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礼拝
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毛刈りに何を差し入れしよう……なんて考えていたら、あっと言う間に安息日になってしまっていた。
今日も神殿の人数はさほど多くない。夏場で忙しいというのもあるのだろうけれど。
メンストンさんの家からはチャーリーが来ていた。面白いな。家族単位で来るとか、そういうんじゃないんだ。
いつものように主神アナスタシアに感謝を捧げ、歌を歌ったら神官様のお話だ。
「今日は三大神のうち智慧のアーロンについてのお話です」
うぐ。
なんか変な声出しそうになっちゃった。アーロン、結構偉い人だったんだ……。人じゃないけど。神だけど。
なんか、途中で笑い出しそうになっちゃったりしたけど、やっぱり安息日の神殿はいい。気持ちも休まるし。
礼拝が終わったあと、チャーリーと話していたら神官様に声をかけられた。神殿の手伝いを探しているのだそうだ。
ブラウン神官という好々爺然とした神官は、ニコニコと切り出した。
現物支給の報酬もあるという。
「蜂蜜か、蜜蝋か、お好きなものでお支払いできますが……」
蜜蝋!
最高級のろうそくができるだけじゃなくて、化粧品を作ったり生活に必要不可欠な道具を作ったり、欠かせないよ。
現在、養蜂技術は基本的には神殿が囲い込んでいる。門外不出というわけじゃないけど、神殿関係者が育てると育ちが良いのだそうだ。
だって、蜂蜜美味しいし……とうそぶくアナスタシアが脳裏に浮かんだ。めちゃくちゃ祝福とか、かけていそうだ。
「読み書きの堪能な方が良いのです。礼拝のあと、少し残って信徒にお茶を入れて、後は書類仕事を一時間ほど手伝っていただければ重畳」
そう聞くと頷かざるを得なかった。蜜蝋は貴重すぎる!
「よかったら今日もちょっと書類をお願いできますか……?」
突然なことで申し訳ないが、と言うブラウン神官だったけれど、とてもありがたい。
「……おれも見てていいですか?」
興味深そうにチャーリーが尋ねると、「もちろんですよ」と神官は柔和に笑って椅子を勧めてくれた。
神殿の神官室はこぢんまりしている割にきれいな部屋で、ガラスがふんだんに使われた窓から光がふんだんに入ってくる。
豪華な調度品があるわけじゃないけど、ガラスは高級品だからそれだけで贅沢な気分だ。
時々静かにチャーリーと話しながらさっさと書類仕事を終える。そんなに難しいものではない。
少し手伝って蜜蝋を多少もらって私はものすごいご機嫌になった。
色々と作れるよ!
「いやあ、それにしても字がきれいですね」
ブラウン神官はニコニコ褒めてくれる。
「チャーリーとアリスもどんどん上達していますよ。あと少しで、私が来れない日に代わりにこれるくらいになるでしょう」
嬉しいので生徒もついでに売り込んでおく。
「そうですか」
と、微笑むブラウン神官の目が優しい。チャーリーは、こそばゆそうな顔をしていた。
私の人生では両親の仲が悪かったからこんな風に落ち着いた父親を見たことはないんだけど、もしかしたら、落ち着いた父親ってこんな感じなのかな……と思うような神官様の笑顔だ。
今日も神殿の人数はさほど多くない。夏場で忙しいというのもあるのだろうけれど。
メンストンさんの家からはチャーリーが来ていた。面白いな。家族単位で来るとか、そういうんじゃないんだ。
いつものように主神アナスタシアに感謝を捧げ、歌を歌ったら神官様のお話だ。
「今日は三大神のうち智慧のアーロンについてのお話です」
うぐ。
なんか変な声出しそうになっちゃった。アーロン、結構偉い人だったんだ……。人じゃないけど。神だけど。
なんか、途中で笑い出しそうになっちゃったりしたけど、やっぱり安息日の神殿はいい。気持ちも休まるし。
礼拝が終わったあと、チャーリーと話していたら神官様に声をかけられた。神殿の手伝いを探しているのだそうだ。
ブラウン神官という好々爺然とした神官は、ニコニコと切り出した。
現物支給の報酬もあるという。
「蜂蜜か、蜜蝋か、お好きなものでお支払いできますが……」
蜜蝋!
最高級のろうそくができるだけじゃなくて、化粧品を作ったり生活に必要不可欠な道具を作ったり、欠かせないよ。
現在、養蜂技術は基本的には神殿が囲い込んでいる。門外不出というわけじゃないけど、神殿関係者が育てると育ちが良いのだそうだ。
だって、蜂蜜美味しいし……とうそぶくアナスタシアが脳裏に浮かんだ。めちゃくちゃ祝福とか、かけていそうだ。
「読み書きの堪能な方が良いのです。礼拝のあと、少し残って信徒にお茶を入れて、後は書類仕事を一時間ほど手伝っていただければ重畳」
そう聞くと頷かざるを得なかった。蜜蝋は貴重すぎる!
「よかったら今日もちょっと書類をお願いできますか……?」
突然なことで申し訳ないが、と言うブラウン神官だったけれど、とてもありがたい。
「……おれも見てていいですか?」
興味深そうにチャーリーが尋ねると、「もちろんですよ」と神官は柔和に笑って椅子を勧めてくれた。
神殿の神官室はこぢんまりしている割にきれいな部屋で、ガラスがふんだんに使われた窓から光がふんだんに入ってくる。
豪華な調度品があるわけじゃないけど、ガラスは高級品だからそれだけで贅沢な気分だ。
時々静かにチャーリーと話しながらさっさと書類仕事を終える。そんなに難しいものではない。
少し手伝って蜜蝋を多少もらって私はものすごいご機嫌になった。
色々と作れるよ!
「いやあ、それにしても字がきれいですね」
ブラウン神官はニコニコ褒めてくれる。
「チャーリーとアリスもどんどん上達していますよ。あと少しで、私が来れない日に代わりにこれるくらいになるでしょう」
嬉しいので生徒もついでに売り込んでおく。
「そうですか」
と、微笑むブラウン神官の目が優しい。チャーリーは、こそばゆそうな顔をしていた。
私の人生では両親の仲が悪かったからこんな風に落ち着いた父親を見たことはないんだけど、もしかしたら、落ち着いた父親ってこんな感じなのかな……と思うような神官様の笑顔だ。
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