく地方に隠れていたとは…………」
ジローラモの政策はトリストヴィーの貴族たちに驚きとともに好意的に迎えられた。
まずバルドという一大の英雄のカリスマによって、貴族は特権をはく奪され、ただの役人に成り下がるのではないかと危惧する者は多かったのである。
貴族の多くは数百年以上もその土地に根づいてきた在地領主が多く、自治権の衰退は彼らの存在意義そのものに直結した。
古い家系であるほど自分の土地は自分の手で、自分の裁量によって治めたいものだ。
しかし中央政府がこれまで通りの自治権を認めてくれるのならば、憲法による制約を受けたところでそれほど大きい問題にはならない。
まして軍事力にいたっては、このアンサラー王国との最終対決が終われば戦争そのものがなくなるであろうし、だいたい英雄バルドにたかが一貴族が軍事的に抵抗などできるはずがなかった。
軍事力は放棄したとしても、ある程度の警察力の維持は認められている。
むしろ軍事の負担が減って財政は好転するだろう。
いまだ完全に内乱の疲弊から回復しきっていない領内の立て直しにはまたとない機会となるに違いなかった。
「内務卿あるかぎりトリストヴィー貴族は大丈夫だ」
「宰相殿も非道を働く人ではないが、あまりに才気がありすぎて近寄りがたいところがあるしな」
「陛下の人を見る眼の確かさよ」
トリストヴィー貴族は口々にそうジローラモを褒めたたえた。
要するにジローラモは貴族の将来に対する不安を払拭し、そのうえ王国の軍事力の独占による中央集権化も同時に達成するという離れ業をやってのけたというわけだ。
ジローラモがそんな大層なことを考えていないことはわかっているアウグストが呆れるほどの絶妙のバランスとタイミングであった。
「くっくっくっ…………逃がさん、お前だけは…………!」
内務卿を勤めるのは三年だけと約束したはずのアウグストであったが、とてもではないがジローラモを手放すことはできないとアウグストが確信した瞬間であった。
ジローラモの悲願はさらに数年の延期を強いられることになるのだが、神ならぬ身の彼には知る由もなかった。
そんなわけで今のバルドはトリストヴィー王国を部下に任せて国を空けてももなんの憂いもないのである。
とはいえ、教皇との会談にそれほど明るい希望を抱くことはバルドにはできなかった。
十中八九まで時間稼ぎであるというのがアウグストの判断で、バルドもそうであろうと思う。
しかしシュエから真実を聞かされた今、教皇がどこまで知っているのかは問題である。
伝承が途切れ、教皇が何も知らないという可能性もある。
そうなると交渉は恐ろしく困難となるだろう。
この世界を救うためだからこそ互いに妥協することができるのだ。
一方的に教団が正義だと思われていると、聖遺物を引き渡すことなどという要求が通る可能性は限りなく低い。
「何も伝わっていないということはありえないと思います……ただ、伝承か歪んでいる可能性は高いです。私の国でもかなり脚色が入ってましたし」
「それこそ神話の彼方の話だ。何も変わっていないほうがどうかしている」
申し訳なさそうなシュエにバルドは苦笑しつつも、交渉が不確定なものであることを伝えた。
正直なところまともな交渉よりは、軍事的な恫喝、あるいは暗殺や調略などの裏の仕事が必要ではないかと思っている。
しかしそれは、少々理想主義的な気配の見えるシュエには話さなくてもよいことだとバルドは決めていた。
「…………陛下、もうじきソルディヴィディアンに到着します」
「向こうの様子は?」
「はっ、神聖騎士団が数十名ほどで伏兵の気配はありません」
「まずは話すだけ話す気はあるということかな」
連れてきた兵数では圧倒的にバルドのほうが多い。
教団としてはバルドを暗殺することができれば万々歳であろうが、わざわざ自分の命をくれてやる気はもちろんバルドにはなかった。
