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第一部 綿毛のようにたどり着きました
バグズブリッジ
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バグズブリッジ行きの荷馬車は今日は大所帯だった。私も乗せてもらったし、チャーリーとトーマスさんも乗ったからね。
チャーリーは最後まで自分の家の馬を連れて行こうか悩んでいたけど、最終的にはリジーさんにたしなめられて荷馬車に乗った。
今日のチャーリーはトーマスさんのお手伝い役だね。
私は毛糸玉と、パッチワークのエプロンやバッグを詰め込んだ。それにガラス製品。
今日はポニーの下見もするし、靴の注文もしたいし、やることが盛りだくさんだ。
前回ストウブリッジに行ったときの経験もあるので、バスケットにお弁当を作ってきた。森のチキンのカツサンドだとか、ハーブたっぷりのフムスだとか。
メンストンさんの家から、ベーコンをもらったからそれも薄切りにしてたっぷりの野菜で挟んである。
冷蔵庫のない世界だからか、ベーコンが半端なく塩辛いのだけど、水で少し塩抜きをして、野菜と合わせると、ちょうどいい美味しさになる。
飲み物もジャムの瓶にたくさん詰めてきた。普通の飲み物のボトルは、密閉しにくいものが多いんだよね。ワインボトルはコルク栓がなかったりするし。
でもワインボトルも持ってきてはある。
生活魔法で水を出すとき、ボトルの中を狙えば、他人に気づかれにくいかなって。
そういうわけでジャムの瓶が最強だ。
市場に行くのにこんなに気合を入れてお昼ごはんを用意する人なんて初めて見た、と笑われたけど、そりゃあ用意するよ。
前回、屋台の衛生状態見ちゃったもの。
そして、市場ってなにげに疲れるんだよ。人混みにやられる感じ。
疲れたときは美味しいものだよね!
チャーリーは私のバスケットが気になるらしくチラチラ横目で見ていた。
いやいや、心配しなくても、君の分もあるからね。
バグズブリッジはストウブリッジなんて比較にならないくらい大きな街だった。
大きな川のそばで船着き場もあるからかなり遠くからも色々なものが届く感じ。
そして行き交う人の服も違う。
ストウブリッジよりかなりおしゃれな人が多い。
レストランやお茶屋のウエイトレスさんは、そこそこ身ぎれいな格好をしていることが多いのだと、エレンさんが教えてくれた。
ここならパッチワークのエプロンが売れるというのも、わかる。
歩いている人を見て、他にも売れそうな物があるな、とアイデアが浮かぶ。
来てよかった!
市場に出店を出すと、エレンさんは私達を馬売りのところに行かせてくれた。
村でも馬が生まれると融通できるんだけど、バグズブリッジの市には結構な数の馬が夏の間は集まるのだ。
ポニーの柵は大きな馬とは少し離れたところにあった。
最初に思ったのは結構サイズにバラツキがあるな、ということだった。
子供向け!みたいな小さいのもいるし、結構大きめなのもいる。
ほおーと見ていたら一頭クリーム色のポニーがゆっくり近づいてきて私の方に顔を寄せてきた。
「……かわいい」
馬って怖いイメージが強かったんだけど、ポニーは、なんか、もしかして、人懐っこい?
クリーム色のポニーは興味深そうに私の匂いを嗅いでいる。
「ポニーは確かに人懐っこいけど、これは、マージョが気に入られたんじゃないかな……」
チャーリーが横でぼそっと呟く。
えっ。本当ですか?
一目惚れされるなんて生まれてはじめてだよ!
相手は馬だけど。
私の身長より低いのでとにかく可愛い。
「2歳か……」
チャーリーは少し考え込む仕草をする。
「調教は……」
「基本的な調教は済ませてあるぞ」
売り手はつっけんどんだけれど、まっすぐチャーリーを見ている。
私やトーマスさんは目の中にない感じ。
「気立てもいいし、健康だ。ポニーとしては大きめだから大人が乗っても大丈夫だし、かなりの荷もひける」
「雌だしな」
「そうだな。種付けの相談にも乗るぞ」
あれ?
なんか妊娠してる気がするんだけど、気のせい?
私は馬のことは詳しくないから気のせいかな?
「名前はマージョ(真珠)だ」
売り手が言った途端、チャーリーとトーマスさんが私を見て吹き出した。
まさかの名前かぶり!
「まあ、これは結構買いだと思う」
チャーリーが私達に耳打ちする。
「値段も妥当だし」
名前も同じだしね!
でも、もし買うことになったら変えるよ。
「パール」とか、どうかな。
「面白い名前だな」
「でも、素敵な響きですね」
それじゃあ「パール」で!
