78 / 194
78
しおりを挟む
78
蝉時雨の頃を過ぎ、すっかり秋の雰囲気に包まれ、日暮れ時になると
初秋の少し強めの冷たい風が吹き抜け、昼間にはきれいな青空日和が
続く頃になっても瑤ちゃんからは何の連絡も入らなかった。
――――――――――
残暑が残る九月の、日が暮れてからいつになく冷たい空気に気付いた日の
週末の午後に。
「最近出かけてないから、明日久しぶりに電車に揺られて外食に
行かないかい?」
「家族3人でお出かけって久しぶりよね。楽しみぃ~」
◇ ◇ ◇ ◇
私たちは最寄り駅までタクシーに乗り、そこから電車に。
お店は降りる駅から徒歩7~8分らしい。
『学生時代は友達と歩いて行ったけどね・・』と言いながら
タクシーを使って店に到着。
英介さんがマイカーで来なかった理由が分かった。
駐車場が3~4台分しかスペースがなくて、しかも
1台分は軽自動車でないと止められないくらいしか面積がなかった。
人気のお店だそうで私たちは少し並ばなければならなかった。
これが夕方以降になると、行列の人数が何倍にもなるらしい。
待つこと10分、ようやく私たちは暖簾を潜り引き戸を開けた。
庶民的なお店で、揚げ物独特の匂いとアルコールの匂いがした。
英介さんは結婚後も何度か来ているような口ぶりで私たちのオーダーを
頼んでくれた。
串カツの他にはうずらの卵やタマネギ、れんこん、カボチャ、大根、
コンニャク、ベーコンブロックなどの野菜、肉系などとバラエティに
富んでおりお味のほうもばっちり、すごく美味しい。
オリジナルソースと塩、和辛子、辛子とごま入りソース、特製
ウスターソース、醤油とソースもレパートリーが広く、さまざまな
お味が楽しめた。
ただ、個室ではない上に、入れ替わり立ち替わりみたいな空気感があり
部屋の造りと併せてちょっとゆったり寛げる場所とは言い難かった。
とても落ち着いて話せるような雰囲気にはなく、とにかくひたすら味を
堪能するっていう感じかな。
◇ ◇ ◇ ◇
「どうだった? 上手かったろ?」
「うん、すごく。ご馳走様でした」
「眞奈ね、今度はもっと広いところがいいなぁ~。
おトイレも我慢しなきゃいけなかったし」
「あははっ、そうだねぇ~。英介さん、今度は私が行ったことのある
個室のあるところへ行ってみよう?」
「ン・・あぁそうだね」
「やったー」と眞奈がはしゃいだ。
蝉時雨の頃を過ぎ、すっかり秋の雰囲気に包まれ、日暮れ時になると
初秋の少し強めの冷たい風が吹き抜け、昼間にはきれいな青空日和が
続く頃になっても瑤ちゃんからは何の連絡も入らなかった。
――――――――――
残暑が残る九月の、日が暮れてからいつになく冷たい空気に気付いた日の
週末の午後に。
「最近出かけてないから、明日久しぶりに電車に揺られて外食に
行かないかい?」
「家族3人でお出かけって久しぶりよね。楽しみぃ~」
◇ ◇ ◇ ◇
私たちは最寄り駅までタクシーに乗り、そこから電車に。
お店は降りる駅から徒歩7~8分らしい。
『学生時代は友達と歩いて行ったけどね・・』と言いながら
タクシーを使って店に到着。
英介さんがマイカーで来なかった理由が分かった。
駐車場が3~4台分しかスペースがなくて、しかも
1台分は軽自動車でないと止められないくらいしか面積がなかった。
人気のお店だそうで私たちは少し並ばなければならなかった。
これが夕方以降になると、行列の人数が何倍にもなるらしい。
待つこと10分、ようやく私たちは暖簾を潜り引き戸を開けた。
庶民的なお店で、揚げ物独特の匂いとアルコールの匂いがした。
英介さんは結婚後も何度か来ているような口ぶりで私たちのオーダーを
頼んでくれた。
串カツの他にはうずらの卵やタマネギ、れんこん、カボチャ、大根、
コンニャク、ベーコンブロックなどの野菜、肉系などとバラエティに
富んでおりお味のほうもばっちり、すごく美味しい。
オリジナルソースと塩、和辛子、辛子とごま入りソース、特製
ウスターソース、醤油とソースもレパートリーが広く、さまざまな
お味が楽しめた。
ただ、個室ではない上に、入れ替わり立ち替わりみたいな空気感があり
部屋の造りと併せてちょっとゆったり寛げる場所とは言い難かった。
とても落ち着いて話せるような雰囲気にはなく、とにかくひたすら味を
堪能するっていう感じかな。
◇ ◇ ◇ ◇
「どうだった? 上手かったろ?」
「うん、すごく。ご馳走様でした」
「眞奈ね、今度はもっと広いところがいいなぁ~。
おトイレも我慢しなきゃいけなかったし」
「あははっ、そうだねぇ~。英介さん、今度は私が行ったことのある
個室のあるところへ行ってみよう?」
「ン・・あぁそうだね」
「やったー」と眞奈がはしゃいだ。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
私の主治医さん - 二人と一匹物語 -
鏡野ゆう
ライト文芸
とある病院の救命救急で働いている東出先生の元に運び込まれた急患は何故か川で溺れていた一人と一匹でした。救命救急で働くお医者さんと患者さん、そして小さな子猫の二人と一匹の恋の小話。
【本編完結】【小話】
※小説家になろうでも公開中※
僕の主治医さん
鏡野ゆう
ライト文芸
研修医の北川雛子先生が担当することになったのは、救急車で運び込まれた南山裕章さんという若き外務官僚さんでした。研修医さんと救急車で運ばれてきた患者さんとの恋の小話とちょっと不思議なあひるちゃんのお話。
【本編】+【アヒル事件簿】【事件です!】
※小説家になろう、カクヨムでも公開中※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる