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市場でトラブル
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アナベルさんは市場まで送ってくれた。
職人女子会では素材関連の話が出ることも多いらしくて、市場にはこまめに足を運ぶようにしてるのだとか。
「仕事のほとんどは親方のお手伝いですけど、自分の空いた時間に色々作るのは許されてるんです」
それで、親方さんの合格が出たら売ることができるのでみんな必死なんだね。
「市場のごはんのオススメはあそこです」
衛生管理がお墨付きの屋台も教えてくれた!
焼鳥みたいな串焼きみたいなものを薄焼きのクレープみたいなものでくるんだものを売ってる。いい匂いで気になっていたんだ!
次に来るのが楽しみ。
えへへ。
「あ、アナベルさん。私の店はあの辺りのはず……」
と、ホワイトさんの馬車があったあたりを指差すと、小さな人だかりができている。
「うわあ、盛況ですねえ」
アナベルさんがおっとりと言う。
「そんなに売れるようなもの、ありましたっけ……?」
エレンさんが何か目玉商品を持ってきたかな……?
「何言ってるんですか、マージョさん。この間なんかすごかったんですよ、可愛いエプロンがあるって、ものすごい騒ぎになったんですから!」
ええっ……!
エレンさんはそんなこと言ってなかったのに。
「最後の方はお客さんがお互いに値段を釣り上げちゃってオークションみたいな状態になってたんですよ。だから、私、実はマージョさんのこと、気になってたんです」
ちょ、そんなの、本気で聞いてない……!
道理で随分なお金を受け取ったと思ったら……。
「あんな鮮やかな色のパッチワークなんて、なかなか手に入らないですよ~」
あー。そうだよねー。
染色技術はこっちのものじゃないからな~。
「もう、見世物みたいになっちゃって、私も見に来たんです。最後の方は一枚こんな値段で……」
アナベルさんが言った値段を聞いて私は固まった。
だつて、それはエプロン一枚の値段で、でも私が受け取ったお金の三分の一くらいで……
でも、私は十枚以上渡したはずで……
あれ……
もしかして、私、かなりピンハネされてた……?
ニコニコ話していたアナベルさんは、私の顔色が変わったことに気づいたみたいで「何か……?」と声をかけてきた。
「あ、いえ、何でもないんです」
私は慌てて笑顔を作る。
ホワイトさんとは、特に契約的な話はしていない。
マージョが、いない間、色々お世話になった相手だし。
それに、こういうふうに、市場で売ってもらうときは手数料というか心付けを渡すのが普通だ、と「知識」は言っている。
でも、それは1割くらいが目安のはずで……。
むむう……。
むむう……!
ホワイトさんの家は売る上でお世話になっているだけでなく、日常品の購入でもお世話になっているから関係を悪くしたくはないんだけど……。
うわあん。
これはこの先の出方が面倒だなあ……。
多少お互いにお金を儲けるのはいいんだけど、黙っていられた、ということにちょっともにょる。
これにエスカレートされるのもいやだな。
ちょっと困って人影に立ちすくんだまま様子見をしていると、「それだが、全部引き取ることになっている!」と、さっき耳にした声が再び。
うわ。
ハーマンさんだよ!
思わず私とアナベルさんは顔を見合わせた。
一日に2回も顔を合わせることになるなんて嫌だよ!
職人女子会では素材関連の話が出ることも多いらしくて、市場にはこまめに足を運ぶようにしてるのだとか。
「仕事のほとんどは親方のお手伝いですけど、自分の空いた時間に色々作るのは許されてるんです」
それで、親方さんの合格が出たら売ることができるのでみんな必死なんだね。
「市場のごはんのオススメはあそこです」
衛生管理がお墨付きの屋台も教えてくれた!
焼鳥みたいな串焼きみたいなものを薄焼きのクレープみたいなものでくるんだものを売ってる。いい匂いで気になっていたんだ!
次に来るのが楽しみ。
えへへ。
「あ、アナベルさん。私の店はあの辺りのはず……」
と、ホワイトさんの馬車があったあたりを指差すと、小さな人だかりができている。
「うわあ、盛況ですねえ」
アナベルさんがおっとりと言う。
「そんなに売れるようなもの、ありましたっけ……?」
エレンさんが何か目玉商品を持ってきたかな……?
「何言ってるんですか、マージョさん。この間なんかすごかったんですよ、可愛いエプロンがあるって、ものすごい騒ぎになったんですから!」
ええっ……!
エレンさんはそんなこと言ってなかったのに。
「最後の方はお客さんがお互いに値段を釣り上げちゃってオークションみたいな状態になってたんですよ。だから、私、実はマージョさんのこと、気になってたんです」
ちょ、そんなの、本気で聞いてない……!
道理で随分なお金を受け取ったと思ったら……。
「あんな鮮やかな色のパッチワークなんて、なかなか手に入らないですよ~」
あー。そうだよねー。
染色技術はこっちのものじゃないからな~。
「もう、見世物みたいになっちゃって、私も見に来たんです。最後の方は一枚こんな値段で……」
アナベルさんが言った値段を聞いて私は固まった。
だつて、それはエプロン一枚の値段で、でも私が受け取ったお金の三分の一くらいで……
でも、私は十枚以上渡したはずで……
あれ……
もしかして、私、かなりピンハネされてた……?
ニコニコ話していたアナベルさんは、私の顔色が変わったことに気づいたみたいで「何か……?」と声をかけてきた。
「あ、いえ、何でもないんです」
私は慌てて笑顔を作る。
ホワイトさんとは、特に契約的な話はしていない。
マージョが、いない間、色々お世話になった相手だし。
それに、こういうふうに、市場で売ってもらうときは手数料というか心付けを渡すのが普通だ、と「知識」は言っている。
でも、それは1割くらいが目安のはずで……。
むむう……。
むむう……!
ホワイトさんの家は売る上でお世話になっているだけでなく、日常品の購入でもお世話になっているから関係を悪くしたくはないんだけど……。
うわあん。
これはこの先の出方が面倒だなあ……。
多少お互いにお金を儲けるのはいいんだけど、黙っていられた、ということにちょっともにょる。
これにエスカレートされるのもいやだな。
ちょっと困って人影に立ちすくんだまま様子見をしていると、「それだが、全部引き取ることになっている!」と、さっき耳にした声が再び。
うわ。
ハーマンさんだよ!
思わず私とアナベルさんは顔を見合わせた。
一日に2回も顔を合わせることになるなんて嫌だよ!
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