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『特別な人』129

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「ようこそ、いらっしゃいませ。
 凛ちゃぁ~ん、さっ花ちゃんにおいで」

 私は相原さんから凛ちゃんを受け取る。


『う~ん、愛しい重みに心が和むぅ~』


「おじゃまするよ」


「どうぞどうぞ。すぐにお茶淹れますね」




 20帖の広いリビングにはフローリングの上に絨毯を敷いてある。

 実は凛ちゃんの為に買ったもの。

 自分ひとりだとフローリングに座ることなんてないから。




 相原さんが凛ちゃんの為に小さなボールや絵本、積み木なんかを
持ってきてくれていたので、絨毯の上を凛ちゃんコーナーとして
使ってくださいと案内した。


 私たちがいる側で凛ちゃんはすぐに積み木でひとり遊びを始めた。


 めちゃくちゃ大人しくていい子。


 ルームツアーが目的で来てもらったけど、ひとまず大人の私たちは
珈琲で寛ぎTimeに入った。




「やはりすごいよなー、ロビーからしてホテル並みじゃないか。
 圧巻だったね~」




「そうですね、住んでる人間が言うのもなんですけど」



うちから結構近いんで吃驚した」



「道に迷いませんでした? 
 あぁ、それとストーカーに付けられたりしてませんよね?
 大丈夫ですか、ふふっ」




 私はまさかそこまではないだろうと思っていて、ただの軽いノリで
言ったんだけど、まさか相原さんが昨日まさしくストーカーに遭っていたとは……。



 その後の、遠野さんが昨日相原さんの家に訪ねて来たという話を聞いて
仰け反りそうになった。




「遠野さん、とうとう家まで押しかけて行ったんですね。
それは大変でしたね」



『むちゃくちゃ好かれてるじゃないですかー』
なんて、軽口言えない雰囲気なので冷やかしてその場を盛り上げるのは
違うような気がして、今回の一連のことを私はどう言えばいいのか次の言葉が見つからない。




「でもさ、吃驚はしたけどアレだな。
 『禍を転じて福と為す』っていう結果になったから、終わり良ければ
全て良し、ってとこかな」



「……と言いますと?」



「遠野さんが来た時、俺はベランダに出てたから、遊びに来てた姉が
対応したんだけど……。



 ま、遠野さんが上手い具合に姉のことを俺の元奥さんか恋人? 
たぶんだけど、そういう関係の人だと勘違いして帰ってくれたみたいで、
もう今後ストーカーの心配はないかな。

 そう思うと突撃してくれてよかったよ」






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