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 英介さんが他の女性と一緒に密な時間を週末の都度に過ごしていたって
・・本当のことだったんだ。



 私の妄想であってほしいと願っていたのに。



 予感はありつつも、やはり自分は心のどこかで夫を信じていたかった
のだということに気が付いた。


 推測している時間も苦しかったけれど、実際に知らないどこかの美しい女性と
一緒に食事しているところ、ホテルに入っていく姿、堪らなかった。




 どうして私がこんな残酷なものを見せられなければならないのか。



『英介さん、酷いよ・・酷すぎる』



 やさしい眼差しや振舞いのその陰で、平気で私や娘を欺いていたのね。



 私は玄関ドアを開けると急いでリビングに駆け込み、テーブルに書類を
広げた。




 まず事務所で見せられたものと見てなかった写真をじっくりと一枚ずつ
丹念に見ていく。



 やはり、先ほどはテンパっていて気が付かなかった。



 夫が山波美羅と食事している店は数か月前に家族で行ったことのある
あの串カツ屋だった。夫のお気に入りの店で出会ったのだろうか? 




 別の日の写真にも串カツ屋にいる夫の姿があり、私は別の衝撃を受けた。



 この日夫の前に座っているのは美羅ではなく、私の良く知っている
女性だったから。どういうこと? なんてこと? 



 誰か説明して・・教えて・・ください。


          ◇ ◇ ◇ ◇



「あーっ、いやぁーっ」


 私はリビングでひとり、何かの役を演じている人のように
ぎゃあぎゃあ喚いた。




「もう~なんでよ~ばかぁ~、酷い~ばかぁ~信じらんない~、なんでよ~
なんでぇ~」



 誰もいないことをいいことに、しばらくの間理性をかなぐり捨てて騒いだ。

 そして・・泣いた。


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