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「おはようございます。今日はまた・・」
「あぁ、おはよう。今朝はちょっと母親の体調が悪くてね」
瑤ちゃんは私にそう言い置いて足早に比奈ちゃんとふたり、
小走りに教室へと向かった。
どうしようか。
瑤ちゃんを待つなら駐車場よりここで・・だよね。
ここで待ってたら少なくとも駐車場までの5分、少し話ができる。
そんなことを考えながら門の所に突っ立ってたら
瑤ちゃんがこちらに向かって走って来るのが見えた。
『えっ・・?』
頬にポツンと一滴《ひとしずく》感じたかと思う間もなく
いきなり強めの風が吹き出し、雨が降ってきた。
あ~あ、話どころじゃなくなって、濡れる心配よりも
話ができなくなりそうな状況にガックリしてしまう。
「苺佳、急ごう!」
気が付くと、傘をさした瑤ちゃんが私の肩に手を回し、自分の方へと
引き寄せてくれた。
「あぁ、ありがとう。晴れてたのにどうして傘なんて持ってたの?」
小走りに歩きながら私は瑤ちゃんに聞いた。
「た・し・な・み」
「・・?」
「勤労者《キャリアウーマン》のたしなみだよ」
「へぇ~、瑤ちゃんって労働者の鏡だね、尊敬する」
「ほんとはそんな大したもんじゃなくて・・私は雨女なんだよ。
それでいつも傘を持ち歩いているってだけだよ」
「ふぅ~ん」
◇ ◇ ◇ ◇
あっという間に瑤ちゃんとの語らいの時間は過ぎて、駐車場が目前に。
傘の話しただけ。
『つまんないっ、つまんないっ』
「苺佳、先に車乗って」
そう言うと瑤ちゃんは傘をさしたまま、私が車のシートに滑り込むのを
待っていてくれた。
私が無事シートに座ると瑤ちゃんがドアを閉めてくれた。
ドアの窓越しに彼女を見上げると右肩がずぶ濡れになっているのに
気が付いた。
優し気な表情をした瑤ちゃんが右手を少し振って自分の車に乗り込み、
そのまま職場へと向かって行った。
「おはようございます。今日はまた・・」
「あぁ、おはよう。今朝はちょっと母親の体調が悪くてね」
瑤ちゃんは私にそう言い置いて足早に比奈ちゃんとふたり、
小走りに教室へと向かった。
どうしようか。
瑤ちゃんを待つなら駐車場よりここで・・だよね。
ここで待ってたら少なくとも駐車場までの5分、少し話ができる。
そんなことを考えながら門の所に突っ立ってたら
瑤ちゃんがこちらに向かって走って来るのが見えた。
『えっ・・?』
頬にポツンと一滴《ひとしずく》感じたかと思う間もなく
いきなり強めの風が吹き出し、雨が降ってきた。
あ~あ、話どころじゃなくなって、濡れる心配よりも
話ができなくなりそうな状況にガックリしてしまう。
「苺佳、急ごう!」
気が付くと、傘をさした瑤ちゃんが私の肩に手を回し、自分の方へと
引き寄せてくれた。
「あぁ、ありがとう。晴れてたのにどうして傘なんて持ってたの?」
小走りに歩きながら私は瑤ちゃんに聞いた。
「た・し・な・み」
「・・?」
「勤労者《キャリアウーマン》のたしなみだよ」
「へぇ~、瑤ちゃんって労働者の鏡だね、尊敬する」
「ほんとはそんな大したもんじゃなくて・・私は雨女なんだよ。
それでいつも傘を持ち歩いているってだけだよ」
「ふぅ~ん」
◇ ◇ ◇ ◇
あっという間に瑤ちゃんとの語らいの時間は過ぎて、駐車場が目前に。
傘の話しただけ。
『つまんないっ、つまんないっ』
「苺佳、先に車乗って」
そう言うと瑤ちゃんは傘をさしたまま、私が車のシートに滑り込むのを
待っていてくれた。
私が無事シートに座ると瑤ちゃんがドアを閉めてくれた。
ドアの窓越しに彼女を見上げると右肩がずぶ濡れになっているのに
気が付いた。
優し気な表情をした瑤ちゃんが右手を少し振って自分の車に乗り込み、
そのまま職場へと向かって行った。
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