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 そんな中、瑤ちゃんに会えないかなって思いながら眞奈の送迎を
していた時には一度も会えなかったのに、瑤ちゃんに会いたいなぁ~なんて
考えられない状況になった途端、久しぶりに午後からのお迎えで
ドンピシャ瑤ちゃんに会えちゃった。


「お久しぶりぃ~」

「あぁ、久しぶり・・元気だった?」


 えっ、何ていう挨拶。

 瑤ちゃんったらぁ、ほんとにもう、どうして私の胸を
ブルブル震わせることを言うんだろう。

 今の瑤ちゃんには英介さんのこと、少し距離があり過ぎて話せないや。


「うん・・まぁ元気かな。瑤ちゃんも元気そうだね。

送迎頼める人ができて、少しゆとりができたから良かったね。

私は会えなくてちょっと寂しいーけど」




 瑤は苺佳の『寂しい』発言を聞いてほっと胸をなでおろした。


 昨年の比奈の預かりをしてもらっていた夏に、嫌われるようなことを
やらかしていたからだ。


 後で謝罪して受け入れてもらったものの、嫌われちゃったよなぁ~と、
ずっと気に掛かっていた。


 嫌いな相手に寂しかったなどとは言わないだろ?



「ほんと、私たち随分と会ってないな」

「うん、比奈ちゃんとおばあちゃんとは時々顔を合わすけど。その・・」

「ン?」

「・・仕事忙しいの?」

「う~ん、忙しいけど、そこは去年と一緒? まぁ相変わらずだよ」

「そうなんだ」


 瑤は苺佳の問い掛けに『もう比奈の送迎はしないのか?』と
訊かれているように感じた。


「週に何度かさぁ・・」

「?・・」





「比奈のお迎え、私が行くよって母親に言うだろ? そしたら
『仕事で疲れてるのにわざわざお前が行かなくてもいいのよ。

私が行くから』って返してくるんだよなぁ~。


 あれよぉ、歩くのは健康にいいし、孫と連れだって話すのも楽しいらしい。

 でな、私の睨んでるところでは、同世代の保護者がいて気が合うらしくて、
週に何度かその人と立ち話するのを楽しみにしてる節がある。

 送迎するのに3つも理由がある人に私、太刀打ちできなくてさ」






「そっか、そんなことになってたんだ。私、知らなくて。
瑤ちゃんが死ぬほど忙しいのかと心配してた」


「おぅ~、スマヌ」


          ◇ ◇ ◇ ◇


 その話を聞いて苺佳の胸に灯った感情を瑤は知らない。

『瑤ちゃんのおかあさんが断固として比奈ちゃんの送迎に園に来る
理由の中に、ここでできた同世代の友人と会って話がしたいというのがある。


 瑤ちゃんには、私と会ってたまには話したいっていうおばさんほどの
強い意志は・・ないのかー。凹む』

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