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" 心ばえ3-43 "
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43.
「じゃあそこそこ滑れる俺には理解できないかも」
「そうねぇ~、じゃあ初心者の頃を思い出して聞いてみて。
もしくはエベレストの山頂から滑り降りるつもりで」
「ははっ、それいいかもっ!」
「怖かったわぁ、とても。酷い先輩たちだったけど
救いは彼らが私の真後ろ、まん前、両脇と計4人で固めてくれて
一緒に滑ってくれたこと。
だけど誰も私の身体を支えたりして補助してくれたわけじゃないからね。
途中出っ張った岩があったり、もう夢中で滑ったわ。
先(遥か彼方の麓)を見ると怖いから足元だけ見てただひたすら滑った。
そして気がつくと私は麓に……人が大勢賑わっているスキー場に
帰って来てた。
最初がハードすぎて結局スキーは好きになれなくて、スキーは
あれっきりなんだけど。
ひとつ大切なことを学べたことは私の財産ね。
要は……気が遠くなりそうなことは、ひとつずつひとつずつ出来る事から
片付けていけば、いつか全て終わらせることが出来るって話。
実に簡単なことを長々と話ちゃったね」
「いや、ありがと。重要なアドバイス助かったよ。
ひとまず俺は病気のことに専念するよ。
会社のことは退院してから考えることにするよ」
「OK.それでいいと思うよ?」
夫のしたことを許せているのかどうかも判らない状況で
夫を慰めるような会話に、自分がびっくりだった。
夫に勘違いさせる恐れがあるなぁ。
だけど、こういう時にでも話さないと話すチャンスのない、なんとなく
今まで誰にも話したことのない胸の中に認めていた心持ちを
吐露したかったのかもしれない。
相手が誰であれ。
自己分析してみた。
許しているのか許せてないのか……今私の心は神波芙緒でいっぱいで、
夫に対する自分の気持ちについて気にするゆとりはないのかもしれなかった。
OH!
「じゃあそこそこ滑れる俺には理解できないかも」
「そうねぇ~、じゃあ初心者の頃を思い出して聞いてみて。
もしくはエベレストの山頂から滑り降りるつもりで」
「ははっ、それいいかもっ!」
「怖かったわぁ、とても。酷い先輩たちだったけど
救いは彼らが私の真後ろ、まん前、両脇と計4人で固めてくれて
一緒に滑ってくれたこと。
だけど誰も私の身体を支えたりして補助してくれたわけじゃないからね。
途中出っ張った岩があったり、もう夢中で滑ったわ。
先(遥か彼方の麓)を見ると怖いから足元だけ見てただひたすら滑った。
そして気がつくと私は麓に……人が大勢賑わっているスキー場に
帰って来てた。
最初がハードすぎて結局スキーは好きになれなくて、スキーは
あれっきりなんだけど。
ひとつ大切なことを学べたことは私の財産ね。
要は……気が遠くなりそうなことは、ひとつずつひとつずつ出来る事から
片付けていけば、いつか全て終わらせることが出来るって話。
実に簡単なことを長々と話ちゃったね」
「いや、ありがと。重要なアドバイス助かったよ。
ひとまず俺は病気のことに専念するよ。
会社のことは退院してから考えることにするよ」
「OK.それでいいと思うよ?」
夫のしたことを許せているのかどうかも判らない状況で
夫を慰めるような会話に、自分がびっくりだった。
夫に勘違いさせる恐れがあるなぁ。
だけど、こういう時にでも話さないと話すチャンスのない、なんとなく
今まで誰にも話したことのない胸の中に認めていた心持ちを
吐露したかったのかもしれない。
相手が誰であれ。
自己分析してみた。
許しているのか許せてないのか……今私の心は神波芙緒でいっぱいで、
夫に対する自分の気持ちについて気にするゆとりはないのかもしれなかった。
OH!
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