最悪の場合教皇の首をあげ、そのまま神殿オクシタニアに突入することもありうる。
左内と雅晴との別れが確定的となった今、バルドは為政者としてさらなるドライさを身に着けようとしていた。
教団の上層部は、難攻不落を誇る総大教会にして城塞であるオクシタニアに籠り、難しい顔をして円卓で答えの出ない会議を続けていた。
すでに教皇領の半ば以上、いや、ほぼ全土が占領されてしまっていた。
もともと面積が狭く人口に乏しい教団の所有する戦力は、大陸中から義勇軍が集まってくれたとはいえ総兵力でも六万にすぎないのだ。
さらにその半数以上は職業軍人ではなく、ただの熱狂的な信者にすぎなかった。
すなわち、組織的戦術的な戦闘は困難である。
これでは完全編成のマウリシア王国も加わった大同盟軍八万に野戦で対抗することは不可能であった。
いや、防御戦闘でも勝つことは難しい。大同盟が所有する火薬武器は防御陣地をまるごと破壊してしまうことが可能だからだ。
実のところ現時点で教団がまだ無事であるのは、大同盟が総攻撃をなぜか猶予しているだけの理由であった。
もし本格的な攻撃が始まれば、十中八九まで教団は滅びる。
逃げることすら許されず、信仰を捨てて降伏する者以外は死ぬまで戦って、エウロパ教最後の華を咲かせるに違いなかった。
すでに大半の信者は死を覚悟していたが、時間の経過は彼らに恐怖する時間的な余裕を与えた。
人間は緊張を永久に持続することはできない。
死を覚悟し、張り詰めた状態が続いていても、いつかは緊張がゆるみ生きようとする意思が顔を出す。
それは指導者である教団上層部とて例外ではなかった。
「それが、軍を動かすには準備が必要だと……」
「あれから何日経ったと思っているのだ!」
アンサラー王国の言い分も理屈としてはわかる。
全く予期していなかった開幕からの三連敗。
長く大陸最強を自認していた軍の三割以上が壊滅して使い物にならなかった。
その事実はアンサラー王国の軍部に自重以上の何かを促していた。
とはいえ教団としてはアンサラー王国の都合など構ってなどいられないのが実情である。
どうにか援軍を派遣してもらい、さらに大同盟を撃ち破ってもらわなくては教団の滅亡は時間の問題であるからだ。。
だが問題なのは、下手に援軍を送りあっさりと敗退してしまった場合であった。
今は信徒たちの士気は高く、命を省みずに戦ってくれることに疑いはないが、目の前でせっかくの援軍が敗れても士気を失わずにいてくれるかは微妙である。
いや、過去の歴史を鑑みれば坂を転がるように士気が崩壊する可能性が高かった。
教団側としても、アンサラー王国には万全に準備とともに必勝を期してほしいのも事実なのだ。
「要するに時間を稼げばよいということなのだろう?」
「まことに恐縮ながら猊下の御意の通りにございます」
アンサラー王国の来援まで、大同盟軍に攻撃を始めてもらっては困る。
だが、準備不足の状態で軽々にアンサラー王国軍が来援してきてもらっても困る。
教団としては歯がゆいことこのうえないが、それが嘘偽らざる現状であった。
「教団の存続は全てに優先する。ならばここで詐術を使うのも神は許したまうであろう」
「…………詐術?」
「トリストヴィーの獣王に使者を遣わすが良い。余には獣王と余人を交えずに会談する用意がある、とな」
「そんなっ! 危険です! お止めください!」
「ことによっては止めるがな……それほど危険なことではあるまいよ。まずは使者を送れ。それによって敵の攻撃はしばし留まるであろう」
「し、しかしあの者たちが素直に会談に応じるとは限りませぬぞ?」
枢機卿の一人が恐る恐る教皇に懸念を伝えた。
教団から会談を求めて断られれば、教団の面子は丸つぶれである。信徒の士気にも関わる事態にもなりかねない。
