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シミュレーション
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夏雪の乙女たち、と決まったところで、ジョーさんとマルタさんに、ちょっとお願い事をする。できるだけ軽くて薄手の鍋を40個ほど作って欲しいということ。
「……できると……思うけど……」
二人は小首をかしげる。
「大きさは?」
スープが5人分くらいできるくらいの大きさ……かな。サイズはこのくらいで……。いくらぐらいかかりそう?
ジョーさんが、耳打ちしてくれた値段はなんとかなりそう……な感じだった。安くはない。安くはないけど、うん。
エレンさんがちゃんとお金を払ってくれれば大丈夫!
「そんな小さな薄手の鍋、たくさん作ってどうするつもりなんだい?」
「窯は3つしか作ってくれないんじゃなかったかしら?」
うん。そうなんだよ。そうなんだけど、ちょっと私には考えがあったりするんだよ……。
「鍋は引き取るし、お金もちゃんと払うから、安心して?」
「あ、いや、それは心配してないけど……」
ジョーさんが焦ったように言うけど、これから一緒にやる仲間だからこそ金勘定はちゃんとしておかないとダメなんだよ。
あ、それから、鍋のどこかに夏雪草のマークを入れたいな。
「それはできるけど、マージョ、そんなにたくさん鍋を集めてどうするのさ?」
ふふふ。そりゃあ、鍋は料理に使うんですよ。
「あ、もちろん大きい鍋もお願いしたいの!」
ちゃんと3つね!
それからね、マルタさんにはこういうものを作ってもらいたいんだけど……
「え~と?」
ガラスペンでサラサラと図を描くと、マルタさんが首をかしげた。
「……面白いですね」
「……できる?」
「数日中に試作してみます」
ありがたい!
私は紙切れをマルタさんに渡して頭を下げる。これができたらとても心強い。
「来週、またこちらに来て確認しますね。」
その時にお二人の工房にも行って親方さんに頭を下げておこう。少しでも二人がやりやすいように。
「それは、助かります」
マルタさんが頷く。
「マージョさん、あまり表に出たくないんでしょう?」
アナベルさんが心配そうに口を挟む。
うん、そうなんだけど……
でも、親方さんのサポートがないと徒弟は動きにくいよね。
「ギルドの方とも後で相談してみる」
「うちは、後回しでも大丈夫だよ。マルタは、早く話してあげたほうがいいけど」
ジョーさんが、カラッと言う。
「ハンナと私は親の工房にそのまま弟子入した形だからさ。ちょっと無理が効くんだよ」
そうだったの?!
「あ……あのね! 夏雪草のマーク、作りましたっ!」
全く私達の会話を聞いていない様子でハンナさんが手元の紙切れを見せてくれる。相変わらずのマイペースっぷり。
なるほど~。
家付き娘だったか~。
なんか、ものすごく腑に落ちた。
「あら、でもいいデザインじゃない?」
アナベルさんが横から見て感心したように言う。
「ジョー、これで焼印作れる? 革や木にも押せるようなやつ」
あ! それはいい考え。
スタンプとして紙に押せるようなやつも欲しいな。手紙だとかに押せるし。
「それは私がしましょう」
マルタさんがにっこり引き受けた。
「木や革の焼印はジョーが良いだろうけど、木版くらいだったらできるわよ」
木工職人さんってそんなことまでできるの?!
「手慰みよ~。本職には叶わないけど」
さて、あとは食材確保について考えないといけないな。
「そうね、それが大変なんじゃないかと思うのよね……」
職人女子たちは顔を見合わせてため息をついた。
「マージョ、多分、パンとか、買えないと思うわよ?」
………。
ですよね~。
「……できると……思うけど……」
二人は小首をかしげる。
「大きさは?」
スープが5人分くらいできるくらいの大きさ……かな。サイズはこのくらいで……。いくらぐらいかかりそう?
ジョーさんが、耳打ちしてくれた値段はなんとかなりそう……な感じだった。安くはない。安くはないけど、うん。
エレンさんがちゃんとお金を払ってくれれば大丈夫!
「そんな小さな薄手の鍋、たくさん作ってどうするつもりなんだい?」
「窯は3つしか作ってくれないんじゃなかったかしら?」
うん。そうなんだよ。そうなんだけど、ちょっと私には考えがあったりするんだよ……。
「鍋は引き取るし、お金もちゃんと払うから、安心して?」
「あ、いや、それは心配してないけど……」
ジョーさんが焦ったように言うけど、これから一緒にやる仲間だからこそ金勘定はちゃんとしておかないとダメなんだよ。
あ、それから、鍋のどこかに夏雪草のマークを入れたいな。
「それはできるけど、マージョ、そんなにたくさん鍋を集めてどうするのさ?」
ふふふ。そりゃあ、鍋は料理に使うんですよ。
「あ、もちろん大きい鍋もお願いしたいの!」
ちゃんと3つね!
それからね、マルタさんにはこういうものを作ってもらいたいんだけど……
「え~と?」
ガラスペンでサラサラと図を描くと、マルタさんが首をかしげた。
「……面白いですね」
「……できる?」
「数日中に試作してみます」
ありがたい!
私は紙切れをマルタさんに渡して頭を下げる。これができたらとても心強い。
「来週、またこちらに来て確認しますね。」
その時にお二人の工房にも行って親方さんに頭を下げておこう。少しでも二人がやりやすいように。
「それは、助かります」
マルタさんが頷く。
「マージョさん、あまり表に出たくないんでしょう?」
アナベルさんが心配そうに口を挟む。
うん、そうなんだけど……
でも、親方さんのサポートがないと徒弟は動きにくいよね。
「ギルドの方とも後で相談してみる」
「うちは、後回しでも大丈夫だよ。マルタは、早く話してあげたほうがいいけど」
ジョーさんが、カラッと言う。
「ハンナと私は親の工房にそのまま弟子入した形だからさ。ちょっと無理が効くんだよ」
そうだったの?!
「あ……あのね! 夏雪草のマーク、作りましたっ!」
全く私達の会話を聞いていない様子でハンナさんが手元の紙切れを見せてくれる。相変わらずのマイペースっぷり。
なるほど~。
家付き娘だったか~。
なんか、ものすごく腑に落ちた。
「あら、でもいいデザインじゃない?」
アナベルさんが横から見て感心したように言う。
「ジョー、これで焼印作れる? 革や木にも押せるようなやつ」
あ! それはいい考え。
スタンプとして紙に押せるようなやつも欲しいな。手紙だとかに押せるし。
「それは私がしましょう」
マルタさんがにっこり引き受けた。
「木や革の焼印はジョーが良いだろうけど、木版くらいだったらできるわよ」
木工職人さんってそんなことまでできるの?!
「手慰みよ~。本職には叶わないけど」
さて、あとは食材確保について考えないといけないな。
「そうね、それが大変なんじゃないかと思うのよね……」
職人女子たちは顔を見合わせてため息をついた。
「マージョ、多分、パンとか、買えないと思うわよ?」
………。
ですよね~。
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