裏切りの扉  

設樂理沙

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"神波芙緒《こうなみふみお》の想い2-27 "

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27.

"神波芙緒の想い2 "



 「実際美人を鼻にかけ露骨に誘ってくる女性がいました。
 きっとこれまでもいろんな浮名を流してきて、自分に自信のある
女性ひとだったのでしょう。

 泳ぎに来ているのか、男を物色しに来ているのか判らないような
有様でした」




 きゃぁ、少し違ってる所はあるかもぉ~だけど、それって
私に若干似てない? 


 やだぁー、どうしよう。
 お尻がこそばゆくなってきちゃった。




 「俺は1度その女性から関係を持ちかけられ、それに乗ったんです。
 っていうか、乗る振りをしてそれをビデオカメラに撮った。

  何故か? その女性《おんな》に男を舐めてたらどんな末路が待ってるか
教え込んでやるためでした」




 ぶっ! 怖すぎっ! 
 やぁ、ほんともう私帰ったほうがいいんじゃない?

  
 ちょっ、もしかして今ビデオに撮られてるかも。



 まぁ、私の場合は夫に知られても全く怖くも痛くもないけどね。
 だからってそんなふうに見られてビデオ撮られる筋合いないわよ。



 ほんともうお腹痛くなったって言って帰ろうかなぁ。


 これ、何か私の思ってた筋書きとどんどん違う方向へ
進んでるんですけどぉ? 



 そんな私の中に嵐が吹き荒んでいるのを知ってか知らで(ず)か、
彼は話を続けた。




          ◇ ◇ ◇ ◇



 
「それで、男を誘惑している妻の醜態をその女性おんなの旦那に
送りつけてやりましたよ。

 もちろん女性おんなは旦那に張り倒されて離婚されましたね。

 よし、男らしい旦那でよかった……怒らずにそのまま結婚生活を
続けるようなヘタレでなくてよかった……そう思いました。

 後日その旦那が訪ねて来て、『君は妻の誘惑に乗らなかった
わけだが、妻に誘われてホテルの部屋までのこのこ付いて行って
どうしてその後妻の誘いに乗らなかったのか?



  乗らなかっただけでなく何故わざわざ私に密告したのか? 』
 そう俺に聞いてきました。


  簡単ですよ。



 俺は亭主がいながら他の男に色目を使う女が大っ嫌いだからです。
 それ以上でも以下でもありません。



 『他意はありません』と、本当のことをきっぱりとそう彼に俺は
答えました」








-19-      '24.5.15
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