裏切りの扉

設樂理沙

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" 大きな悲しみの中で 4 "

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4.


 大きな悲しみの中にいた私の元に久方ぶりで親友の祐子から
電話がかかってきた。

 そのあまりのタイミングの良さが一層悲しみに拍車をかけた。

 私の親友石原祐子はバツイチだ。

 現在は素敵な恋人がいて、充実したHappy Lifeを楽しんでいるはず。

 彼女と前のご主人は、高校時代から付き合っていて熱烈なご主人からの
アプローチで、10年も付き合った上での結婚だった。

 夫婦仲も良く、旦那の浮気が判った時、彼女の第一声は
『何故? 訳がわからないよ』だった。

 ベターな流れのようだった。

 チームで同じ目標に向かって仕事をしていて、大きな仕事を勝ち取れた
日に皆で打ち上げ、そして酔いの勢いで気持ちを少し持っていかれていた
相手と……だった。

 相手の女子社員は独身の女子だった。

 ご主人は一時の過ちと言い、祐子とは別れない、別れたくないと
最後まで頑なに言い張ってたけれど、祐子は別れを選んだ。

 この時、私はご主人から祐子への口添えを頼まれていた。



          ◇ ◇ ◇ ◇



 
 「祐子ぉ、旦那さんすっごく反省してるよ。

 私にね、相手の女性と祐子は天秤にかけるまでもなく……
祐子は生涯の伴侶で別れることは死ぬほどつらいって言ってた。

 許してくれなくてもいいから 、これからもずっと祐子には
側にいてほしいって。

 自分の優柔不断さから祐子を傷つけたことをもすごく反省している。

 この先一生をかけて祐子を大切にしていくから、自分の本気度を
見ててほしいって」





 「そっか!  ンで、萌枝の意見は? 
 萌枝も私が旦那と再構築すればいいのにって思うわけ?
  たった一度の過ちなんだからって? 」




 「何て言ったらいいのか……祐子を慰めたいけどどんな風に、どんな
言葉をかけたらいいのか、祐子の慰めになれない自分が歯がゆいわ。

 祐子の気持ちに一番に添いたいよ? 

 だけど祐子の幸せを考えても……今まで今回のことがあるまではふたり、
とっても仲のよい夫婦で幸せ一杯に見えてた私からすると別れるのは
もったいない気がするのよ。

 だから……そのごめんね、上手くフォローできないや、グタグタの自分が
いやんなるわ」





 そんな風に私はめちゃくちゃへたくそなフォローしか、当時は
出来なかったのだ。

 


 
 
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