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大人の恋心 39

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39.

"  Calpis カルピス "


 今回小野寺に旬の採れたての野菜を食べてもらいたくて
家に招待した自分。


 やっぱり今回も初めは単純に美味しいと喜んでくれた小野寺に
手料理を食べてもらいと思ったのだ。正式に交際を申し込まれても
いないし、自分的には友達付き合いで終わるだろうとも思っている。

 だからこそ、媚びて結婚を進める為になどという理由付けつを
除外して考えているからこそ、気軽に誘えたのだ。

 けれど、亀卦川とのことが災いして、その日が近づくにつれ
桂子は自分の気持ちを覗き込むことが増えていった。

 そしてそんな自分を俗物過ぎて嫌悪したり、過ごすうち・・
2週間ぶりに小野寺と会う日がやってきた。


       ・・・・・


  懐かしい人に会う気分でその日、桂子さんの家《うち》へと
車を走らせた。

 俺が庭に車を駐車して車から降りると、俺の目の前に笑顔で
彼女が立っていた。

 訪問者を心待ちにしていたような振舞に、少し俺は胸熱になる。


 「こんにちは、お言葉に甘えておじゃまします」

 「こんにちは、運転で疲れたでしょ? すぐにお夕飯の支度に
取り掛かりますね」

 部屋に通されると、懐かしの白色のカルピスが出された。


 
 「子供の飲み物ですけど、暑い日にはいいかなって・・」


 『いただきます』と言って、俺はすぐに口をつけた。


 「あー、久しぶりに飲みましたけど、おいしいっすよ」


 「でしょ? 」

 
 甘いのどうかなって思ったけれどほんとに気持ちのいい飲みっぷりで
安心した。

 子供のいる世帯でもあるまいし、カルピスなんてって
思わなくもなかったんだけど。
 
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