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副ギルド長

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「反対です」

ギルドについたらフェリックスさんが、わくわく待っていた。

そこで契約のたたき台を見せてもらって、それから、職人女子会を隠れ蓑にする案を出した。

そしたら、のっけからこう言われたのだ。副ギルド長に。
で、現在絶賛気まずい空気で話し合いが停滞中です。

ちなみに部屋にいるのはフェリックスさん、神官補、副ギルド長、受付係さん……だと私が認識していただけの、多分若手のホープ的な男性(アナベルさんに興味津々)、そして、ワタシ。

男性ばかりでちょっと息が苦しいデス。フェリックスさん、イケメン優男ではありますが!



最初はフェリックスさんも乗り気っぽかったのだ。

「あ、そういうやり方もあるか」
「悪くないかもしれませんね。ハーマンがご迷惑をおかけした相手もいるようですし」
案内してくれた若手の男性も乗り気の反応だった。

でも。

「あと、ギルドが女性職人をサポートしている、っていうアピールにもなると思うんです」

私がそう言ったとき、副ギルド長が、口を開いたのだった。

「私は反対です」

そりゃあもう確固たる口調で。

あらら。

「そもそも、マージョさん、職人女子達に会ったのは昨日が初めてじゃないんですか」

あ、それはそうですけど……

「そんな昨日の今日で思いついたようなことを言われましても……」

うん。それは言われてみればもっともなんだけどね。
私はあの後思いつきにアーロンからのお墨付きがあったから「この方向性で行こう!」って思ってるけど、確かに、傍から見たらちょっと突っ走りすぎて見えるよね。

それはわかる。

「うーん」

フェリックスさんも腕を組んで唸る。
私もちょっと困る。

「私はそもそもあまりバグズブリッジに来ませんし、会って日が浅いことが問題だって言うのならフェリックスさんとの契約も問題になりますよね……」

「そうですね」

副ギルド長の応対を見ていて気づく。
あー、この人、私とフェリックスさんとの契約もあまり快く思っていないんだな。

それならそれで、一本筋の通った話だ。

「うーん、でも、マージョさんに身内になってもらうことで神罰を避けたいとお願いしている立場だからね、うちは……」

フェリックスさんの説明に副ギルド長は冷静に反論する。

「神罰とおっしゃいますが、正式に神罰と認められるかどうかには本神殿の最終認定を待つ必要がありますよね?」

話を振られて神官補が頷く。

「手続き上はわたしの見立てを元に証拠を集めて申請することになる」

あ、そうなんだ。
あのときの顰め面の理由がわかったような気がする。
書類仕事がすごいことになるんだね、きっと。

「私の見立てではまず間違いなく神罰ですから、万全の対応をしたほうが良いとは思われますが、正式に神罰と認められるのは監査官が入って、会議を経てからです。私が間違えている可能性もゼロではない」

「それを、私は懸念しているのです」

副ギルド長は言葉を続ける。

「神官補のことはもちろん信頼していますが、人間はミスを犯す生き物です。ですから、商人は会計に定期的にチェックを入れますよね。大規模な契約を結ぶには、この件は不確定事項が多すぎます」

つまり、これは、なんか、私が副ギルド長を納得させる材料を提示しなくてはならないということ……でしょうか……?
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