裏切りの扉  

設樂理沙

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" おちゃめ? いやいや……いじましい復讐4-47 "

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47.




 アドレスでひとり芝居がバレる恐れがあるのに、わざわざ
どうしてこんなことをしているのか、それはれっきとした理由が
私にはあったからだ。


 夫にどうしても、"ただの浮気だったの……"という文言を見せ付けた
かったから。

 ほんと私って小さなことに拘るよねぇ~と自分に向かって苦笑した。


 私は満を持してまんをじして術後安静にしている夫の病室に
スマホを忘れて売店へと部屋から出て行った。さて、どうなるのかしら?



          ◇ ◇ ◇ ◇




 萌枝が見舞いに来てくれている。


 今さっき買い忘れたものがあるといって、院内の地下にある
売店へ行った。



 見ると椅子の上にスマホが置かれてあった。

 何気に眺めていたら着信のフラッシュが点滅し始めた。



 そういえば何度か病院に来た妻が以前はなかったことだけど、よく
着信を受けてスマホを病室で何度か見ることがあって、アレ?って
無意識に思ってたのもあって、すごく気になってしまう。


          ◇ ◇ ◇ ◇




 
 だって、自分が北原と関係を持った直後、LINEの頻度が著しく
跳ね上がっていたから。



 妻は自分のようなことはしないと信じているのに、それでも
気になってしまう。



 自分は重い病気で手術もし、ずっと家にいない夫で父親なのだ。



 妻と息子にとって全く存在感のない夫であり父親、そして1度だけ
とはいえ、裏切り行為をした夫なのだ。


 もしかしてだけど……もしかして愛想をつかした妻が他所に好きな男を
見つけた可能性はないとはいえないかもしれない……と思うと
いけないとは思いつつも点滅しているスマホから目が離せない。



 中は読まない、ちょっと画面を見るだけ、そう自分に言い訳を
して椅子の上のスマホを覗いた。


 名前だけじゃなくて文面まで見えてしまい、読んでしまった。

 心臓が激しく鳴り出した。



 術後すぐの為、手術した箇所も併せてジクジクし出した。
 身体も痛いが心も痛い。



 萌枝、一体誰とこんな風に付き合ってるンだ。
 まだ帰って来ない妻に向かって問い掛けた。



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