だが教皇は枢機卿の懸念を一蹴した。
「奴らは必ず会談の要求を飲む。我が教団を無視できぬ事情が奴らにはあるのだ」
「それはいったい…………」
不思議そうに円卓の重鎮たちは首を傾げる。
彼らは教団が獣人に対してどれほど過酷な弾圧を続けてきたか、一部なりとも知っている。
獣人にとって、教団は百害あって一利ない存在であろう。
むしろ嵩にかかって攻撃を仕掛けてこないのが不思議なくらいなのである。
事実、獣人族の教団に対する怨念は非常に根深いものがあって、バルドはあえて教団包囲の軍から獣人族を外していた。
彼らからすれば、数百年以上の長きに渡り、土地や財産を奪われ、不当に迫害され、なかには命をも奪われてきたのである。
この機会に教団など地上から一掃すべしという過激な意見も少なからず存在したのだ。
もちろん弾圧した教団側にも正当な理由と教義はあったものの、それを獣人が甘んじて受け入れるはずがないことはさすがに承知していた。
下手をすれば教皇をその場で暗殺されても不思議はない。いや、それどころかその危険性は相当に高い。
「――――教皇には教皇しか知りうることのできぬ秘密がある」
できれば知りたくもなかった黒い秘密がな。
教皇が議論を打ち切るように右手を振った。
「全ての責任は余がとる。急ぎ奴らに使者を送るのだ」
教団の幹部がどう思っていたにせよ、教皇の命令は絶対であった。
会談の用意があることを知らせる使者は、直ちに包囲軍の総指揮をとるラミリーズからバルドのもとへともたらされた。
まさに千載一遇の機会とシュエは歓喜したものの、バルドは一抹の不安を感じずにはいられなかった。
「天祐です!」
「…………正直、できすぎ、という感が拭えませんが」
歓喜に目を細めるシュエとは違い、アウグストは教団の決断に不審の念を抱いている。むしろ抱かぬほうがおかしいとバルドも思った。
しかしここで会談を拒否するという選択肢もありえない。
教団の思惑が時間稼ぎであろうことは、おおよその推察はついている。
逆にいえば、それだけ教団は追い詰められており、なりふり構っていられないということだ。
「…………一度教皇の顔を拝んでおくか」
教皇とバルドというトップの決断によって、両者の会談は恐るべき速さで現実のものとなったのである。
そんな事態の進行を把握していないアンサラー王国では、長く激論が続いていた。
軍部としては、教団からの聖遺物、その量産と訓練が終わるまで下手に出兵するわけにはいかないと考えている。
次に敗北が続けば、今度こそ大陸全土がアンサラー王国の転落を意識するだろう。中立の小国はおろか、テネドラ公国も裏切りかねない。
それだけは大陸最強の国家の誇りにかけて認めるわけにはいかなかった。
「小さくてもいい。必ず勝てる戦場を用意しろ。万が一にも敗北を重ねることは許さん」
アンサラー王国国王アレクセイ三世は血相を変え宰相に厳命している。
まして王都から遠く離れた教皇領に、兵を逐次投入するなど、万が一にもできることではなかった。
とはいえ、教団の擁護者、あまねく光さす者という称号を得ている以上、何もせずにいるのも悪手である。
エウロパ教を擁護するという大義名分が失われ、大陸世界におけるアンサラー王国の劣勢ぶり風評として流れることになるからだ。
財政の悪化も積極的に出られない大きな要因であった。
ネドラス王国とテネドラ公国という二つの属国を所有し、大陸中の国際通貨であったピョートル金貨も、いまや貿易では大同盟が決定した為替レートに従うことを強いられている。
無条件に与えられていた莫大な既得権益は、あまりに早く崩壊してしまった。早すぎて対応する時間がとれないほどに。
恐るべきことにアンサラー王国の歳入は、前年より半減することが予想されていた。