きれいなクリーム色だしね。
「おお、乗り気だな」
「まあ、値段次第だよ」
「そうですね」
……おお。シビアだね。
トーマスさんとチャーリーが、値段交渉をしている間もパールは私の手に頭を擦り寄せてくる。
うー。かわいいな。
いきなりなつかれてるよ……。
「あーもう、そんなに気に入られてるんじゃこっちも強くは言えないな。勉強するよ」
売り手のそんな声が聞こえたとき、視界の隅でチャーリーがこっそりガッツポーズをするのが見えた。
チャーリーは最後まで自分の家の馬を連れて行こうか悩んでいたけど、最終的にはリジーさんにたしなめられて荷馬車に乗った。
今日のチャーリーはトーマスさんのお手伝い役だね。
私は毛糸玉と、パッチワークのエプロンやバッグを詰め込んだ。それにガラス製品。
今日はポニーの下見もするし、靴の注文もしたいし、やることが盛りだくさんだ。
前回ストウブリッジに行ったときの経験もあるので、バスケットにお弁当を作ってきた。森のチキンのカツサンドだとか、ハーブたっぷりのフムスだとか。
メンストンさんの家から、ベーコンをもらったからそれも薄切りにしてたっぷりの野菜で挟んである。
冷蔵庫のない世界だからか、ベーコンが半端なく塩辛いのだけど、水で少し塩抜きをして、野菜と合わせると、ちょうどいい美味しさになる。
飲み物もジャムの瓶にたくさん詰めてきた。普通の飲み物のボトルは、密閉しにくいものが多いんだよね。ワインボトルはコルク栓がなかったりするし。
でもワインボトルも持ってきてはある。
生活魔法で水を出すとき、ボトルの中を狙えば、他人に気づかれにくいかなって。
そういうわけでジャムの瓶が最強だ。
市場に行くのにこんなに気合を入れてお昼ごはんを用意する人なんて初めて見た、と笑われたけど、そりゃあ用意するよ。
前回、屋台の衛生状態見ちゃったもの。
そして、市場ってなにげに疲れるんだよ。人混みにやられる感じ。
疲れたときは美味しいものだよね!
チャーリーは私のバスケットが気になるらしくチラチラ横目で見ていた。
いやいや、心配しなくても、君の分もあるからね。
バグズブリッジはストウブリッジなんて比較にならないくらい大きな街だった。
大きな川のそばで船着き場もあるからかなり遠くからも色々なものが届く感じ。
そして行き交う人の服も違う。
ストウブリッジよりかなりおしゃれな人が多い。
レストランやお茶屋のウエイトレスさんは、そこそこ身ぎれいな格好をしていることが多いのだと、エレンさんが教えてくれた。
ここならパッチワークのエプロンが売れるというのも、わかる。
歩いている人を見て、他にも売れそうな物があるな、とアイデアが浮かぶ。
来てよかった!
市場に出店を出すと、エレンさんは私達を馬売りのところに行かせてくれた。
村でも馬が生まれると融通できるんだけど、バグズブリッジの市には結構な数の馬が夏の間は集まるのだ。
ポニーの柵は大きな馬とは少し離れたところにあった。
最初に思ったのは結構サイズにバラツキがあるな、ということだった。
子供向け!みたいな小さいのもいるし、結構大きめなのもいる。
ほおーと見ていたら一頭クリーム色のポニーがゆっくり近づいてきて私の方に顔を寄せてきた。
「……かわいい」
馬って怖いイメージが強かったんだけど、ポニーは、なんか、もしかして、人懐っこい?
クリーム色のポニーは興味深そうに私の匂いを嗅いでいる。
「ポニーは確かに人懐っこいけど、これは、マージョが気に入られたんじゃないかな……」
チャーリーが横でぼそっと呟く。
えっ。本当ですか?
一目惚れされるなんて生まれてはじめてだよ!
相手は馬だけど。
私の身長より低いのでとにかく可愛い。
「2歳か……」
チャーリーは少し考え込む仕草をする。
「調教は……」
「基本的な調教は済ませてあるぞ」
売り手はつっけんどんだけれど、まっすぐチャーリーを見ている。
私やトーマスさんは目の中にない感じ。
「気立てもいいし、健康だ。ポニーとしては大きめだから大人が乗っても大丈夫だし、かなりの荷もひける」
「雌だしな」
「そうだな。種付けの相談にも乗るぞ」
あれ?
なんか妊娠してる気がするんだけど、気のせい?
私は馬のことは詳しくないから気のせいかな?
「名前はマージョ(真珠)だ」
売り手が言った途端、チャーリーとトーマスさんが私を見て吹き出した。
まさかの名前かぶり!
「まあ、これは結構買いだと思う」
チャーリーが私達に耳打ちする。
「値段も妥当だし」
名前も同じだしね!
でも、もし買うことになったら変えるよ。
「パール」とか、どうかな。
「面白い名前だな」
「でも、素敵な響きですね」
それじゃあ「パール」で!
きれいなクリーム色だしね。
「おお、乗り気だな」
「まあ、値段次第だよ」
「そうですね」
……おお。シビアだね。
トーマスさんとチャーリーが、値段交渉をしている間もパールは私の手に頭を擦り寄せてくる。
うー。かわいいな。
いきなりなつかれてるよ……。
「あーもう、そんなに気に入られてるんじゃこっちも強くは言えないな。勉強するよ」
売り手のそんな声が聞こえたとき、視界の隅でチャーリーがこっそりガッツポーズをするのが見えた。
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