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 苺佳が家を出てから2か月余り後のこと、すんなりと離婚が成立した。




 その日、保育園へ眞奈を迎えに行った帰り道のこと。

「苺佳ちゃん、今日比奈ちゃんお休みだった」


「えっ、そうなの? どうしちゃったんだろうね。

 後で瑤ちゃんに聞いてみるわ」





 『こんにちは。今日比奈ちゃんお休みだったみたいだけど明日は
登園できそうですか? 私も眞奈も心配してまーす』


 帰宅後すぐに瑤ちゃんにLINE送ったけどすぐに返事は来なかった。


 取り込み中かな。1時間後瑤ちゃんから返信があった。




『比奈は元気なんだ。私が風邪を引いてしまって寝込んでる。

母親も今日は用事があって手が離せなかったんだ。

子供と年寄りにうつすといけないから比奈はこのまましばらく
母親に預かってもらおうと思ってる』



『じゃあ比奈ちゃん、しばらく保育園お休みなんだね』



『そうなるね』



『何か口に入れてる? 私、様子見に行こうか?』



『うつるといけないから止めたほうがいいよ』



『私、風邪に強い体質でうつりにくいし、うつっても寝込むほどには
ならないと思う。行くよ、今から。
 

 何とか這いつくばって鍵だけは開けといて。

 その後は私が手厚い看護するから極楽が待ってるよ~』




『分かった、苺佳。最強な女だな』



『そうだよー。ンでは今から看護士そちらに向かいまーす』



 今日は離婚が成立した日で、私は寝込んでる瑤ちゃんの家へ
看護するために出掛ける。



 こんな悲しむべき日に信頼できる人の側にいられるなんて、
私はやっぱり? ラッキーな人間だ。



          ◇ ◇ ◇ ◇



瑤ちゃんの家に着くとちゃんと鍵が開けられていた。



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