これほど早く世界の流れが加速して変化してしまうなど、彼らの想像の埒外にあることであった。
「すでに動員は半ばが完了し、聖遺物の量産も進んでおります。教団を無理に救う必要はないかもしれませんが」
「さすがにそれは暴論だろう。我が国の面目が立たなくなる。というよりおそらくはテネドラ公国は我が国を見限るぞ?」
いざというときに役に立たない宗主国など金を吸い取る寄生虫でしかない。
教団を見捨てるということは、教団より利用価値の低い国も見捨てられて当然ということだ。
そんなことをして大陸全土からアンサラー王国が孤立してしまえば、仮に戦争に勝っても精々有利な講和程度に終わる可能性が高かった。
現実問題として、すでにアンサラー王国の戦力では大陸全土を統一するという目標は達成が困難であると言える。
だが誰もそれを認めようとはしない。
一部の人間は気づいているが、それを認めた瞬間、不心得者扱いされることは目に見えていた。
下手をすればそれを奇貨としてせっかくの地位を引きずり降ろされかねない。
往々にして危機に陥った国家ほど、勇ましい意見が通ってしまうことがあるのは、消極的意見が自らの既得権の喪失に直結しているからだ。
「――――教団は見捨てぬ」
アレクセイ三世が発した言葉に、重臣たちは一斉に頷いた。
このアウレリア大陸を実質的に統治するにあたり、エウロパ教団の擁護者であることは得難い大義名分であり、これを放棄するのは統一王朝の後継者であることを放棄するに等しい。
国是としてそんなことはありえない。
「それにしても獣人の血を引く王に対する反感がこれほど低いとは……」
王太子ピョートルは忌々しげに頭を振った。
アンサラー王国は大陸世界でも、もっとも獣人に対する偏見が激しい地域である。
むしろノルトランド帝国やガルトレイク王国のように獣人に対する偏見が薄いのは辺境諸国であって、マウリシア王国やトリストヴィー王国にはアンサラー王国ほどではないにせよ、根強い偏見が残っていたはずだ。
それなのに大同盟諸国が、バルドを一切忌避する気配のないことが信じられない。
実のところ、庶民や貴族の間でバルドに対する反感が決してないわけではないのである。
だからこそ為替レートの共有やダウディング商会の分社化、海の彼方のリアラマ王国まで巻き込んで国際間取引を恒常化させたのだ。
現代社会であってもそうであるが、一度乗ってしまったバスから降りることは非常に難しく不利益を伴う。
イギリスのEU離脱(ブレクジット)に伴う混迷を見ればわかる通り、基本的にグローバルスタンダードは一度完成されてしまえば、そこから抜け出すことはよほどの理由がないと不可能に近いと言える。
一度動き始めた枠組みから外れてしまうというのはそれほどに不利益が大きい。
大同盟という利益共同体が成立してしまった時点で、アンサラー王国の目論見はほとんど潰えていたのだ。
しかしアンサラー王国の首脳部にはその理由が理解できない。
無理もないだろう。彼らには国際協調による水平的な大陸統一など、思いつくことすらなかったのだから。
「軍務卿、現在完全装備で動かせる軍団はどれほどになる? 無論、聖遺物装備での話だ」
「…………遺憾ながら敵が上陸作戦をしてくる危険性を考えれば、王都の防衛兵力を動かすことはできません。どうにか四万というところでしょうか」
「…………少ないな」
ここで制海権を喪失したことが大きく響いていた。
バルドはネドラス王国に大規模上陸作戦を実施し、一気に王都を制圧した実績がある。
王都の西方をがら空きにして全軍を東方に差し向けるわけにはいかなかった。
「せめて教団が我が国へ避難することも考えておかなくてはならぬ。特に教皇猊下と聖遺物だけは奴等に渡すわけにはいかぬのだ」
もし教皇が捕虜になれば?
