裏切りの扉  

設樂理沙

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" 萌枝の欲望3-24 "

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 これからふたりの間に何かが始まる予感って?
 私たちの間に何があるの?
 改めて自分の考えを再考してみて笑ってしまった。

 愛だとでも? 

 それはちゃんちゃらおかし過ぎる。

 そう言えば韓流がもてはやされていた頃、あちらの俳優や女優は
"サランヘヨ"という言葉を頻繁に口にしていたっけ。

 そしてそれを真似たのか、彼らの多くのファンたちも何かにつけ
"サランヘヨ"を乱発していたように記憶している。

 この時私は"サランヘヨ愛してる"が韓国の言葉であったとしても
意味を踏まえて言っているのだからやっぱり納得できなかった。

 知っているのはTVや映画の中の登場人物を演じている彼ら、なのだ。

 高々作品の登場人物を通して知り合った相手にサランヘヨはないだろ
って。

 愛という言葉を何だと思っているのかと。

 今の私と神波コーチの間にあるものは、好意くらいまでかな。
 たぶん、私がそうだから彼も同じではないかな? と思っている。
 
 ずばり、お互い相手の身体に興味があるのだ。
 私はそれでもいいと考えてる。

 そしてそれ以上のこと、心? まで求めるのはどうなのだろうかと、
気持ちのどこかでブレーキを踏む自分がいた。

 心まで持っていかれると、後がきつそうだからだ。

 淡々としているからといって、私が夫のことで傷つかなかった
わけじゃない……。

 だからまた傷付いたりするようなことはごめんだった。
 主導権は常に自分が持っていたい。

 鼻持ちならないことを言うようだが、私は容姿よろしく
プロポーションにも自信がある。

 そんな妻がいても誘われれば浮気するんだね?

 そんなことを夫に聞いてみたかったようにも思うけど、チャンスを
逃した今となっては、そして神波コーチと自分が望んだような関係が
手に入ろうとしている今、もうどうでもよかった。
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