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『恋しくて! - I miss you. 44 』

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44.
" Awe 畏れ "

 妻もフルタイムで働いているが、定時で帰って来れるので
大抵18時頃には家にいる。

 私が帰ると未由はリビングでひとり好きなアニメを
見入っていた。

 私が帰って来たのも気付かないくらい。

 何気に妻の姿を探したがリビングにもキッチンにも
見当たらず、和室に向かった。
 
 襖を開けようとした時、妻のすすり泣きが聞こえてきた。

 浮気発覚後、これまで妻の泣いた姿は一度も見たことが
なかったのに。

 妻はこうやって人知れず今まで毎日泣き暮らしていたの
だろうか。

 私は襖を開けることも懺悔の言葉を掛けることも、まして慰めの
言葉を掛けることもできず、ただ、ただ・・畏れというもの
を改めて胸に刻むばかりだった。


 何故か菊池とのことを質問してくるようになった頃から、妻は
和室でひとり寝るようになってしまった。


 私は妻と昔のように、その日あったことをしゃべりながら
肌を寄せ合い眠りにつくという幸せだった頃を取り戻せる
ならば取り戻したいと思っているが、自分のした行為で妻を
苦しめている身では自分から妻に一緒に寝ようとは言い出せ
なかった。

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