命惜しさにアンサラー王国を破門するなどいうことがあれば、残されたわずかなアドバンテージを失うことにもなりかねなかった。
あの偏見に凝り固まった教皇が、獣人の前に膝を屈するとは思わないが、命が懸かれば万が一ということはある。
それにただでさえ武器の性能に差がある現状、教団の聖遺物が大同盟の手に落ちるのはあまりに痛い。
――――最初からアンサラー王国に選択肢などないのだ。
どれだけ議論を重ねようと、ただひとつ必要なものは必ず勝てるという算段であった。
大勝利など望めなくてもいいから、勝利を宣伝できるだけの状況と、教団を救うことができれば。
その確実な勝利の目算が立たないから、議論は堂々巡りに陥ってしまうのである。
しかし悠長にそんな議論を続けることを許さぬ情報が飛びこんできたのはその時であった。
「畏れ大きことながら、陛下に東部方面軍から火急の使者が参っております」
「通せ」
アンサラー王国の首脳が集まっている会議中である。
その議論を中断させることに恐縮しながらも、老執事は忠実に任務を果たした。
ひどくやつれた伝令の若者が、執事と入れ替わるように入ってくる。
よほどの強行軍で駆けつけてくれたようだ。
「東部方面軍司令クトゥーゾフ閣下より、火急のご報告を申し上げます!」
「うむ、直答を許す。いったい何があった?」
「エウロパ教団教皇猊下が、大同盟との和平交渉のため会談を催されるよし! いかが対応すればよろしいか、指示を仰ぎたし!」
「――――なんだと?」
アンサラー王国の戦略を根底から覆しかねない事態に、全員の驚愕の声が重なった。
議論の時間はこの瞬間に終わったのだ。
エウロパ教団教皇とトリストヴィー王国国王にして大同盟の盟主的立場にいるバルドの会談が実現するという情報は、驚愕とともに大陸を駆け巡った。
誰もがまさか、と思いつつも、これでエウロパ教が救われるのではないかとかすかな望みを抱いたのは言うまでもない。
バルドを支持する民衆のなかにも、数多くのエウロパ教徒がおり、彼らの多くは決してエウロパ教そのものを否定しているわけではないのである。
もし穏便にできることなら生き残って欲しいと思うのは人情であろう。
また、マウリシア王国やハウレリア王国なども、アンサラー王国は別として、教団とは事を荒立てずに済むのなら和平したというのが本音である。
彼らの国はほかの国よりもエウロパ教の信者である貴族や民衆に気を遣わなければならない立場であった。
「期待通りにいくかなあ……」
アウグストに王国の後事を託し、バルドはシュエとともに教団が立てこもるソルディヴィディアンへと向かっていた。
あっさりと全権をアウグストに委任したことに、シュエは二人の信頼関係にしきりに感嘆していたが、二人にはちょうどよい潤滑剤がいた。
ほかならぬ無欲の人、内務卿ジローラモ・カモローニである。
天与の才で統治するのがアウグストであれば、ジローラモは常識人でありながら一切栄達に興味がないという無欲さと運の良さでひと際異彩を放っていた。
驚くべきことに、内務卿として、本来中央集権を図らなければならない彼が着手したのは、なんと貴族の自治権の拡大であった。
「――――帰りたい。母なるカモローニの海へ。そして帰ったならば二度と宮廷になど呼び出されたくない」
平凡な幸せをこよなく愛する男、ジローラモは完全に自らの欲求のために自治権拡大を志した。
しかもあとで余計な政争に巻きこまれないために、領主の軍事力の放棄と初歩的な憲法(のちにトリストヴィー大憲章の名でよばれる)まで策定している。
「内務卿のなんと切れ者なことよ」
「あれほどの人材が何の野心もなく地方に隠れていたとは…………」
ジローラモの政策はトリストヴィーの貴族たちに驚きとともに好意的に迎えられた。
まずバルドという一大の英雄のカリスマによって、貴族は特権をはく奪され、ただの役人に成り下がるのではないかと危惧する者は多かったのである。
貴族の多くは数百年以上もその土地に根づいてきた在地領主が多く、自治権の衰退は彼らの存在意義そのものに直結した。
古い家系であるほど自分の土地は自分の手で、自分の裁量によって治めたいものだ。
しかし中央政府がこれまで通りの自治権を認めてくれるのならば、憲法による制約を受けたところでそれほど大きい問題にはならない。
まして軍事力にいたっては、このアンサラー王国との最終対決が終われば戦争そのものがなくなるであろうし、だいたい英雄バルドにたかが一貴族が軍事的に抵抗などできるはずがなかった。
軍事力は放棄したとしても、ある程度の警察力の維持は認められている。
むしろ軍事の負担が減って財政は好転するだろう。
いまだ完全に内乱の疲弊から回復しきっていない領内の立て直しにはまたとない機会となるに違いなかった。
「内務卿あるかぎりトリストヴィー貴族は大丈夫だ」
「宰相殿も非道を働く人ではないが、あまりに才気がありすぎて近寄りがたいところがあるしな」
「陛下の人を見る眼の確かさよ」
トリストヴィー貴族は口々にそうジローラモを褒めたたえた。
要するにジローラモは貴族の将来に対する不安を払拭し、そのうえ王国の軍事力の独占による中央集権化も同時に達成するという離れ業をやってのけたというわけだ。
ジローラモがそんな大層なことを考えていないことはわかっているアウグストが呆れるほどの絶妙のバランスとタイミングであった。
「くっくっくっ…………逃がさん、お前だけは…………!」
内務卿を勤めるのは三年だけと約束したはずのアウグストであったが、とてもではないがジローラモを手放すことはできないとアウグストが確信した瞬間であった。
ジローラモの悲願はさらに数年の延期を強いられることになるのだが、神ならぬ身の彼には知る由もなかった。
そんなわけで今のバルドはトリストヴィー王国を部下に任せて国を空けてももなんの憂いもないのである。
とはいえ、教皇との会談にそれほど明るい希望を抱くことはバルドにはできなかった。
十中八九まで時間稼ぎであるというのがアウグストの判断で、バルドもそうであろうと思う。
しかしシュエから真実を聞かされた今、教皇がどこまで知っているのかは問題である。
伝承が途切れ、教皇が何も知らないという可能性もある。
そうなると交渉は恐ろしく困難となるだろう。
この世界を救うためだからこそ互いに妥協することができるのだ。
一方的に教団が正義だと思われていると、聖遺物を引き渡すことなどという要求が通る可能性は限りなく低い。
「何も伝わっていないということはありえないと思います……ただ、伝承か歪んでいる可能性は高いです。私の国でもかなり脚色が入ってましたし」
「それこそ神話の彼方の話だ。何も変わっていないほうがどうかしている」
申し訳なさそうなシュエにバルドは苦笑しつつも、交渉が不確定なものであることを伝えた。
正直なところまともな交渉よりは、軍事的な恫喝、あるいは暗殺や調略などの裏の仕事が必要ではないかと思っている。
しかしそれは、少々理想主義的な気配の見えるシュエには話さなくてもよいことだとバルドは決めていた。
「…………陛下、もうじきソルディヴィディアンに到着します」
「向こうの様子は?」
「はっ、神聖騎士団が数十名ほどで伏兵の気配はありません」
「まずは話すだけ話す気はあるということかな」
連れてきた兵数では圧倒的にバルドのほうが多い。
教団としてはバルドを暗殺することができれば万々歳であろうが、わざわざ自分の命をくれてやる気はもちろんバルドにはなかった。
最悪の場合教皇の首をあげ、そのまま神殿オクシタニアに突入することもありうる。
左内と雅晴との別れが確定的となった今、バルドは為政者としてさらなるドライさを身に着けようとしていた。
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